登録販売者試験第2章「人体の働きと医薬品」では、医薬品によって生じる重篤な副作用について、その症状や早期発見、適切な対応を理解することが重要です。
第2章⑱では、全身的に現れる重篤な副作用の一つである「肝機能障害」について学びます。
肝臓は、栄養素の代謝や有害物質の解毒など、生命活動に重要な役割を担っています。
医薬品によって肝機能障害が起こることがあり、軽度の場合には自覚症状がないまま、血液検査によって初めて判明することもあります。
一方で、症状が進行すると肝不全などの重篤な状態に至り、死に至ることもあります。
そのため、登録販売者は肝機能障害の主な症状を理解し、疑われる場合には原因と考えられる医薬品の使用を中止して、医師の診療を受けるよう勧めることが重要です。
特に、
・肝機能障害の原因
・中毒性の肝機能障害
・アレルギー性の肝機能障害
・自覚症状がない場合
・全身の倦怠感
・黄疸
・発熱、発疹、皮膚の掻痒感
・吐きけ
・ビリルビンと黄疸
・尿の色が濃くなる理由
・原因医薬品の使用中止と受診
・肝不全
・試験で間違えやすいポイント
は、登録販売者試験で重要なポイントです。
本記事では、肝機能障害について、試験で判断しやすいように整理して解説します。
この記事で学べること
この記事では、次の内容を整理します。
・医薬品による肝機能障害とは何か
・中毒性の肝機能障害
・アレルギー性の肝機能障害
・軽度の肝機能障害
・肝機能障害の主な症状
・全身の倦怠感
・黄疸
・発熱、発疹、皮膚の掻痒感
・吐きけ
・ビリルビンと黄疸
・尿の色が濃くなる理由
・肝不全への進行
・疑われる場合の対応
・試験で間違えやすいポイント
・予想問題
医薬品による肝機能障害とは
医薬品により生じる肝機能障害は、有効成分またはその代謝物による直接的な肝毒性が原因で起きるものと、有効成分に対する抗原抗体反応が原因で起きるものに大別されます。
前者を中毒性の肝機能障害、後者をアレルギー性の肝機能障害として整理すると覚えやすくなります。
登録販売者試験では、「肝機能障害には中毒性とアレルギー性がある」という点が重要です。
中毒性の肝機能障害
中毒性の肝機能障害は、有効成分またはその代謝物による直接的な肝毒性が原因で起こります。
医薬品の成分そのものや、その代謝によって生じた物質が肝臓に影響を与えることで、肝機能障害を生じることがあります。
アレルギー性の肝機能障害
アレルギー性の肝機能障害は、有効成分に対する抗原抗体反応が原因で起こります。
つまり、医薬品の成分に対する免疫学的な反応によって肝機能障害が生じるものです。
試験では、「抗原抗体反応」という言葉とアレルギー性の肝機能障害を結びつけて覚えておきましょう。
軽度の肝機能障害では自覚症状がないことがある
軽度の肝機能障害の場合、自覚症状がないことがあります。
そのため、健康診断などの血液検査で肝機能検査値が悪化していることによって、初めて肝機能障害が判明することもあります。
「症状がないから肝機能障害ではない」とは限りません。
登録販売者試験でも、この点は重要な判断ポイントです。
肝機能障害の主な症状
肝機能障害の主な症状として、
・全身の倦怠感
・黄疸
・発熱
・発疹
・皮膚の掻痒感
・吐きけ
などがあります。
特に、全身の倦怠感や黄疸は重要な症状として覚えておきましょう。
全身の倦怠感
肝機能障害では、全身の倦怠感が現れることがあります。
「何となくだるい」「体が重い」といった症状だけでは、肝機能障害と判断することは難しい場合があります。
しかし、医薬品を使用している人に他の症状と合わせて全身の倦怠感が現れている場合には、副作用の可能性を考える必要があります。
