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漢方薬の選び方|症状別に比較!葛根湯・加味逍遙散・当帰芍薬散・桂枝茯苓丸などの違い

漢方薬の選び方|症状別に比較!葛根湯・加味逍遙散・当帰芍薬散・桂枝茯苓丸などの違い

漢方薬には、葛根湯、加味逍遙散、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、防風通聖散、八味地黄丸など、さまざまな処方があります。

 

「冷えにおすすめの漢方は?」「更年期ならどれ?」「むくみにはどの漢方?」「肥満症なら防風通聖散でいい?」など、症状から漢方薬を探す人も多いでしょう。

 

しかし、漢方薬は症状だけで一つの処方が決まるわけではありません。

 

同じ「冷え」「むくみ」「更年期」「疲れ」「肥満」などの悩みでも、体力や体質、症状の現れ方などによって、使用される漢方薬が異なる場合があります。

 

そこでこの記事では、未来のあかりで解説している漢方薬を中心に、

「どのような症状に使われるか」
「どのような体質・体力が目安になるか」
「似た漢方薬と何が違うのか」

を比較しながら、漢方薬の選び方を整理します。

漢方薬は「症状」だけで選ばない

漢方薬を選ぶときに最も重要なのは、

「この症状には、この漢方薬」

と単純に決めつけないことです。

 

漢方では、症状だけでなく、体力や体質、症状の現れ方などを総合的に考えて処方を選択する考え方があります。

 

このような状態を表す考え方の一つが「証」です。

 

例えば「冷え」という同じ症状があっても、

・冷えに加えて疲れやすい
・冷えに加えてむくみがある
・冷えに加えてのぼせや肩こりがある
・冷えに加えて排尿トラブルがある

など、症状の組み合わせによって使用される漢方薬が異なる場合があります。

 

漢方薬の「証」について詳しく知りたい場合は、以下の記事も参考にしてください。

漢方薬の「証」とは?|体質や症状に合わせた漢方薬の選び方を解説

漢方薬を選ぶときに確認したい5つのポイント

漢方薬を比較するときは、次の5点を見ると整理しやすくなります。

① どのような症状があるか

まずは現在の症状を確認します。

 

ただし、「冷え」「疲れ」「むくみ」など、一つの症状だけで判断するのではなく、ほかにどのような症状を伴っているかも重要です。

② 体力・体質はどうか

一般用漢方製剤では、

「体力が充実している」
「体力中等度」
「体力中等度以下」
「体力虚弱」

など、体力に関する目安が記載されていることがあります。

 

同じ症状でも、この違いによって選択される処方が変わる場合があります。

③ 症状の組み合わせ

漢方薬では、一つの症状だけではなく、

「冷え+むくみ」
「のぼせ+肩こり」
「疲れやすい+食欲不振」
「頻尿+冷え+疲れやすい」

など、症状の組み合わせを見ることが重要です。

④ ほかに使用している医薬品

漢方薬も医薬品です。

 

複数の漢方薬を使用すると、生薬が重複する場合があります。

 

特に甘草など、複数の漢方処方に含まれる生薬には注意が必要です。

⑤ 添付文書の効能・効果と使用上の注意

市販の漢方薬を使用するときは、商品ごとの添付文書を確認しましょう。

 

同じ処方名でも製品によって用法・用量や注意事項などが異なる場合があります。

症状別に漢方薬を比較

ここからは、未来のあかりで解説している代表的な漢方薬を、症状や体質の違いから比較します。

冷え・むくみで選ぶなら?

