芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)は、こむら返りや筋肉のけいれんなどに用いられる代表的な漢方薬です。
特に、足がつったときに使われる漢方薬として知られており、ドラッグストアで市販されている製品もあります。
芍薬甘草湯は、芍薬と甘草という2種類の生薬から構成される比較的シンプルな処方です。
一方で、甘草を比較的多く含む処方であるため、長期間の使用や他の漢方薬との併用には注意が必要です。
この記事では、芍薬甘草湯の特徴、効能・効果、飲み方、副作用、甘草による注意点、こむら返りに使用するときのポイントについて解説します。
芍薬甘草湯とは?
芍薬甘草湯は、芍薬(しゃくやく)と甘草(かんぞう)の2種類の生薬から構成される漢方処方です。
一般用漢方製剤では、体力に関わらず使用でき、筋肉の急激なけいれんを伴う痛みのある症状に用いられます。
代表的な効能・効果として、こむらがえり、筋肉のけいれん、腹痛、腰痛があります。
芍薬甘草湯に含まれる2種類の生薬
芍薬甘草湯は、次の2種類の生薬から構成されています。
- 芍薬(シャクヤク)
- 甘草(カンゾウ)
一般用漢方製剤の承認基準では、芍薬と甘草をそれぞれ3~8の割合で配合する処方として定められています。
市販の芍薬甘草湯は、メーカーによってエキス量や剤形、1日量などが異なる場合があります。
実際に使用するときは、購入した商品の添付文書を確認してください。
芍薬甘草湯の効能・効果
一般用漢方製剤の芍薬甘草湯は、次のような症状に用いられます。
- こむらがえり
- 筋肉のけいれん
- 腹痛
- 腰痛
ただし、単に筋肉が痛いというだけではなく、「筋肉の急激なけいれんを伴う痛み」が使用の目安となる処方です。
そのため、筋肉痛や慢性的な痛みに対して、どのような場合でも芍薬甘草湯が適しているというわけではありません。
芍薬甘草湯はこむら返りに使われる
芍薬甘草湯は、こむら返りに使用される漢方薬として広く知られています。
こむら返りは、ふくらはぎなどの筋肉が急に強く収縮して、痛みを伴う状態です。
芍薬甘草湯は、一般用漢方製剤の効能・効果にも「こむらがえり」が明記されています。
ただし、こむら返りが頻繁に起こる場合には、単にその都度対処するだけでなく、原因を確認することも大切です。
繰り返す場合や、ほかの症状を伴う場合には、医師などへの相談を検討しましょう。
芍薬甘草湯は「体力に関わらず使用できる」
漢方薬では、体力や体質などを考慮して処方を選ぶことがあります。
一方、芍薬甘草湯は一般用漢方製剤では「体力に関わらず使用できる」とされています。
これは、体力が強い人だけ、または体力が弱い人だけを対象とした処方ではないことを示しています。
ただし、「体力に関わらず使用できる」からといって、誰がどのような状態で使用してもよいという意味ではありません。
効能・効果や用法・用量、使用上の注意を確認して使用することが大切です。
芍薬甘草湯の飲み方
芍薬甘草湯の用法・用量は、市販製品によって異なる場合があります。
市販の芍薬甘草湯を使用するときは、購入した商品の添付文書に記載されている用法・用量を守って服用してください。
漢方薬は食前または食間に服用する製品が多くありますが、実際の商品に記載された用法を優先することが大切です。
漢方薬の食前・食間などの違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
漢方薬の飲み方を解説|食前・食間の違い、効果が出るまでの期間や飲みにくいときの工夫
芍薬甘草湯に副作用はある?
芍薬甘草湯も医薬品であるため、副作用が起こることがあります。
一般用漢方製剤の使用上の注意では、発疹・発赤、かゆみなどについて注意が記載されています。
また、芍薬甘草湯では、甘草を含むことから、偽アルドステロン症やミオパチーなどの重篤な副作用について注意が必要です。
手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばりに加えて、脱力感、筋肉痛などが現れ、徐々に強くなる場合には注意が必要です。
このような症状が現れた場合には、服用を中止して医師の診療を受けることが重要です。
芍薬甘草湯は甘草の量に注意
芍薬甘草湯を使用するときに特に確認しておきたいのが、甘草です。
芍薬甘草湯は、芍薬と甘草の2種類だけで構成されるため、処方中に甘草が含まれていることが明確です。
甘草を含む漢方製剤では、偽アルドステロン症やミオパチーなどに注意が必要な場合があります。
偽アルドステロン症では、低カリウム血症、血圧上昇、むくみ、体重増加などを伴うことがあります。
複数の甘草含有製剤を使用すると、甘草が重複する可能性があるため、併用には注意しましょう。
芍薬甘草湯を長期間飲み続けてもいい?