黄疸とは
黄疸は、肝機能障害を理解するうえで非常に重要な症状です。
黄疸とは、ビリルビンという黄色色素が胆汁中へ排出されず、血液中に滞留することによって生じる病態です。
その結果、皮膚や白眼が黄色くなることがあります。
「皮膚や白眼が黄色くなる=黄疸」と覚えておくと、試験問題で判断しやすくなります。
尿の色が濃くなることがある
血液中のビリルビンが過剰になると、ビリルビンが尿中へ排出されることがあります。
そのため、尿の色が濃くなることがあります。
肝機能障害では、黄疸だけではなく尿の色の変化にも注意する必要があります。
発熱や発疹、皮膚の掻痒感
肝機能障害では、黄疸や倦怠感だけでなく、発熱、発疹、皮膚の掻痒感などが現れることがあります。
これらは肝機能障害に特有の症状とは限らないため、医薬品の使用状況や他の症状と合わせて考えることが重要です。
吐きけにも注意する
肝機能障害の主な症状として、吐きけが現れることがあります。
吐きけだけでは肝機能障害を判断することは難しいものの、倦怠感や黄疸などを伴っている場合には注意が必要です。
肝不全に進行することがある
肝機能障害が疑われたにもかかわらず、原因と考えられる医薬品を漫然と使用し続けると、不可逆的な病変である肝不全を生じることがあります。
肝不全が進行すると、死に至ることもあります。
そのため、肝機能障害が疑われた時点で適切に対応することが重要です。
疑われる場合の対応
肝機能障害が疑われた場合には、原因と考えられる医薬品の使用を中止し、医師の診療を受けることが重要です。
症状が軽いからといって、原因と考えられる医薬品を漫然と使い続けることは避ける必要があります。
登録販売者は、医薬品の使用後に全身の倦怠感、黄疸、発熱、発疹、皮膚の掻痒感、吐きけなどが現れた場合には、肝機能障害の可能性を考え、適切な受診につなげることが重要です。
試験で覚えておきたいポイント
第2章⑱では、次のポイントを押さえておきましょう。
① 医薬品による肝機能障害には、中毒性のものとアレルギー性のものがある
② 中毒性は、有効成分またはその代謝物による直接的な肝毒性が原因で起こる
③ アレルギー性は、有効成分に対する抗原抗体反応が原因で起こる
④ 軽度の肝機能障害では自覚症状がないことがある
⑤ 健康診断などの血液検査で初めて判明することがある
⑥ 主な症状には全身の倦怠感、黄疸、発熱、発疹、皮膚の掻痒感、吐きけなどがある
⑦ 黄疸はビリルビンが血液中に滞留することによって生じる
⑧ 黄疸では皮膚や白眼が黄色くなる
⑨ 血液中のビリルビンが尿中に排出されることで、尿の色が濃くなることがある
⑩ 肝機能障害が疑われた時点で原因と考えられる医薬品の使用を中止し、医師の診療を受ける
⑪ 原因医薬品を漫然と使用し続けると、肝不全を生じ、死に至ることがある
試験で間違えやすいポイント
「肝機能障害は必ず自覚症状が現れる」
→誤り
軽度の肝機能障害では自覚症状がなく、血液検査によって初めて判明することがあります。
「黄疸とは皮膚や白眼が黄色くなる病態である」
→正しい
ビリルビンが胆汁中へ排出されず血液中に滞留することによって、皮膚や白眼が黄色くなることがあります。
「肝機能障害では尿の色が濃くなることがある」
→正しい
血液中のビリルビンが尿中へ排出されることにより、尿の色が濃くなることがあります。
「アレルギー性の肝機能障害は抗原抗体反応とは関係がない」
→誤り
アレルギー性の肝機能障害は、有効成分に対する抗原抗体反応が原因で起こります。
「肝機能障害が疑われても、原因医薬品をそのまま使い続ければよい」
→誤り