冷えやむくみが気になる場合でも、どの漢方薬でも同じというわけではありません。

 

代表的な選択肢として、

当帰芍薬散
防已黄耆湯
八味地黄丸

などがあります。

当帰芍薬散

当帰芍薬散は、体力が虚弱で、冷え症があり、貧血の傾向があって疲れやすい人に用いられる代表的な漢方薬です。

 

冷えに加えて、

・めまい・立ちくらみ
・むくみ
・頭重
・肩こり
・月経不順
・月経痛
・更年期障害

などがある場合に用いられます。

 

「冷え+疲れやすい+むくみ・めまい」などの組み合わせが一つの特徴です。

当帰芍薬散とは?|冷え・むくみ・めまい・更年期などに使われる漢方薬を解説

防已黄耆湯

防已黄耆湯は、体力中等度以下で、疲れやすく、汗をかきやすい傾向がある人のむくみや肥満症、多汗症などに用いられます。

 

特に「水ぶとり」のような肥満が特徴の一つです。

 

したがって、

「むくみがあるから防已黄耆湯」

ではなく、

「疲れやすい+汗をかきやすい+むくみや水ぶとり」

という特徴を確認することが大切です。

防已黄耆湯とは?|むくみ・水ぶとりの肥満症・多汗症に使われる漢方薬を解説

八味地黄丸

八味地黄丸は、体力が中等度以下で、疲れやすく、手足が冷えやすい人の排尿トラブルや腰痛、下肢の痛み・しびれなどに用いられます。

 

特に、

・頻尿
・夜間尿
・排尿困難
・残尿感
・冷え
・腰痛

などが組み合わさっている場合が特徴です。

八味地黄丸とは?|頻尿・夜間尿・腰痛・冷えなどに使われる漢方薬を解説

更年期・月経に伴う不調で選ぶなら?

女性の更年期や月経に伴う不調には、複数の漢方薬が使われます。

 

代表的なのが、

加味逍遙散
当帰芍薬散
桂枝茯苓丸

です。

 

この3つは同じ「女性の不調」に使われることがありますが、対象となる体質や症状の組み合わせは異なります。

加味逍遙散

加味逍遙散は、一般用漢方製剤では体力中等度以下で、のぼせ感があり、肩がこる、疲れやすい、精神不安やいらだちなどを伴う人の症状に用いられます。

 

「更年期だから加味逍遙散」と単純に決めるのではなく、

のぼせ・肩こり・疲れやすさ・精神的な不安定さなどの組み合わせ

を見ることが重要です。

当帰芍薬散

当帰芍薬散は、女性の月経や更年期に伴う症状にも用いられますが、特に、

体力虚弱+冷え+貧血傾向+疲れやすさ

という特徴がポイントになります。

 

さらに、めまい、立ちくらみ、むくみなどを伴う場合があります。

桂枝茯苓丸

桂枝茯苓丸は、一般用漢方製剤では比較的体力があり、のぼせて足が冷える、肩こり、頭重、めまいなどを伴う人の月経不順、月経痛、更年期障害などに用いられます。

 

つまり、

「更年期」という同じ悩みでも、体力や症状の出方によって候補となる漢方薬が変わる

ということです。

桂枝茯苓丸とは?|更年期・月経不順・肩こりなどに使われる漢方薬を解説

肥満・むくみで選ぶなら?

肥満やむくみに使われる漢方薬として特に知られているのが、

防風通聖散
防已黄耆湯

です。

しかし、この2つは対象となる体質が大きく異なります。

漢方薬 体力・体質の目安 特徴
防風通聖散 体力が充実 腹部に皮下脂肪が多く、便秘がち
防已黄耆湯 体力中等度以下 疲れやすい、汗をかきやすい、水ぶとり

 

したがって、

「太っているから防風通聖散」

と決めるのは適切ではありません。

 

防風通聖散は、体力が充実していて腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちな人の肥満症などに用いられます。

防風通聖散とは?|肥満症・便秘・むくみに使われる漢方薬の効果・副作用を解説

 

一方、防已黄耆湯は、体力中等度以下で疲れやすく、汗をかきやすい傾向があり、筋肉にしまりがなく、いわゆる水ぶとりのような肥満症などに用いられます。

 

この違いは、漢方薬を選ぶときの「症状だけではなく体質を見る」という考え方を理解するうえでも重要です。

風邪のひきはじめなら?

