登録販売者試験第3章「主な医薬品とその作用」では、医薬品の有効成分がどのような仕組みで症状を緩和するのかを理解することが重要です。
第3章②では、「解熱鎮痛薬」の基本となる「痛みや発熱が起こる仕組み、解熱鎮痛薬の働き」について学びます。
痛みは病気や外傷などに対する警告信号として、発熱は細菌やウイルスなどの感染に対する生体防御機能の一つとして起こります。
その一方で、月経痛(生理痛)のように、必ずしも病気が原因とはいえない痛みもあります。
痛みや発熱には、プロスタグランジンという物質が関係しています。
解熱鎮痛薬は、このような痛みや発熱の原因となっている病気や外傷そのものを根本的に治療する薬ではなく、発熱や痛みを緩和するために使用される対症療法薬です。
特に、
・痛みの役割
・発熱の役割
・プロスタグランジン
・痛みのシグナルの増幅
・温熱中枢
・炎症との関係
・解熱鎮痛薬の働き
・鎮痛、解熱、抗炎症
・プロスタグランジンの産生抑制
・月経痛とプロスタグランジン
・内臓痛には注意が必要なこと
・試験で間違えやすいポイント
は、登録販売者試験で重要なポイントです。
本記事では、痛みや発熱が起こる仕組みと、解熱鎮痛薬がどのように働くのかを、試験で判断しやすいように整理して解説します。
この記事で学べること
この記事では、次の内容を整理します。
・痛みはなぜ起こるのか
・発熱はなぜ起こるのか
・プロスタグランジンとは何か
・痛みのシグナルが増幅される仕組み
・プロスタグランジンと発熱
・プロスタグランジンと炎症
・解熱鎮痛薬とは何か
・鎮痛作用
・解熱作用
・抗炎症作用
・プロスタグランジン産生抑制
・月経痛との関係
・内臓痛との違い
・試験で間違えやすいポイント
・予想問題
痛みは体からの警告信号
痛みは、病気や外傷などに対して、身体に異常が起こっていることを知らせる警告信号として引き起こされる症状です。
例えば、外傷などによって組織が傷ついた場合、その部位ではさまざまな物質が産生され、痛みの感覚が生じます。
痛みは単に取り除くべきものというだけではなく、身体の異常を知らせる重要なサインでもあります。
発熱は生体防御機能の一つ
発熱は、細菌やウイルス等の感染などに対する生体防御機能の一つとして引き起こされる症状です。
体温が高くなることによって、ウイルスの増殖を抑えたり、免疫機構の働きを高めたりする体内環境がつくられます。
そのため、発熱そのものは身体に備わった防御反応の一つです。
ただし、高熱などによって身体への負担が大きくなる場合には、解熱鎮痛薬によって症状を緩和することがあります。
プロスタグランジンとは
プロスタグランジンは、ホルモンに似た働きをする物質です。
病気や外傷があるときに活発に産生されるようになり、痛みや発熱、炎症に関係します。
プロスタグランジンは、体の各部位で発生した痛みが脳へ伝わる際に、そのシグナルを増幅することで、痛みの感覚を強めています。
また、脳の下部にある体温を調節する部位である温熱中枢に作用し、体温を通常よりも高く維持するように調節します。
さらに、炎症の発生にも関与しています。
プロスタグランジンと痛み
病気や外傷などによってプロスタグランジンが活発に産生されると、痛みのシグナルが増幅されます。
その結果、痛みの感覚が強くなります。
頭痛や関節痛も、プロスタグランジンによって増強されます。
試験では、「プロスタグランジン=痛みのシグナルを増幅」と覚えておきましょう。
プロスタグランジンと発熱
プロスタグランジンは、脳の下部にある温熱中枢に作用し、体温を通常よりも高く維持するように調節します。
この働きによって、感染などに伴う発熱が起こります。
つまり、プロスタグランジンは「痛み」だけではなく、「発熱」にも関係しています。
プロスタグランジンと炎症
プロスタグランジンは炎症の発生にも関与しています。
炎症が起こった部位では、腫れや痛みなどの症状が現れることがあります。
そのため、プロスタグランジンは、痛み・発熱・炎症を理解するうえで重要な物質です。
解熱鎮痛薬とは
解熱鎮痛薬とは、発熱や痛みの原因となっている病気や外傷を根本的に治すものではなく、病気や外傷が原因で生じている発熱や痛みを緩和するために使用される医薬品の総称です。
つまり、解熱鎮痛薬は原因治療薬ではなく、症状を緩和するための対症療法薬です。
試験では、「解熱鎮痛薬=病気そのものを治す薬ではない」という点が重要です。
解熱鎮痛薬の3つの働き
解熱鎮痛薬には、主に次のような働きがあります。