肝機能障害が疑われた時点で、原因と考えられる医薬品の使用を中止し、医師の診療を受けることが重要です。
「肝機能障害を放置しても肝不全に進行することはない」
→誤り
原因と考えられる医薬品を漫然と使用し続けると、不可逆的な病変である肝不全を生じ、死に至ることもあります。
予想問題
問1
医薬品による肝機能障害について、正しいものはどれか。
① 中毒性のものとアレルギー性のものがある
② 必ず自覚症状が現れる
③ 医薬品では起こらない
④ 肝機能障害では血液検査は関係しない
答え:①
解説
医薬品による肝機能障害は、有効成分またはその代謝物による直接的な肝毒性が原因となる中毒性のものと、有効成分に対する抗原抗体反応が原因となるアレルギー性のものに大別されます。
問2
肝機能障害の症状について、正しいものはどれか。
① 全身の倦怠感が現れることがある
② 必ず皮膚が青くなる
③ 黄疸は肝機能障害とは関係がない
④ 吐きけは起こらない
答え:①
解説
肝機能障害の主な症状には、全身の倦怠感、黄疸、発熱、発疹、皮膚の掻痒感、吐きけなどがあります。
問3
黄疸について、正しいものはどれか。
① ビリルビンが血液中に滞留することによって生じる
② 必ず尿が無色になる
③ 皮膚や白眼が黄色くなることはない
④ 肝機能障害とは関係がない
答え:①
解説
黄疸は、ビリルビンが胆汁中へ排出されず血液中に滞留することによって生じ、皮膚や白眼が黄色くなることがあります。また、血液中のビリルビンが尿中へ排出されることで、尿の色が濃くなることがあります。
問4
肝機能障害が疑われる場合の対応について、正しいものはどれか。
① 原因と考えられる医薬品を漫然と使用し続ける
② 原因と考えられる医薬品の使用を中止し、医師の診療を受ける
③ 症状がなくても必ず医薬品を追加する
④ 肝機能障害は自然に必ず治るため受診は不要である
答え:②
解説
肝機能障害が疑われた時点で、原因と考えられる医薬品の使用を中止し、医師の診療を受けることが重要です。
問5
肝機能障害について、誤っているものはどれか。
① 軽度の場合、自覚症状がないことがある
② 血液検査によって初めて判明することがある
③ 原因医薬品を漫然と使用し続けても肝不全には進行しない
④ 黄疸が現れることがある
答え:③
解説
肝機能障害が疑われたにもかかわらず、原因と考えられる医薬品を漫然と使用し続けると、不可逆的な病変である肝不全を生じ、死に至ることもあります。
まとめ
登録販売者試験第2章⑱では、医薬品によって生じる肝機能障害について理解しておきましょう。
特に重要なのは、
① 医薬品による肝機能障害には中毒性とアレルギー性がある
② 中毒性は有効成分またはその代謝物による直接的な肝毒性が原因である
③ アレルギー性は有効成分に対する抗原抗体反応が原因である
④ 軽度の肝機能障害では自覚症状がないことがある
⑤ 主な症状には全身の倦怠感、黄疸、発熱、発疹、皮膚の掻痒感、吐きけなどがある
⑥ 黄疸はビリルビンが血液中に滞留することによって生じ、皮膚や白眼が黄色くなる
⑦ ビリルビンが尿中へ排出されることで、尿の色が濃くなることがある
⑧ 肝機能障害が疑われた時点で原因と考えられる医薬品の使用を中止し、医師の診療を受ける
⑨ 原因医薬品を漫然と使用し続けると、肝不全を生じ、死に至ることがある
というポイントです。
肝機能障害は、軽度では自覚症状がないこともある一方、進行すると肝不全などの重篤な状態につながる可能性があります。
登録販売者は、医薬品使用後の倦怠感や黄疸などの症状を見逃さず、肝機能障害が疑われる場合には適切に受診へつなげることが重要です。