風邪のひきはじめなどに使われる代表的な漢方薬が葛根湯です。

 

一般用漢方製剤では、葛根湯は比較的体力がある人の感冒、鼻かぜ、頭痛、肩こり、筋肉痛、手や肩の痛みなどに用いられます。

 

特に、かぜのひきはじめで、

・発熱
・悪寒
・頭痛
・肩や首のこり
・汗をかいていない

などの症状がみられる場合に使用されることがあります。

葛根湯とは?|効能・飲み方・注意点・副作用をわかりやすく解説

 

ただし、風邪症状なら必ず葛根湯というわけではありません。

 

症状が長引いている場合や、強い症状がある場合には、一般用医薬品だけで対応せず、受診が必要かどうかを判断することも重要です。

疲れやすい・食欲がないなら?

疲れやすさや食欲不振などに用いられる漢方薬として、補中益気湯があります。

 

補中益気湯は、一般用医薬品では、

体力虚弱で、元気がなく、胃腸の働きが衰えて、疲れやすい人

の虚弱体質、疲労倦怠、病後・術後の衰弱、食欲不振、ねあせ、感冒などに用いられます。

 

単純な「疲労」すべてに使用するのではなく、

体力虚弱+元気がない+胃腸の働きが衰えている

という特徴がポイントです。

補中益気湯とは?|疲れやすい・食欲不振に使われる漢方薬を解説

症状別・漢方薬比較一覧

ここまでの内容を一覧で整理します。

悩み・症状 代表的な漢方薬 選ぶときのポイント
風邪のひきはじめ 葛根湯 比較的体力があり、発熱・悪寒・頭痛・肩こりなど
更年期・月経の不調 加味逍遙散 体力中等度以下、のぼせ・肩こり・疲れやすさなど
更年期・月経の不調 当帰芍薬散 体力虚弱、冷え・貧血傾向・疲れやすさ・むくみなど
更年期・月経の不調 桂枝茯苓丸 比較的体力があり、のぼせ・肩こり・足の冷えなど
肥満症・便秘・むくみ 防風通聖散 体力が充実、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がち
むくみ・水ぶとり 防已黄耆湯 体力中等度以下、疲れやすい、汗をかきやすい
頻尿・夜間尿・冷え 八味地黄丸 体力中等度以下、疲れやすく手足が冷えやすい
疲労・食欲不振 補中益気湯 体力虚弱、元気がなく、胃腸の働きが衰えている

 

この表からも分かるように、同じ「症状」でも複数の漢方薬が候補になることがあります。

 

そのため、症状だけで商品を決めるのではなく、

体力・体質・症状の組み合わせ

まで確認することが重要です。

「更年期ならこの漢方」と決めつけない

更年期に伴う不調には、加味逍遙散、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸など複数の漢方薬が使われます。

 

しかし、

「更年期=加味逍遙散」
「冷え=当帰芍薬散」
「のぼせ=桂枝茯苓丸」

というように、一つの症状だけで決めるものではありません。

 

例えば、

冷え+疲れやすい+むくみ

なら当帰芍薬散の特徴に近い場合があります。

 

一方、

のぼせ+肩こり+疲れやすい+精神不安

なら加味逍遙散の特徴に近い場合があります。

 

また、

のぼせ+足の冷え+肩こり+比較的体力がある

場合には桂枝茯苓丸の特徴に近い場合があります。

 

このように、症状の「組み合わせ」を見ることが重要です。

「肥満なら防風通聖散」と決めつけない

肥満症に用いられる漢方薬でも、対象となる体質は異なります。

 

防風通聖散は、体力が充実していて、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちな人の肥満症などに用いられます。

 

防已黄耆湯は、体力中等度以下で、疲れやすく汗をかきやすく、筋肉にしまりがなく、水ぶとりのような肥満症などに用いられます。

 

