登録販売者試験では、医薬品の副作用について「どの部位にどのような症状が現れるのか」を理解しておくことが重要です。
今回は、第2章「人体の働きと医薬品」の「Ⅲ 症状からみた主な副作用」から、「3 体の局所に現れる副作用」の「1)消化器系に現れる副作用」を解説します。
消化器系では、消化性潰瘍、イレウス様症状、その他の消化器症状について整理しておきましょう。
この記事で学べること
・消化性潰瘍の症状と注意点
・イレウス様症状の特徴
・小児・高齢者・便秘傾向のある人のリスク
・その他の消化器系副作用
・症状が現れた場合の基本的な対応
消化器系に現れる主な副作用
消化器系に現れる副作用として、手引きでは次の3つが挙げられています。
① 消化性潰瘍
② イレウス様症状(腸閉塞様症状)
③ その他の消化器症状
特に試験では、消化性潰瘍とイレウス様症状について、特徴的な症状が問われやすいため、それぞれを区別して覚えることが重要です。
① 消化性潰瘍
消化性潰瘍は、胃や十二指腸の粘膜組織が傷害され、粘膜組織の一部が粘膜筋板を超えて欠損する状態です。
医薬品の副作用によって生じることも多いとされています。
主な症状
消化性潰瘍では、次のような症状が現れることがあります。
胃のもたれ
食欲低下
胸やけ
吐きけ
胃痛
空腹時のみぞおちの痛み
さらに、消化管から出血すると、糞便が黒くなることがあります。
自覚症状が乏しい場合もある
消化性潰瘍は、必ずしも強い症状が出るとは限りません。
自覚症状が乏しい場合もあり、貧血症状の検査時や、突然の吐血・下血によって発見されることもあります。
貧血症状としては、動悸や息切れなどがみられることがあります。
対応
重篤な状態への進行を防ぐため、消化性潰瘍が疑われる場合は、原因と考えられる医薬品の使用を中止し、医師の診療を受けるなどの対応が必要です。
② イレウス様症状(腸閉塞様症状)
イレウスとは、腸内容物の通過が阻害された状態をいいます。
腸管そのものが物理的に閉塞していなくても、医薬品の作用によって腸管運動が麻痺し、腸内容物の通過が妨げられることで、イレウス様症状が起こることがあります。
主な症状
イレウス様症状では、次の症状が重要です。
激しい腹痛
ガス排出(おなら)の停止
嘔吐
腹部膨満感を伴う著しい便秘
この組み合わせは試験対策として、そのまま覚えておきましょう。
脱水にも注意
腹痛などによって水分や食物の摂取が抑制されるため、嘔吐がない場合でも脱水状態になることがあります。
悪化すると、腸内容物の逆流による嘔吐が原因で脱水症状を呈したり、腸内細菌の異常増殖によって全身状態の衰弱が急激に進行したりする可能性があります。
発症リスクが高い人
イレウス様症状は、次の人で発症リスクが高いとされています。
小児
高齢者
普段から便秘傾向のある人
また、下痢が治った後の便秘を放置することで、症状を悪化させてしまうことがあります。
対応
初期症状に気付いた場合は、原因と考えられる医薬品の使用を中止し、早期に医師の診療を受けるなどの対応が必要です。
③ その他の消化器系副作用
消化器に対する医薬品の副作用では、消化性潰瘍やイレウス様症状以外にもさまざまな症状が現れることがあります。
主なものとして、次の症状を覚えておきましょう。
吐きけ・嘔吐
食欲不振
腹部(胃部)不快感
腹部膨満
腹痛
口内炎
口腔内の荒れ・刺激感
そのほか、軽度で一過性の症状として、口渇、便秘、軟便、下痢などが現れることもあります。
坐剤・浣腸の場合
坐剤や浣腸では、肛門部の熱感や不快感などが生じることがあります。
また、排便後に立ちくらみが生じることもあります。
症状が持続したり、症状が強くなったりする場合は、使用を中止して専門家に相談するなどの対応が必要です。
試験で覚えておきたいポイント
① 消化性潰瘍
→ 胃・十二指腸の粘膜組織が傷害される
→ 胃もたれ、食欲低下、胸やけ、吐きけ、胃痛など
