登録販売者試験第2章「人体の働きと医薬品」では、医薬品によって生じる副作用について、どのような症状が現れるのか、どのような状態に注意する必要があるのかを理解しておくことが重要です。
第2章㉗では、「体の局所に現れる副作用」のうち「泌尿器系に現れる副作用」について学びます。
泌尿器系では、特に「腎障害」「排尿困難・尿閉」「膀胱炎様症状」が重要です。
腎障害では、尿量の減少、ほとんど尿が出ない、逆に一時的に尿が増える、むくみ、倦怠感、発疹、吐きけ・嘔吐、発熱、尿が濁る・赤みを帯びる(血尿)などが現れることがあります。
排尿困難・尿閉では、尿が出にくい、尿が少ししか出ない、残尿感があるなどの症状が現れ、進行すると尿意があるのに尿が全く出なくなったり、下腹部が膨満して激しい痛みを感じたりすることがあります。
膀胱炎様症状では、尿の回数増加(頻尿)、排尿時の疼痛、残尿感などが現れます。
これらの症状は、症状が進行して重篤な状態になるのを防ぐため、早期に異常に気付いて適切に対応することが重要です。
特に、
・腎障害
・尿量の減少
・ほとんど尿が出ない
・逆に一時的に尿が増える
・むくみ(浮腫)
・倦怠感
・発疹
・吐きけ・嘔吐
・発熱
・尿が濁る・赤みを帯びる(血尿)
・排尿困難
・尿閉
・尿勢の低下
・残尿感
・下腹部の膨満と激しい痛み
・頻尿
・排尿時の疼痛
・原因医薬品の使用中止と受診
は、登録販売者試験で重要なポイントです。
本記事では、泌尿器系に現れる副作用について、試験で判断しやすいように整理して解説します。
この記事で学べること
この記事では、次の内容を整理します。
・泌尿器系に現れる主な副作用
・腎障害とは何か
・腎障害の主な症状
・尿量の減少
・むくみ
・血尿
・排尿困難
・尿閉
・尿勢の低下
・残尿感
・下腹部膨満と激しい痛み
・前立腺肥大などの基礎疾患がなくても起こること
・男性だけでなく女性にも起こること
・膀胱炎様症状
・頻尿、排尿時の疼痛、残尿感
・疑われる場合の対応
・試験で間違えやすいポイント
・予想問題
泌尿器系に現れる主な副作用
医薬品の副作用によって、腎臓や膀胱などの泌尿器系にさまざまな症状が現れることがあります。
厚生労働省の手引きでは、泌尿器系に現れる副作用として、「腎障害」「排尿困難、尿閉」「膀胱炎様症状」が挙げられています。
それぞれ症状が異なるため、特徴を分けて覚えておくことが重要です。
腎障害とは
医薬品の使用が原因となって、腎障害を生じることがあります。
腎臓は尿をつくり、体内の水分や電解質などの調節に関わっているため、腎機能が低下すると尿量や全身状態に変化が現れることがあります。
腎障害では、尿に関する症状だけでなく、むくみ、倦怠感、発疹、吐きけ・嘔吐、発熱などが現れることがあります。
腎障害の主な症状
腎障害では、
・尿量の減少
・ほとんど尿が出ない
・逆に一時的に尿が増える
・むくみ(浮腫)
・倦怠感
・発疹
・吐きけ・嘔吐
・発熱
・尿が濁る・赤みを帯びる(血尿)
などの症状が現れることがあります。
「尿量の異常+むくみ+血尿」という組み合わせは、腎障害を考えるうえで重要です。
尿量の減少に注意する
腎障害では、尿量が減少したり、ほとんど尿が出なくなったりすることがあります。
一方で、腎障害では逆に一時的に尿が増えることもあります。
そのため、「腎障害=必ず尿量が減る」と単純に覚えないことが重要です。
「尿量の減少」と「一時的な尿量の増加」の両方が手引きに記載されている点は、試験で注意したいポイントです。
むくみ(浮腫)が現れることがある
腎障害では、むくみ(浮腫)が現れることがあります。
尿の排泄などがうまく行われなくなることで、体内の水分バランスに変化が生じ、むくみにつながることがあります。
尿量の変化とむくみが同時に現れている場合には、腎障害の可能性を考える必要があります。
血尿に注意する
腎障害では、尿が濁ったり、赤みを帯びたりすることがあります。
これは血尿として現れることがあります。