同じ「肥満」という悩みでも、体質が違えば候補となる漢方薬が変わることがあります。

 

この違いを理解せずに「ダイエット漢方」として選ぶのは避けましょう。

漢方薬を併用するときは注意

複数の漢方薬を同時に使用する場合は、生薬の重複に注意が必要です。

 

例えば、複数の漢方薬に甘草が含まれている場合、重複して摂取することがあります。

 

また、処方によっては麻黄など、使用時に注意が必要な生薬が含まれています。

 

「漢方薬だから別の漢方薬と一緒に飲んでも大丈夫」とは限りません。

 

複数の漢方薬や他の医薬品を使用している場合は、薬剤師または登録販売者に相談しましょう。

 

漢方薬の併用について詳しく知りたい場合は、以下の記事も参考にしてください。

漢方薬の併用・飲み合わせ|一緒に使うときに確認したいポイント

漢方薬を選んだ後は「飲み方」も確認

漢方薬は、処方を選べば終わりではありません。

 

製品によって用法・用量が異なるため、購入した商品の添付文書を確認することが重要です。

 

また、一般用漢方製剤では食前または食間に服用する製品もあります。

 

「食前」と「食間」の意味や、漢方薬を飲みにくい場合の工夫については、以下の記事で詳しく解説しています。

漢方薬の飲み方を解説|食前・食間の違い、効果が出るまでの期間や飲みにくいときの工夫

漢方薬を選ぶときの最終チェック

市販の漢方薬を選ぶときは、次の順番で確認すると分かりやすくなります。

 

STEP1 どんな症状があるか確認する

 

STEP2 ほかにどんな症状を伴っているか確認する

 

STEP3 体力や体質の目安を確認する

 

STEP4 現在使用している医薬品や漢方薬を確認する

 

STEP5 商品の効能・効果と使用上の注意を確認する

 

STEP6 自分で判断できない場合は薬剤師・登録販売者に相談する

 

この流れで確認すると、「症状だけで漢方薬を選ぶ」という失敗を避けやすくなります。

こんな場合は漢方薬だけで様子を見ない

漢方薬を探している場合でも、症状によっては医療機関への相談が必要です。

 

例えば、

・急激に症状が悪化した
・強い痛みがある
・高熱が続いている
・息苦しさがある
・意識状態がおかしい
・出血がある
・原因が分からない症状が長期間続いている
・日常生活に大きな支障が出ている

などの場合は、漢方薬だけで自己判断による対応を続けないことが重要です。

 

また、すでに医療機関で治療を受けている場合や、複数の医薬品を使用している場合は、漢方薬を追加する前に医師や薬剤師へ相談しましょう。

まとめ|漢方薬は「症状+体質+症状の組み合わせ」で考える

漢方薬を選ぶときは、単純に「この症状にはこの漢方」と考えるのではなく、

症状+体力・体質+症状の組み合わせ

を確認することが重要です。

 

例えば、

冷え・むくみ・疲れやすさ → 当帰芍薬散など
のぼせ・肩こり・精神不安など → 加味逍遙散など
のぼせ・足の冷え・肩こりなど → 桂枝茯苓丸など
肥満症・便秘・腹部の皮下脂肪 → 防風通聖散など
疲れやすい・汗をかきやすい・水ぶとり → 防已黄耆湯など
頻尿・夜間尿・冷え・疲れやすさ → 八味地黄丸など
体力虚弱・疲労・食欲不振 → 補中益気湯など

 

というように、同じような症状でも体質や症状の組み合わせによって候補が変わります。

 

ただし、この記事は漢方薬を自己判断で決めるための診断表ではありません。

 

実際に市販の漢方薬を使用するときは、商品の添付文書に記載された効能・効果や使用上の注意を確認し、分からない場合は薬剤師または登録販売者に相談しましょう。

参考資料

厚生労働省

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)

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