販売時のコミュニケーションとは
一般用医薬品は、一般の生活者が自分で選択し、使用することを基本としています。
そのため、登録販売者には、購入者が適切な医薬品を選択し、適正に使用できるよう支援することが求められます。
販売時のコミュニケーションでは、単に商品の特徴や使用方法を説明するだけではなく、実際の使用者の状況を把握し、その人に必要な情報を伝えることが重要です。
情報提供は「説明して終わり」ではない
医薬品の情報提供では、専門用語を分かりやすい言葉に置き換えて説明するだけでは十分ではありません。
説明した内容が購入者にどのように理解され、実際の医薬品の使用に反映されているのかを把握することも重要です。
購入者が説明内容を理解できていなければ、適正使用につながらない可能性があります。
そのため、購入者が質問しやすい雰囲気をつくり、必要な情報を自分から伝えてもらえるようにすることも大切です。
購入者が自分で商品を決めている場合にも注意
一般用医薬品の購入者は、あらかじめ購入する商品を決めていることがあります。
しかし、必ずしも使用する人の体質や症状などに適した商品を十分に調べたうえで選択しているとは限りません。
広告や販売価格などを基準に、漠然と商品を選択している場合もあります。
そのため、購入者が商品を決めていたとしても、そのまま販売するのではなく、使用者や症状などを確認することが重要です。
販売時に確認したい基本的なポイント
登録販売者などの専門家が、購入者から確認しておきたい基本的なポイントには、次のようなものがあります。
・何のためにその医薬品を購入するのか
・誰が使用するのか
・小児、高齢者、妊婦などが使用するのか
・医療機関で治療を受けていないか
・過去にアレルギーや医薬品による副作用を経験していないか
・他の医薬品や食品との相互作用、飲み合わせに問題がないか
これらを確認することで、購入者や使用者に適した医薬品の選択や、適正使用につなげることができます。
何のために購入するのかを確認する
まず確認したいのが、購入の目的です。
例えば、
・現在ある症状を改善したい
・家庭の常備薬として購入したい
・家族のために購入したい
など、購入する目的はさまざまです。
購入目的を確認することで、実際に医薬品を使用する状況を把握しやすくなります。
誰が医薬品を使用するのかを確認する
一般用医薬品では、購入者本人が使用するとは限りません。
家族のために購入することもあります。
そのため、情報提供を受けている購入者だけでなく、実際に医薬品を使用する人について確認することが重要です。
実際の使用者が小児、高齢者、妊婦などの場合には、一般的な成人とは異なる注意が必要になる場合があります。
小児・高齢者・妊婦などではないか確認する
医薬品を使用する人が、
・小児
・高齢者
・妊婦
・妊娠している可能性がある人
・授乳婦
などに該当する場合には、特に注意が必要です。
年齢や妊娠・授乳の状況によって、使用できる医薬品や注意すべき事項が異なる場合があります。
そのため、使用者について確認することが重要です。
医療機関で治療を受けていないか確認する
購入する医薬品を使用する人が、医療機関で治療を受けているかどうかも重要な確認事項です。
疾病の種類や程度によっては、一般用医薬品を使用することで症状が悪化したり、現在受けている治療を妨げたりする場合があります。
医療機関から処方された医薬品を使用している人については、一般用医薬品との併用について登録販売者だけで判断することが難しい場合があります。
その場合には、処方した医師や調剤した薬剤師への相談を勧めることが重要です。
アレルギーや副作用の経験を確認する
過去に医薬品を使用してアレルギーや副作用を経験したことがある場合には、同じ医薬品や成分を使用することで再び問題が起こる可能性があります。
そのため、
「以前、薬で具合が悪くなったことはありませんか?」
などと確認することが重要です。
購入者自身が過去の経験を忘れている場合もあるため、必要な情報を引き出せるようにコミュニケーションを行うことが大切です。
