第3章「主な医薬品とその作用」は、登録販売者試験の中でも出題範囲が広く、医薬品の成分、作用、副作用、使用上の注意、受診勧奨などについて幅広く問われます。
これまでの記事では、かぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、胃腸薬、鼻炎用薬、眼科用薬、皮膚用薬、婦人薬、漢方処方製剤、生薬製剤、消毒薬、殺虫剤・忌避剤、一般用検査薬などを分野ごとに解説してきました。
この記事では、第3章で特に覚えておきたい重要ポイントを総整理します。
第3章で押さえておきたいポイント
第3章では、単に医薬品の成分名を覚えるだけではなく、次のような内容を関連付けて理解することが重要です。
・成分の作用
・代表的な副作用
・相互作用
・使用上の注意
・年齢による使用制限
・連用による問題
・受診勧奨
・漢方処方製剤の特徴
・生薬の特徴
・一般用検査薬の判定と注意点
特に、似た作用を持つ成分や、作用機序が異なる成分を区別して覚えておきましょう。
かぜ薬・解熱鎮痛薬の重要ポイント
かぜ薬は、発熱、頭痛、鼻水、鼻づまり、咳、痰など、かぜに伴う複数の症状に対応するため、複数の成分が配合されています。
そのため、かぜ薬を使用する際には、ほかのかぜ薬や解熱鎮痛薬などとの成分重複に注意する必要があります。
すでに使用している医薬品がある場合には、同じ成分や同種の作用を持つ成分が重複していないか確認することが重要です。
解熱鎮痛薬については、成分ごとの作用だけでなく、使用できない場合や副作用、受診が必要となる症状なども整理しておきましょう。
鎮咳去痰薬の重要ポイント
咳は、気道内の異物や分泌物などを排出するための防御反応でもあります。
そのため、咳を抑えることだけを考えるのではなく、咳の原因や症状の程度を確認することが重要です。
鎮咳成分の中には、依存性や習慣性などについて注意が必要なものもあります。
登録販売者試験では、鎮咳成分の作用だけでなく、使用上の注意や連用について問われることがあります。
眠気を生じる成分の重要ポイント
抗ヒスタミン成分などには、眠気を生じるものがあります。
眠気が生じる可能性がある医薬品を使用した場合には、自動車の運転など危険を伴う機械操作を避ける必要があります。
乗り物酔い防止薬についても、抗ヒスタミン成分などによる眠気が重要なポイントです。
「抗ヒスタミン成分=眠気に注意」と関連付けて覚えておきましょう。
胃腸薬の重要ポイント
胃腸薬には、制酸薬、健胃薬、消化薬、胃粘膜保護成分、整腸薬、止瀉薬、瀉下薬など、さまざまな種類があります。
制酸薬は胃酸を中和するなどして胃酸による刺激を抑えます。
一方、胃酸の分泌を抑える成分などもあり、それぞれの作用を区別して覚える必要があります。
止瀉薬については、感染性胃腸炎などが疑われる場合には、自己判断で下痢を止めることが適切ではない場合があります。
瀉下薬については、成分によって作用する仕組みが異なるため、代表的な成分と作用を整理しておきましょう。
鼻炎用薬・眼科用薬の重要ポイント
鼻炎用薬では、抗ヒスタミン成分や血管収縮成分などが重要です。
血管収縮成分を含む点鼻薬では、長期連用によってかえって鼻づまりが起こることがあるため、使用期間に注意が必要です。
点眼薬では、容器の先端をまぶたやまつ毛、眼球などに接触させないことが重要です。
複数の点眼薬を使用する場合には、製品の使用方法に従い、適切な間隔をあけて使用します。
皮膚用薬の重要ポイント
皮膚用薬には、殺菌消毒成分、抗真菌成分、抗炎症成分、局所麻酔成分、抗ヒスタミン成分などがあります。
皮膚のかゆみや炎症などは、原因によって適した医薬品が異なります。
そのため、「かゆいからこの薬」というように症状だけで判断するのではなく、患部の状態や使用部位などを確認することが重要です。
目の周囲など、使用できる部位に注意が必要な医薬品もあります。
婦人薬の重要ポイント
婦人薬では、更年期障害、月経不順、月経痛などに用いられる成分や漢方処方製剤について問われることがあります。
漢方処方製剤については、症状名だけで判断するのではなく、「証」や体質、体力などを考慮するという考え方を理解しておきましょう。
漢方処方製剤・生薬の重要ポイント