→ 消化管出血では黒い便
② イレウス様症状
→ 腸内容物の通過が阻害される
→ 激しい腹痛、ガス排出停止、嘔吐、著しい便秘、腹部膨満
③ イレウス様症状のリスクが高い人
→ 小児、高齢者、便秘傾向のある人
④ その他
→ 吐きけ・嘔吐、食欲不振、腹部不快感、腹部膨満、腹痛など
⑤ 基本的な対応
→ 原因と考えられる医薬品の使用を中止
→ 必要に応じて医師の診療を受ける
試験で間違えやすいポイント
「黒い便」は消化性潰瘍と関連する
消化管出血に伴って糞便が黒くなることがあります。「黒い便=消化性潰瘍」の関連を押さえておきましょう。
「ガスが出ない+激しい腹痛+嘔吐+著しい便秘」はイレウス様症状
イレウス様症状の特徴的な組み合わせです。
イレウス様症状は小児・高齢者・便秘傾向のある人に注意
この3つはセットで覚えておくと、選択肢を判断しやすくなります。
「嘔吐がなければ脱水しない」は誤り
イレウス様症状では、水分や食物の摂取が抑制されることで、嘔吐がない場合でも脱水状態になることがあります。
予想問題
問1
消化性潰瘍の症状として正しいものはどれか。
① ガス排出の停止のみ
② 胃のもたれ、胸やけ、胃痛など
③ 耳鳴りと難聴
④ 排尿痛と血尿
答え:②
解説
消化性潰瘍では、胃のもたれ、食欲低下、胸やけ、吐きけ、胃痛、空腹時のみぞおちの痛みなどが現れることがあります。
消化管出血に伴って糞便が黒くなることもあります。
問2
イレウス様症状でみられる症状として、正しいものはどれか。
① 激しい腹痛、ガス排出の停止、嘔吐、著しい便秘
② 視力低下、耳鳴り、難聴
③ 黄疸、褐色尿、白色便
④ 鼻出血、歯肉出血、紫斑
答え:①
解説
イレウス様症状では、激しい腹痛、ガス排出の停止、嘔吐、腹部膨満感を伴う著しい便秘などが現れます。
この症状の組み合わせは重要なので、まとめて覚えておきましょう。
問3
イレウス様症状の発症リスクが高い人として、誤っているものはどれか。
① 小児
② 高齢者
③ 普段から便秘傾向のある人
④ 普段から便秘のない健康な成人だけ
答え:④
解説
イレウス様症状は、小児、高齢者、普段から便秘傾向のある人で発症リスクが高いとされています。
「健康な成人だけに起こりやすい」という④は誤りです。
問4
イレウス様症状に関する記述として、正しいものはどれか。
① 嘔吐がなければ脱水状態になることはない
② 腸管運動が麻痺して腸内容物の通過が妨げられることがある
③ 必ず腸管が物理的に閉塞している
④ 便秘がある場合は放置してよい
答え:②
解説
腸管そのものが閉塞していなくても、医薬品の作用によって腸管運動が麻痺し、腸内容物の通過が妨げられることがあります。
また、嘔吐がなくても水分や食物の摂取が抑制されることで脱水状態になることがあります。
問5
消化器系の副作用が現れた場合の対応として、正しいものはどれか。
① 原因と考えられる医薬品を継続して使用する
② 症状が強くなっても自己判断で使用量を増やす
③ 原因と考えられる医薬品の使用を中止し、必要に応じて医師の診療を受ける
④ すべての症状は自然に治るため対応は不要
答え:③
解説
消化性潰瘍やイレウス様症状などが疑われる場合は、原因と考えられる医薬品の使用を中止し、医師の診療を受けるなどの対応が必要です。
まとめ
消化器系に現れる副作用では、まず消化性潰瘍とイレウス様症状を区別して覚えましょう。
消化性潰瘍
→ 胃・十二指腸の粘膜が傷害
→ 胃もたれ、胸やけ、胃痛など
→ 消化管出血では黒い便
イレウス様症状
→ 腸内容物の通過が阻害
→ 激しい腹痛、ガス排出停止、嘔吐、著しい便秘、腹部膨満
→ 小児・高齢者・便秘傾向のある人は注意
その他の消化器症状
→ 吐きけ・嘔吐、食欲不振、腹部不快感、腹部膨満、腹痛など
特に「黒い便=消化管出血」「ガスが出ない+激しい腹痛=イレウス様症状」は、試験で判断できるようにしておきましょう。