他の医薬品や食品との相互作用を確認する
使用者が現在、他の医薬品を使用していないか、また医薬品との飲み合わせに注意が必要な食品を摂取していないかを確認することも重要です。
複数の医薬品を使用している場合には、相互作用によって作用が強くなったり弱くなったりする可能性があります。
そのため、現在使用している医薬品や食品について確認し、必要に応じて薬剤師などへの相談を勧めます。
すぐに使用する医薬品なのかを確認する
一般用医薬品は、購入後すぐに使用するとは限りません。
家庭の常備薬として購入する場合もあります。
そのため、実際にすぐ使用する状況なのか、それとも将来に備えて購入するのかを確認することも重要です。
現在症状がある場合は詳しく確認する
現在症状がある場合には、
・どのような症状なのか
・いつ頃から症状があるのか
・症状の程度はどうか
・原因が特定されているか
・患部がどこなのか
などを確認します。
こうした情報を確認することで、一般用医薬品で対処することが適切なのか、医療機関の受診が必要なのかを判断するための手がかりになります。
会話しやすい雰囲気をつくる
販売時のコミュニケーションでは、購入者が自分の症状や使用状況を話しやすい雰囲気をつくることも重要です。
購入者が話しにくいと感じていると、妊娠の可能性や副作用の経験、現在使用している医薬品など、重要な情報を伝えてもらえない場合があります。
そのため、一方的に質問を続けるのではなく、購入者が自分の状況を伝えやすいように配慮することが大切です。
購入者から情報を引き出すことも重要
購入者自身が何を期待して医薬品を購入するのか、明確になっていない場合もあります。
また、情報提供を受けようとする意識が低く、十分なコミュニケーションが成立しないこともあります。
そのような場合でも、登録販売者は購入者から医薬品の使用状況に関する情報をできる限り引き出し、可能な範囲で適切な情報提供を行うことが重要です。
言葉以外の情報も確認する
購入者本人が現在症状を感じている場合には、会話から得られる情報だけでなく、その人の状態や様子全般も重要な手がかりになります。
例えば、顔色や動作、話し方などから、症状の程度や体調について確認できる場合があります。
そのため、登録販売者は購入者の話だけで判断するのではなく、全体の様子にも注意することが重要です。
販売数量にも配慮する
一般用医薬品は、販売後すぐに使用するとは限らず、常備薬として購入されることもあります。
販売時のコミュニケーションの機会を継続的に確保するという観点からも、一度に必要以上の数量を販売するのではなく、使用する時期や必要量を考慮することが重要です。
試験で覚えておきたいポイント
第1章⑦では、次のポイントを押さえておきましょう。
① 購入目的を確認する
何のために医薬品を購入するのかを確認する。
② 実際の使用者を確認する
購入者本人が使用するとは限らないため、誰が使用するのかを確認する。
③ 使用者の年齢や身体の状態を確認する
小児、高齢者、妊婦などが使用する場合には特に注意する。
④ 治療中かどうか確認する
医療機関で治療を受けている場合には、一般用医薬品との併用などに注意する。
⑤ アレルギーや副作用歴を確認する
過去に問題が起きた医薬品や成分を把握する。
⑥ 他の医薬品や食品を確認する
相互作用や飲み合わせによる問題がないか確認する。
⑦ 現在の症状を確認する
症状の内容、発症時期、原因や患部などを確認する。
⑧ 購入者が理解できたかを意識する
単に説明するだけでなく、説明した内容が適切に理解され、行動に反映されることが重要です。
試験で間違えやすいポイント
「購入者本人が必ず医薬品を使用する」
→誤り
家族など、購入者以外が使用する場合があります。
「購入者が商品を決めている場合、使用者について確認する必要はない」
→誤り
購入者が事前に商品を決めていても、実際の使用者の状態を確認することが重要です。
「医薬品の情報提供は、専門用語を分かりやすく説明すれば十分である」
→誤り