・鎮痛
・解熱
・抗炎症
鎮痛は、痛みのシグナルの増幅を防いで痛みを鎮める働きです。
解熱は、異常となった体温調節のメカニズムを正常状態に戻して熱を下げる働きです。
抗炎症は、炎症が発生している部位に作用して、腫れなどの症状を軽減する働きです。
多くの解熱鎮痛薬はプロスタグランジンの産生を抑える
多くの解熱鎮痛薬には、体内におけるプロスタグランジンの産生を抑える成分が配合されています。
プロスタグランジンの産生が抑えられることで、痛みや発熱、炎症などの症状を緩和することにつながります。
「プロスタグランジンの産生抑制=解熱鎮痛薬の重要な作用」と覚えておきましょう。
鎮痛作用
解熱鎮痛薬では、痛みのシグナルが増幅されるのを防ぐことで、痛みを鎮めます。
頭痛、歯痛、咽喉痛、関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛、月経痛など、さまざまな痛みに用いられます。
ただし、痛みの種類によっては、解熱鎮痛薬の効果が十分に期待できない場合があります。
解熱作用
解熱鎮痛薬には、異常となった体温調節のメカニズムを正常状態に戻して熱を下げる働きがあります。
化学的に合成された解熱鎮痛成分では、中枢神経系におけるプロスタグランジンの産生抑制作用が解熱に関係します。
また、腎臓における水分の再吸収を促して循環血流量を増し、発汗を促進する作用も解熱に寄与しています。
抗炎症作用
解熱鎮痛薬の中には、炎症が発生している部位に作用し、腫れなどの症状を軽減する抗炎症作用を持つものがあります。
体の各部で起こる痛みや炎症に対しては、局所のプロスタグランジン産生を抑制する作用によって、痛みや炎症を鎮める効果を発揮します。
ただし、アセトアミノフェンはこの点で他の化学的に合成された解熱鎮痛成分とは異なります。
解熱鎮痛成分によって作用の特徴が異なる
解熱鎮痛成分によって、解熱、鎮痛、抗炎症のいずれの作用が中心的となるかなど、その性質が異なります。
そのため、「すべての解熱鎮痛成分が全く同じ働きをする」と考えないことが重要です。
試験では、成分ごとの特徴を後の項目で整理していくことになります。
月経痛にもプロスタグランジンが関係する
月経痛(生理痛)は、月経そのものが起こる過程にプロスタグランジンが関わっています。
そのため、月経痛は解熱鎮痛薬の効能・効果に含まれています。
ただし、痛みの発生の仕組みによっては、解熱鎮痛薬の効果が期待できないものもあります。
腹痛を含む痙攣性の内臓痛には注意
腹痛を含む痙攣性の内臓痛は、頭痛や関節痛などとは痛みの発生の仕組みが異なります。
そのため、一部の漢方処方製剤を除き、解熱鎮痛薬の効果は期待できません。
「すべての痛みに解熱鎮痛薬が効くわけではない」という点は、試験で重要です。
解熱鎮痛薬は原因疾患を治療する薬ではない
解熱鎮痛薬を使用して痛みや熱が軽くなっても、病気や外傷そのものが治ったとは限りません。
症状を緩和しているだけで、原因となっている病気や外傷を根本的に治療しているわけではないためです。
そのため、症状が長引いたり、重い症状が現れたりする場合には、原因疾患について医療機関で診療を受けることが重要です。
試験で覚えておきたいポイント
第3章②では、次のポイントを押さえておきましょう。
① 痛みは病気や外傷などに対する警告信号である
② 発熱は細菌やウイルス等の感染などに対する生体防御機能の一つである
③ 月経痛のように、必ずしも病気が原因とはいえない痛みもある
④ プロスタグランジンはホルモンに似た働きをする物質である
⑤ プロスタグランジンは痛みのシグナルを増幅し、痛みの感覚を強める
⑥ プロスタグランジンは温熱中枢に作用し、体温を通常よりも高く維持するよう調節する
⑦ プロスタグランジンは炎症の発生にも関与する
⑧ 解熱鎮痛薬は病気や外傷を根本的に治療する薬ではなく、発熱や痛みを緩和する対症療法薬である
⑨ 解熱鎮痛薬には鎮痛、解熱、抗炎症の働きがある
⑩ 多くの解熱鎮痛薬には、プロスタグランジンの産生を抑える成分が配合されている
⑪ 解熱鎮痛成分によって、解熱、鎮痛、抗炎症のいずれの作用が中心となるかなど性質が異なる
⑫ 月経そのものが起こる過程にはプロスタグランジンが関与する
⑬ 腹痛を含む痙攣性の内臓痛は、解熱鎮痛薬では効果が期待できない場合がある
試験で間違えやすいポイント
「発熱は病気によって起こる不要な反応なので、身体の防御機能ではない」
→誤り