尿の色や性状に普段と異なる変化がみられた場合には、副作用の可能性を考えることが重要です。
倦怠感や吐きけ・嘔吐、発熱
腎障害では、尿に関する症状だけでなく、倦怠感、発疹、吐きけ・嘔吐、発熱などが現れることがあります。
これらは腎障害に特有の症状とは限りませんが、尿量の変化や血尿、むくみなどと組み合わさっている場合には注意が必要です。
腎障害が疑われる場合の対応
尿量の減少、ほとんど尿が出ない、逆に一時的に尿が増える、むくみ、倦怠感、発疹、吐きけ・嘔吐、発熱、血尿などの症状が現れたときは、原因と考えられる医薬品の使用を中止して、速やかに医師の診療を受ける必要があります。
登録販売者は、尿の異常やむくみなどについて相談された場合には、副作用の可能性を考慮し、適切に受診につなげることが重要です。
排尿困難とは
排尿困難とは、尿が出にくい、尿が少ししか出ない、残尿感があるなど、排尿に関する異常が生じる状態です。
副交感神経系の機能を抑制する作用がある成分が配合された医薬品を使用すると、膀胱の排尿筋の収縮が抑制され、排尿困難などの症状を生じることがあります。
試験では、「副交感神経系の機能を抑制」→「膀胱の排尿筋の収縮が抑制」→「尿が出にくい」という流れを押さえておきましょう。
尿勢の低下や残尿感
排尿困難では、尿が出にくい、尿が少ししか出ない、残尿感があるなどの症状が現れます。
特に、初期段階で適切な対応が図られるよう、尿勢の低下などの兆候に注意することが重要です。
「尿勢の低下」は、排尿困難・尿閉を考える重要なキーワードです。
尿閉に進行することがある
排尿困難が進行すると、尿意があるのに尿が全く出なくなることがあります。
これを尿閉といいます。
尿閉になると、下腹部が膨満して激しい痛みを感じるようになることがあります。
「尿意はあるのに尿が出ない」「下腹部が膨満して激しく痛む」という組み合わせは、尿閉の重要なサインです。
前立腺肥大がなくても起こる
排尿困難・尿閉は、前立腺肥大などの基礎疾患がない人でも現れることが知られています。
また、男性に限らず女性においても報告されています。
そのため、「尿閉は前立腺肥大がある男性だけに起こる」という考え方は誤りです。
排尿困難・尿閉が疑われる場合の対応
尿が出にくい、尿が少ししか出ない、残尿感がある、尿勢が低下したなどの症状が現れた場合には、原因と考えられる医薬品の使用を中止することが重要です。
多くの場合、原因となる医薬品の使用を中止することにより症状は速やかに改善しますが、医療機関における処置を必要とする場合もあります。
尿が全く出ない、下腹部が膨満して激しい痛みがあるなど、尿閉が疑われる場合には、医療機関での対応が必要です。
膀胱炎様症状
医薬品の副作用によって、膀胱炎様症状が現れることもあります。
膀胱炎様症状では、
・尿の回数増加(頻尿)
・排尿時の疼痛
・残尿感
などの症状が現れます。
「頻尿+排尿時の痛み+残尿感」は、膀胱炎様症状の重要な組み合わせとして覚えておきましょう。
膀胱炎様症状が現れた場合の対応
膀胱炎様症状が現れたときは、原因と考えられる医薬品の使用を中止し、症状によっては医師の診療を受けるなどの対応が必要です。
登録販売者は、頻尿や排尿時の痛み、残尿感について相談された場合には、医薬品の使用状況を確認し、必要に応じて受診につなげることが重要です。
試験で覚えておきたいポイント
第2章㉗では、次のポイントを押さえておきましょう。
① 泌尿器系の副作用には、腎障害、排尿困難・尿閉、膀胱炎様症状がある
② 腎障害では、尿量の減少、ほとんど尿が出ない、逆に一時的に尿が増えることがある
③ 腎障害では、むくみ、倦怠感、発疹、吐きけ・嘔吐、発熱などが現れることがある
④ 腎障害では、尿が濁る・赤みを帯びる(血尿)ことがある
⑤ 腎障害が疑われる場合には、原因と考えられる医薬品の使用を中止し、速やかに医師の診療を受ける