説明内容が購入者にどのように理解され、実際の使用に反映されているかを把握することも重要です。
「購入目的を確認する」
→正しい
何のために購入するのかを確認することは、適切な医薬品選択につながります。
「過去のアレルギーや副作用の経験を確認する」
→正しい
過去の経験を確認することは、適正な医薬品選択に重要です。
「他の医薬品や食品の摂取状況を確認する必要はない」
→誤り
相互作用や飲み合わせによる問題を防ぐため、確認することが重要です。
「医薬品を使用する人に現在症状があれば、症状がいつから始まったかを確認する」
→正しい
症状の発症時期や原因などを把握することが重要です。
予想問題
問1
一般用医薬品の販売時に確認する事項として、適切なものはどれか。
① 購入者が何のために医薬品を購入するのかを確認する
② 購入者が商品を決めていれば使用者を確認する必要はない
③ 他の医薬品の使用状況を確認する必要はない
④ 過去の副作用経験は確認しなくてよい
答え:①
解説
購入目的は、販売時に確認しておきたい基本的なポイントの一つです。また、実際の使用者、治療状況、過去のアレルギーや副作用、他の医薬品や食品の摂取状況なども確認することが重要です。
問2
一般用医薬品の販売時のコミュニケーションについて、正しいものはどれか。
① 商品の説明をすれば、購入者が理解したか確認する必要はない
② 専門用語をそのまま使って説明することが重要である
③ 説明した内容が購入者にどのように理解され、行動に反映されているかを把握することが重要である
④ 購入者から情報を聞き取る必要はない
答え:③
解説
販売時の情報提供では、単に説明するだけではなく、説明した内容が購入者にどのように理解され、実際の使用に反映されているかを把握することが重要です。
問3
一般用医薬品の使用者について、正しいものはどれか。
① 購入者本人が必ず使用する
② 購入者以外の家族などが使用することもある
③ 使用者について確認する必要はない
④ 使用者が小児や高齢者であっても確認する必要はない
答え:②
解説
一般用医薬品は、購入者本人が使用するとは限らず、家族などのために購入する場合があります。そのため、実際の使用者について確認することが重要です。
問4
販売時に確認する事項として、誤っているものはどれか。
① 使用者が小児や高齢者、妊婦などに該当するか
② 医療機関で治療を受けているか
③ 過去にアレルギーや医薬品による副作用を経験しているか
④ 他の医薬品や食品との飲み合わせについて確認する必要はない
答え:④
解説
他の医薬品や食品の摂取状況は、相互作用や飲み合わせによる問題を確認するために重要です。
問5
一般用医薬品をすぐに使用する予定がある場合に確認する事項として、適切なものはどれか。
① 症状がある場合は、いつ頃から症状があるのかを確認する
② 症状の原因や患部について確認する必要はない
③ 使用者の状態を確認する必要はない
④ 購入目的を確認する必要はない
答え:①
解説
現在症状がある場合には、症状がいつ頃からあるのか、その原因や患部が特定されているかなどを確認することが重要です。
まとめ
登録販売者試験第1章⑦では、一般用医薬品の販売時には、単に商品を説明して販売するだけではなく、購入者や実際の使用者の状況を把握したうえで、適切な情報提供を行うことが重要であると理解しておきましょう。
特に重要なのは、
① 購入目的を確認する
② 実際の使用者を確認する
③ 小児・高齢者・妊婦などに該当しないか確認する
④ 医療機関で治療を受けていないか確認する
⑤ 過去のアレルギーや副作用経験を確認する
⑥ 他の医薬品や食品との相互作用・飲み合わせを確認する
⑦ 現在症状がある場合は、症状や発症時期などを確認する
⑧ 購入者が説明内容を理解し、適正使用につなげられるように情報提供する
というポイントです。
販売時のコミュニケーションでは、「何を売るか」だけではなく、「誰が、何のために、どのような状態で使用するのか」を把握することが重要です。
第1章では、この後、薬害の歴史について学習していきます。