こむら返りなどが起こるたびに芍薬甘草湯を使用する人もいますが、症状が長期間続く場合に自己判断で服用を続けることには注意が必要です。
特に芍薬甘草湯は甘草を含むため、長期的に使用する場合には、商品の添付文書に記載された注意事項を確認することが大切です。
こむら返りが頻繁に起こる場合には、原因となっている病気や生活習慣、使用している薬などが関係している可能性もあります。
症状が繰り返す場合や、長期間続く場合には、医師、薬剤師または登録販売者に相談しましょう。
芍薬甘草湯と他の漢方薬を併用するときの注意
芍薬甘草湯を他の漢方薬と併用する場合は、生薬の重複に注意が必要です。
特に、別の漢方薬にも甘草が含まれている場合、甘草を重複して摂取することになります。
複数の漢方薬を使用したい場合は、自己判断で組み合わせるのではなく、薬剤師または登録販売者に相談しましょう。
漢方薬の併用や飲み合わせについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
漢方薬の併用・飲み合わせ|一緒に使うときの注意点と生薬の重複
芍薬甘草湯と他の医薬品を併用する場合
芍薬甘草湯だけでなく、一般用医薬品や医療用医薬品を使用している場合にも、併用について確認したほうがよいことがあります。
特に、甘草を含む別の漢方薬や生薬製剤などを使用している場合には、重複に注意しましょう。
病院から薬を処方されている人が芍薬甘草湯を追加する場合は、自己判断せず、医師や薬剤師に相談することが大切です。
芍薬甘草湯を使用する前に相談したほうがよい人
一般用漢方製剤では、製品によって服用前に相談が必要な人が設定されています。
芍薬甘草湯についても、特に次のような人は、使用する商品の添付文書を確認し、必要に応じて医師、薬剤師または登録販売者に相談しましょう。
- 医師の治療を受けている人
- 妊婦または妊娠していると思われる人
- 高齢者
- 以前に薬などで発疹・発赤、かゆみなどを起こしたことがある人
- むくみがある人
- 高血圧、心臓病、腎臓病などの診断を受けている人
ただし、具体的な相談事項は製品によって異なる場合があります。実際に使用する商品の添付文書を確認してください。
こむら返りが頻繁に起こる場合は原因にも注意
芍薬甘草湯は、こむら返りに使用できる漢方薬ですが、こむら返りを繰り返す原因そのものを治療する薬ではありません。
脱水、運動、長時間の立ち仕事など、さまざまな要因によって筋肉のけいれんが起こることがあります。
また、病気や使用している薬が関係している場合もあります。
頻繁にこむら返りが起こる、以前より症状が強くなった、ほかの症状もあるといった場合には、医療機関に相談して原因を確認することも大切です。
芍薬甘草湯は「足がつったら何度でも飲めばいい」わけではない
芍薬甘草湯はこむら返りなどに用いられる漢方薬ですが、症状が繰り返すからといって、自己判断で何度も長期間使用し続けるのは避けましょう。
特に甘草による副作用には注意が必要です。
服用する回数や期間については、商品の添付文書に記載された用法・用量を守ってください。
症状が頻繁に起こる場合には、芍薬甘草湯だけに頼らず、医師、薬剤師または登録販売者に相談しましょう。
漢方薬の副作用と飲み合わせにも注意
芍薬甘草湯に限らず、漢方薬は医薬品であるため、副作用が起こる可能性があります。
また、複数の漢方薬を使用すると、同じ生薬が重複する可能性があります。
特に芍薬甘草湯では甘草が含まれているため、他の甘草含有製剤との併用には注意が必要です。
漢方薬の副作用についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
まとめ
芍薬甘草湯は、芍薬と甘草の2種類の生薬から構成される漢方処方です。
一般用漢方製剤では、体力に関わらず使用でき、筋肉の急激なけいれんを伴う痛みのあるものの、こむらがえり、筋肉のけいれん、腹痛、腰痛などに用いられます。
特に、こむら返りなどの急な筋肉のけいれんに使用される漢方薬として知られています。
一方で、甘草を含むため、偽アルドステロン症やミオパチーなどの重篤な副作用に注意が必要です。
また、他の漢方薬と併用すると甘草が重複する可能性があります。
芍薬甘草湯を使用するときは、商品の効能・効果、用法・用量、使用上の注意を確認し、長期間使用したり、他の医薬品と併用したりする場合には、医師、薬剤師または登録販売者に相談することが大切です。

