登録販売者試験第2章「人体の働きと医薬品」では、医薬品によって生じる重篤な副作用について、その症状や早期発見、適切な対応を理解することが重要です。
第2章⑲では、全身的に現れる重篤な副作用の一つである「偽アルドステロン症」について学びます。
偽アルドステロン症は、体内に塩分(ナトリウム)と水が貯留し、体からカリウムが失われることによって生じる病態です。
副腎皮質からのアルドステロン分泌が増加していないにもかかわらず、アルドステロンが増加した場合と同じような状態になることから「偽アルドステロン症」と呼ばれています。
症状が進行すると、筋力低下、起立不能、歩行困難、痙攣などを生じることがあり、重症化を防ぐためには早期発見が重要です。
特に、
・偽アルドステロン症の仕組み
・ナトリウムと水の貯留
・カリウムの喪失
・手足の脱力
・血圧上昇
・筋肉痛
・こむら返り
・倦怠感
・手足のしびれ
・頭痛
・むくみ(浮腫)
・喉の渇き
・吐きけ・嘔吐
・重症化した場合の症状
・発症しやすい人
・長期服用後の発症
・複数の医薬品や食品との相互作用
・原因医薬品の使用中止と受診
は、登録販売者試験で重要なポイントです。
本記事では、偽アルドステロン症について、試験で判断しやすいように整理して解説します。
この記事で学べること
この記事では、次の内容を整理します。
・偽アルドステロン症とは何か
・なぜ「偽」アルドステロン症と呼ばれるのか
・ナトリウムと水の貯留
・カリウムの喪失
・主な症状
・低カリウム血症と手足の脱力
・血圧上昇
・むくみや喉の渇き
・重症化した場合の症状
・発症しやすい人
・長期服用後に発症する場合
・複数の医薬品や食品との相互作用
・疑われる場合の対応
・試験で間違えやすいポイント
・予想問題
偽アルドステロン症とは
偽アルドステロン症とは、体内に塩分(ナトリウム)と水が貯留し、体からカリウムが失われることによって生じる病態です。
副腎皮質から分泌されるアルドステロンそのものが増加しているわけではないにもかかわらず、アルドステロンが増加した場合と同じような状態になるため、「偽アルドステロン症」と呼ばれています。
登録販売者試験では、「ナトリウム・水が貯留する」「カリウムが失われる」という組み合わせを押さえることが重要です。
なぜ「偽」アルドステロン症と呼ばれるのか
本来、アルドステロンは体内のナトリウムや水の保持、カリウムの排泄などに関わるホルモンです。
偽アルドステロン症では、副腎皮質からのアルドステロン分泌が増加していないにもかかわらず、アルドステロンが増加した場合と同じような状態が生じます。
このため、実際にはアルドステロンが増えていないのに、アルドステロンが増えたような状態になることから「偽アルドステロン症」と呼ばれています。
ナトリウムと水が体内に貯留する
偽アルドステロン症では、体内に塩分であるナトリウムと水が貯留します。
その結果、血圧が上昇したり、むくみ(浮腫)が現れたりすることがあります。
「ナトリウム・水の貯留」と「血圧上昇・むくみ」はセットで覚えておくと、試験問題で判断しやすくなります。
カリウムが失われる
偽アルドステロン症では、体からカリウムが失われます。
カリウムが不足すると、筋肉に関する症状が現れることがあります。
特に、手足の脱力や筋力低下などは重要な症状です。
「偽アルドステロン症=カリウム喪失=手足の脱力」と結びつけて覚えておきましょう。
主な症状
偽アルドステロン症の主な症状には、
・手足の脱力
・血圧上昇
・筋肉痛
・こむら返り
・倦怠感
・手足のしびれ
・頭痛
・むくみ(浮腫)
・喉の渇き
・吐きけ・嘔吐
などがあります。
これらの症状を単独で覚えるのではなく、「カリウムが失われることによる筋肉症状」と「ナトリウム・水が貯留することによる症状」に分けて整理すると覚えやすくなります。
手足の脱力や筋力低下に注意する