漢方処方製剤では、処方名だけでなく、構成生薬や使用される人の体質・症状などが重要です。
また、甘草を含む漢方処方製剤などでは、過量・長期使用などによる偽アルドステロン症に注意が必要です。
偽アルドステロン症では、血圧上昇、むくみ、体重増加、低カリウム血症などがみられることがあります。
生薬については、代表的な生薬の特徴と、どのような漢方処方製剤に配合されているかを関連付けて覚えると整理しやすくなります。
消毒薬の重要ポイント
消毒薬は、使用する場所や対象となる微生物などに応じて適切なものを選択する必要があります。
濃度や使用方法を誤ると、十分な効果が得られなかったり、人体に有害な影響を及ぼしたりする可能性があります。
また、消毒薬は飲用するものではないため、誤飲には十分注意する必要があります。
殺虫用医薬品などを誤って飲み込んだ場合には、製品に含まれる殺虫成分の種類を医師に伝えて診療を受けるなど、適切に対応する必要があります。
殺虫剤・忌避剤の重要ポイント
殺虫剤では、殺虫成分の種類と作用機序を区別して覚えることが重要です。
有機リン系殺虫成分は、コリンエステラーゼを阻害することで殺虫作用を示します。
カーバメート系殺虫成分もコリンエステラーゼを阻害しますが、有機リン系とは異なり、可逆的に阻害します。
ピレスロイド系は、昆虫の神経系に作用して殺虫効果を示します。
また、昆虫成長制御剤には、幼若ホルモン様作用を示すものや、脱皮を阻害するものがあります。
ディートの使用上の注意
忌避剤では、ディートやイカリジンなどが重要です。
特にディートについては、年齢による使用上の注意を正確に覚えておきましょう。
ディートを含有する忌避剤は、生後6か月未満の乳児への使用を避けます。
生後6か月以上2歳未満の小児では、1日1回までとされています。
2歳以上12歳未満の小児では、1日1~3回までとされています。
また、生後6か月以上12歳未満の小児では、顔面への使用を避けます。
この年齢区分と使用回数は、登録販売者試験でも重要なポイントです。
一般用検査薬の重要ポイント
一般用検査薬は、一般の生活者が正しく使用して健康状態を把握し、速やかな受診につなげることで、疾病を早期発見するためのものです。
検査に用いられる検体には、尿、糞便、鼻汁、唾液、涙液など、採血や穿刺などの侵襲を伴わずに採取できるものがあります。
一方、悪性腫瘍、心筋梗塞、遺伝性疾患など、重大な疾患の診断に関係するものは一般用検査薬の対象外です。
一般用検査薬は専門的診断の代わりではない
一般用検査薬の検査結果だけで疾病を確定できるわけではありません。
販売時には、専門的な診断に代わるものではないこと、検査薬の使用方法や保管方法、検体の採取時間、妨害物質が検査結果に与える影響などについて、適切に情報提供することが重要です。
偽陰性と偽陽性
偽陰性とは、実際には対象物質が存在しているにもかかわらず、検査結果が陰性となることです。
偽陽性とは、実際には対象物質が存在していないにもかかわらず、検査結果が陽性となることです。
この2つは意味を逆にしないように注意しましょう。
尿糖・尿タンパク検査
尿糖検査では、尿中のブドウ糖を調べます。
尿糖が陽性であっても、それだけで糖尿病と確定できるわけではありません。
尿タンパクについては、腎臓や尿路などの異常が関係する場合があります。
尿検査では、検体の採取時間や採取方法、検査までの時間などが結果に影響する場合があるため、製品ごとの使用方法を守ることが重要です。
妊娠検査薬
妊娠検査薬は、尿中のhCGを検出します。
一般的な妊娠検査薬では、月経予定日の概ね1週間後以降を目安として使用するものがあります。
早すぎる時期に検査すると、妊娠していてもhCGの量が十分でなく、陰性となる場合があります。
また、陽性結果が出たからといって、正常な妊娠であることまで確定するわけではありません。
陰性であっても月経の遅れが著しい場合などには、医療機関への受診を検討する必要があります。
ここは絶対に覚えたい!第3章重要ポイント
| 分野 | 重要ポイント |
|---|---|
| かぜ薬 | 複数成分の配合・成分重複に注意 |
| 解熱鎮痛薬 | 作用・副作用・使用上の注意・受診勧奨 |
| 鎮咳去痰薬 | 咳の防御反応・連用・依存性などに注意 |