発熱は、細菌やウイルス等の感染などに対する生体防御機能の一つです。
「プロスタグランジンは痛みだけに関係し、発熱には関与しない」
→誤り
プロスタグランジンは痛みのシグナルを増幅するだけでなく、温熱中枢に作用して体温を通常よりも高く維持するよう調節します。
「解熱鎮痛薬は病気や外傷を根本的に治療する薬である」
→誤り
解熱鎮痛薬は、病気や外傷によって生じる発熱や痛みを緩和するための対症療法薬です。
「多くの解熱鎮痛薬にはプロスタグランジンの産生を抑える成分が配合されている」
→正しい
多くの解熱鎮痛薬では、体内におけるプロスタグランジンの産生を抑える成分が配合されています。
「解熱鎮痛薬はすべての種類の痛みに効果がある」
→誤り
腹痛を含む痙攣性の内臓痛は発生の仕組みが異なるため、一部の漢方処方製剤を除き、解熱鎮痛薬の効果は期待できません。
「すべての解熱鎮痛成分は同じ作用が中心である」
→誤り
解熱鎮痛成分によって、解熱、鎮痛、抗炎症のいずれの作用が中心となるかなど、その性質が異なります。
予想問題
問1
痛みについて、正しいものはどれか。
① 痛みは必ず病気によって起こる
② 痛みは病気や外傷などに対する警告信号として引き起こされる
③ 痛みは身体にとって意味のない反応である
④ 月経痛は必ず病気が原因である
答え:②
解説
痛みは病気や外傷などに対する警告信号として引き起こされます。ただし、月経痛(生理痛)のように、必ずしも病気が原因とはいえない痛みもあります。
問2
プロスタグランジンについて、正しいものはどれか。
① 痛みのシグナルを増幅する
② 発熱には関係しない
③ 炎症には関係しない
④ 体温調節には関係しない
答え:①
解説
プロスタグランジンは、痛みが脳へ伝わる際のシグナルを増幅して痛みの感覚を強めるほか、温熱中枢に作用して体温を通常よりも高く維持するように調節し、炎症の発生にも関与します。
問3
解熱鎮痛薬について、正しいものはどれか。
① 病気や外傷を根本的に治療する薬である
② 発熱や痛みを緩和するために使用される対症療法薬である
③ 必ず炎症だけを抑える
④ 必ず病気の原因を除去する
答え:②
解説
解熱鎮痛薬は、病気や外傷を根本的に治すものではなく、発熱や痛みを緩和するために使用される対症療法薬です。
問4
解熱鎮痛薬の働きとして、正しいものはどれか。
① 鎮痛、解熱、抗炎症
② 利尿、止瀉、催眠
③ 抗菌、抗真菌、抗ウイルス
④ 鎮静、催眠、利尿
答え:①
解説
解熱鎮痛薬は、痛みを鎮める鎮痛、熱を下げる解熱、炎症による腫れなどを軽減する抗炎症を目的として使用されます。
問5
解熱鎮痛薬について、誤っているものはどれか。
① 多くの解熱鎮痛薬にはプロスタグランジンの産生を抑える成分が配合されている
② 月経痛にはプロスタグランジンが関わっている
③ 腹痛を含む痙攣性の内臓痛には、一部の漢方処方製剤を除き解熱鎮痛薬の効果は期待できない
④ すべての種類の痛みに同じように効果がある
答え:④
解説
痛みの発生の仕組みは種類によって異なり、腹痛を含む痙攣性の内臓痛については、一部の漢方処方製剤を除き解熱鎮痛薬の効果は期待できません。
まとめ
登録販売者試験第3章②では、痛みや発熱が起こる仕組みと、解熱鎮痛薬の基本的な働きを理解しておきましょう。
特に重要なのは、
① 痛みは病気や外傷などに対する警告信号である
② 発熱は細菌やウイルス等の感染などに対する生体防御機能の一つである
③ プロスタグランジンは痛みのシグナルを増幅し、痛みの感覚を強める
④ プロスタグランジンは温熱中枢に作用して体温を高く維持するよう調節する
⑤ プロスタグランジンは炎症の発生にも関与する
⑥ 解熱鎮痛薬は病気や外傷を根本的に治す薬ではなく、発熱や痛みを緩和する対症療法薬である
⑦ 解熱鎮痛薬には鎮痛、解熱、抗炎症の働きがある
⑧ 多くの解熱鎮痛薬にはプロスタグランジンの産生を抑える成分が配合されている
⑨ 解熱鎮痛成分によって、作用の中心となる性質が異なる
⑩ 月経痛にはプロスタグランジンが関係している
⑪ 腹痛を含む痙攣性の内臓痛は、発生の仕組みが異なるため、一部の漢方処方製剤を除き解熱鎮痛薬の効果は期待できない
というポイントです。
第3章では、次から具体的な解熱鎮痛成分について、それぞれの特徴、副作用、相互作用、使用上の注意を詳しく学んでいきます。
まずは「プロスタグランジン」「鎮痛・解熱・抗炎症」「対症療法薬」という3つの軸を確実に覚えておきましょう。