偽アルドステロン症では、手足の脱力が主な症状の一つとして現れます。
病態が進行すると、筋力低下が強くなり、起立不能や歩行困難などを生じることがあります。
さらに重症化すると、痙攣などを生じることもあります。
そのため、単なる疲労や筋肉痛と判断して放置しないことが重要です。
血圧上昇や頭痛が現れることがある
偽アルドステロン症では、体内にナトリウムと水が貯留することにより、血圧が上昇することがあります。
血圧上昇に伴って、頭痛が現れることもあります。
手足の脱力などの筋肉症状と、血圧上昇などの症状が組み合わさっている場合には、偽アルドステロン症の可能性を考えることが重要です。
むくみや喉の渇きが現れることがある
ナトリウムと水が体内に貯留することで、むくみ(浮腫)が現れることがあります。
また、喉の渇きや吐きけ・嘔吐などが現れることもあります。
特に、むくみや血圧上昇に加えて手足の脱力などが現れている場合には注意が必要です。
どのような人に起こりやすいのか
偽アルドステロン症は、低身長、低体重など体表面積が小さい人や、高齢者で生じやすいとされています。
体格や年齢によって発症リスクが高くなることがあるため、これらに該当する人では特に注意が必要です。
長期服用後に初めて発症する場合もある
偽アルドステロン症は、原因医薬品を長期間服用した後に初めて発症する場合があります。
そのため、「長期間使用して問題がなかったから、副作用は起こらない」と考えるのは誤りです。
長期服用後であっても、手足の脱力やむくみ、血圧上昇などの症状が現れた場合には、副作用の可能性を考える必要があります。
複数の医薬品や食品との相互作用にも注意する
偽アルドステロン症は、単一の医薬品だけでなく、複数の医薬品を使用した場合や、医薬品と食品との間の相互作用によって起こることがあります。
そのため、登録販売者は相談者が使用している医薬品だけではなく、他の医薬品や食品などについても確認することが重要です。
疑われる場合の対応
偽アルドステロン症が疑われる症状に気付いた場合には、直ちに原因と考えられる医薬品の使用を中止し、速やかに医師の診療を受けることが重要です。
偽アルドステロン症は初期症状を見過ごして重症化させてしまう例が多いため、早期に対応することが重要です。
登録販売者は、手足の脱力、血圧上昇、むくみ、筋肉痛、こむら返りなどの症状について相談された場合には、偽アルドステロン症の可能性を考え、適切な受診につなげる必要があります。
試験で覚えておきたいポイント
第2章⑲では、次のポイントを押さえておきましょう。
① 偽アルドステロン症は、ナトリウムと水が体内に貯留し、カリウムが失われることによって生じる
② アルドステロン分泌そのものが増加していないにもかかわらず、アルドステロンが増加した場合と同じような状態になる
③ 主な症状には手足の脱力、血圧上昇、筋肉痛、こむら返り、倦怠感、手足のしびれ、頭痛、むくみ、喉の渇き、吐きけ・嘔吐などがある
④ 病態が進行すると筋力低下、起立不能、歩行困難、痙攣などを生じる
⑤ 低身長、低体重など体表面積が小さい人や高齢者で生じやすい
⑥ 原因医薬品の長期服用後に初めて発症する場合がある
⑦ 複数の医薬品や、医薬品と食品との間の相互作用によって起こることがある
⑧ 初期症状を見過ごして重症化する例が多い
⑨ 疑われる症状に気付いたら、直ちに原因と考えられる医薬品の使用を中止し、速やかに医師の診療を受ける
試験で間違えやすいポイント
「偽アルドステロン症では、体内のカリウムが増加する」
→誤り
偽アルドステロン症では、体からカリウムが失われます。
「偽アルドステロン症では、ナトリウムと水が体内に貯留する」
→正しい
ナトリウムと水が体内に貯留することが、偽アルドステロン症の基本的な病態です。
「偽アルドステロン症では血圧が上昇することがある」
→正しい
主な症状の一つとして血圧上昇が挙げられています。