| 乗り物酔い防止薬 | 眠気などの副作用に注意 |
| 胃腸薬 | 制酸・健胃・消化・止瀉・瀉下などの違い |
| 鼻炎用薬 | 抗ヒスタミン成分・血管収縮成分など |
| 眼科用薬 | 容器の先端を目やまつ毛などに接触させない |
| 皮膚用薬 | 症状だけでなく原因や患部の状態を確認 |
| 漢方処方製剤 | 証・体質・構成生薬・副作用 |
| 甘草 | 偽アルドステロン症に注意 |
| 消毒薬 | 用途・濃度・使用方法を守る |
| 殺虫剤 | 有機リン系・ピレスロイド系・カーバメート系などを区別 |
| 忌避剤 | ディートの年齢別使用制限・イカリジンとの違い |
| 一般用検査薬 | 偽陰性・偽陽性・検体採取・妨害物質・受診勧奨 |
予想問題
問1
一般用検査薬について、正しいものはどれか。
- 専門的な診断に代わるものである。
- 検査結果が陽性であれば、必ず疾病が確定する。
- 健康状態を把握し、速やかな受診につなげることで疾病の早期発見を目的とする。
- 悪性腫瘍の診断を目的とした検査も一般用検査薬に含まれる。
答え:3
問2
偽陰性の説明として正しいものはどれか。
- 対象物質が存在しないのに陽性となること
- 対象物質が存在するのに陰性となること
- 対象物質が存在しないのに陰性となること
- 検査結果が必ず陽性になること
答え:2
問3
妊娠検査薬が検出するものとして正しいものはどれか。
- インスリン
- hCG
- アドレナリン
- コルチゾール
答え:2
問4
漢方処方製剤について、正しいものはどれか。
- 症状名だけで一律に選択する。
- 証や体質、体力などを考慮する。
- 副作用は生じない。
- すべての人に同じ処方が適している。
答え:2
問5
甘草を含む漢方処方製剤などで注意すべきものはどれか。
- 偽アルドステロン症
- 白内障
- 虫垂炎
- 骨折
答え:1
問6
殺虫剤について、有機リン系殺虫成分の特徴として正しいものはどれか。
- コリンエステラーゼを阻害する。
- 昆虫の脱皮だけを阻害する。
- 幼若ホルモンと同じ作用だけを示す。
- 殺虫作用を示さない。
答え:1
問7
ディートを含有する忌避剤について、正しいものはどれか。
- 生後6か月未満の乳児にも使用できる。
- 生後6か月未満の乳児への使用を避ける。
- 12歳未満の小児には使用回数の制限がない。
- 6か月以上12歳未満の小児の顔面にも使用する。
答え:2
問8
ディートを含有する忌避剤について、2歳以上12歳未満の小児における1日の使用限度として正しいものはどれか。
- 1日1回
- 1日1~2回
- 1日1~3回
- 回数制限はない
答え:3
問9
点眼薬を使用する際の注意として正しいものはどれか。
- 容器の先端をまぶたやまつ毛に接触させる。
- 容器の先端を目やまつ毛などに接触させない。
- 使用期限は確認する必要がない。
- 複数の点眼薬は必ず同時に使用する。
答え:2
問10
一般用検査薬の販売時の情報提供について、正しいものはどれか。
- 専門的診断に代わることを説明する。
- 検体の採取時間は結果に関係しないため説明する必要はない。
- 検査薬の使い方、保管上の注意、検体の採取時間、妨害物質の影響などを説明する。
- 検査結果が陽性であれば受診する必要はない。
答え:3
まとめ
登録販売者試験の第3章では、医薬品の成分名だけを暗記するのではなく、「何に使うのか」「どのように作用するのか」「どのような副作用があるのか」「どのような人に注意が必要なのか」まで関連付けて理解することが重要です。
特に、成分の重複、眠気、連用、相互作用、漢方処方製剤の証、甘草による偽アルドステロン症、殺虫剤の作用機序、ディートの年齢別使用制限、一般用検査薬の偽陰性・偽陽性などは、試験前に繰り返し確認しておきましょう。
第3章は出題範囲が広いため、各分野の記事を読み返しながら、成分名と作用・副作用・使用上の注意をセットで整理することが合格への近道です。
参考資料
・厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)」
・厚生労働省「登録販売者試験」
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