「偽アルドステロン症は短期間の服用でしか起こらない」
→誤り
原因医薬品の長期服用後に初めて発症する場合もあります。
「偽アルドステロン症では、複数の医薬品や食品との相互作用によって起こることはない」
→誤り
複数の医薬品や、医薬品と食品との間の相互作用によって起こることがあります。
「偽アルドステロン症が疑われる場合でも、原因と考えられる医薬品を継続して使用する」
→誤り
疑われる症状に気付いたら、直ちに原因と考えられる医薬品の使用を中止し、速やかに医師の診療を受けることが重要です。
予想問題
問1
偽アルドステロン症について、正しいものはどれか。
① カリウムが体内に蓄積することで生じる
② ナトリウムと水が体内に貯留し、カリウムが失われる
③ アルドステロン分泌が必ず増加している
④ 血圧低下だけが特徴である
答え:②
解説
偽アルドステロン症は、体内に塩分(ナトリウム)と水が貯留し、体からカリウムが失われることによって生じる病態です。
問2
偽アルドステロン症の主な症状として、正しいものはどれか。
① 手足の脱力
② 血圧低下のみ
③ 体温低下のみ
④ 視力低下のみ
答え:①
解説
偽アルドステロン症では、手足の脱力、血圧上昇、筋肉痛、こむら返り、倦怠感、手足のしびれ、頭痛、むくみ、喉の渇き、吐きけ・嘔吐などが現れることがあります。
問3
偽アルドステロン症が進行した場合に現れることがある症状はどれか。
① 起立不能
② 食欲増進のみ
③ 視力の一時的な改善
④ 鼻水のみ
答え:①
解説
偽アルドステロン症が進行すると、筋力低下、起立不能、歩行困難、痙攣などを生じることがあります。
問4
偽アルドステロン症について、誤っているものはどれか。
① 低身長や低体重など体表面積が小さい人で生じやすい
② 高齢者で生じやすい
③ 原因医薬品の長期服用後に初めて発症する場合がある
④ 原因医薬品を長期間使用して問題がなければ、その後は絶対に発症しない
答え:④
解説
偽アルドステロン症は、原因医薬品を長期間服用した後に初めて発症する場合があります。「長く使っているから発症しない」とは限りません。
問5
偽アルドステロン症が疑われる場合の対応として、正しいものはどれか。
① 原因と考えられる医薬品を継続する
② 症状が強くなるまで様子を見る
③ 原因と考えられる医薬品の使用を直ちに中止し、速やかに医師の診療を受ける
④ 別の医薬品を追加して使用する
答え:③
解説
偽アルドステロン症が疑われる症状に気付いた場合には、直ちに原因と考えられる医薬品の使用を中止し、速やかに医師の診療を受けることが重要です。
まとめ
登録販売者試験第2章⑲では、偽アルドステロン症について、その病態と主な症状、発症しやすい人、適切な対応を理解しておきましょう。
特に重要なのは、
① ナトリウムと水が体内に貯留し、カリウムが失われる
② アルドステロン分泌が増加していないにもかかわらず、アルドステロンが増加した場合と同じような状態になる
③ 手足の脱力、血圧上昇、筋肉痛、こむら返り、倦怠感、手足のしびれ、頭痛、むくみ、喉の渇き、吐きけ・嘔吐などが現れる
④ 進行すると筋力低下、起立不能、歩行困難、痙攣などを生じる
⑤ 低身長、低体重など体表面積が小さい人や高齢者で生じやすい
⑥ 原因医薬品の長期服用後に初めて発症する場合がある
⑦ 複数の医薬品や医薬品と食品との間の相互作用によって起こることがある
⑧ 疑われる症状に気付いたら、原因と考えられる医薬品の使用を直ちに中止し、速やかに医師の診療を受ける
というポイントです。
偽アルドステロン症は、初期症状を見過ごして重症化させてしまう例が多いため、手足の脱力や血圧上昇、むくみなどの症状を見逃さないことが重要です。
登録販売者は、症状だけでなく、服用期間、年齢、体格、併用している医薬品や食品なども確認し、偽アルドステロン症が疑われる場合には適切に受診につなげることが重要です。