⑥ 副交感神経系の機能を抑制する作用がある成分により、膀胱の排尿筋の収縮が抑制され、排尿困難が生じることがある
⑦ 排尿困難では、尿が出にくい、尿が少ししか出ない、残尿感などが現れる
⑧ 排尿困難が進行すると尿閉になることがある
⑨ 尿閉では、尿意があるのに尿が全く出なくなり、下腹部が膨満して激しい痛みを感じることがある
⑩ 排尿困難・尿閉は、前立腺肥大などの基礎疾患がない人にも現れることがある
⑪ 排尿困難・尿閉は男性に限らず女性にも報告されている
⑫ 初期段階では尿勢の低下などの兆候に注意する
⑬ 膀胱炎様症状では、頻尿、排尿時の疼痛、残尿感などが現れる
⑭ 膀胱炎様症状が現れた場合には、原因と考えられる医薬品の使用を中止し、症状によっては医師の診療を受ける
試験で間違えやすいポイント
「腎障害では必ず尿量が減少する」
→誤り
尿量が減少することもありますが、逆に一時的に尿が増えることもあります。
「腎障害では血尿が現れることがある」
→正しい
尿が濁る、赤みを帯びる(血尿)などの症状が現れることがあります。
「排尿困難・尿閉は前立腺肥大のある男性にしか起こらない」
→誤り
前立腺肥大などの基礎疾患がない人にも現れることがあり、女性にも報告されています。
「尿勢の低下は排尿困難・尿閉を考えるうえで重要である」
→正しい
初期段階で適切な対応を図るため、尿勢の低下などの兆候に注意することが重要です。
「尿閉では尿意があるのに尿が全く出なくなることがある」
→正しい
排尿困難が進行すると、尿意があるのに尿が全く出なくなり、下腹部が膨満して激しい痛みを感じることがあります。
「膀胱炎様症状では頻尿や排尿時の疼痛、残尿感が現れることがある」
→正しい
膀胱炎様症状では、尿の回数増加(頻尿)、排尿時の疼痛、残尿感などが現れます。
予想問題
問1
腎障害の症状として、正しいものはどれか。
① 尿量が必ず増加する
② 尿が濁る・赤みを帯びる(血尿)ことがある
③ 必ず視力が低下する
④ 排尿に関する症状は現れない
答え:②
解説
腎障害では、尿量の減少、ほとんど尿が出ない、逆に一時的に尿が増える、むくみ、倦怠感、発疹、吐きけ・嘔吐、発熱、尿が濁る・赤みを帯びる(血尿)などが現れることがあります。
問2
排尿困難・尿閉について、正しいものはどれか。
① 尿意があるのに尿が全く出なくなることを尿閉という
② 必ず前立腺肥大がある人にだけ起こる
③ 女性には起こらない
④ 尿勢の低下は関係しない
答え:①
解説
排尿困難が進行すると、尿意があるのに尿が全く出なくなることがあり、これを尿閉といいます。また、前立腺肥大などの基礎疾患がない人にも現れることがあり、女性にも報告されています。
問3
排尿困難・尿閉について、正しいものはどれか。
① 尿閉では下腹部が膨満して激しい痛みを感じることがある
② 尿閉では尿意が必ず消失する
③ 尿勢の低下は初期症状として重要ではない
④ 原因医薬品を継続して使用することが基本である
答え:①
解説
尿閉では、尿意があるのに尿が全く出なくなり、下腹部が膨満して激しい痛みを感じるようになることがあります。また、初期段階では尿勢の低下などの兆候に注意することが重要です。
問4
膀胱炎様症状として、正しいものはどれか。
① 頻尿、排尿時の疼痛、残尿感
② 黄疸、皮膚の掻痒感、倦怠感
③ 耳鳴り、難聴、めまい
④ 咳、痰、呼吸困難
答え:①
解説
膀胱炎様症状では、尿の回数増加(頻尿)、排尿時の疼痛、残尿感などが現れます。
問5
泌尿器系の副作用が疑われる場合の対応として、正しいものはどれか。
① 原因と考えられる医薬品を継続して使用する
② 症状が強くなるまで必ず様子を見る
③ 原因と考えられる医薬品の使用を中止し、症状に応じて医師の診療を受ける
④ 別の医薬品を追加して使用する
答え:③
解説
腎障害では、原因と考えられる医薬品の使用を中止して、速やかに医師の診療を受ける必要があります。排尿困難・尿閉では原因医薬品の使用を中止し、膀胱炎様症状では症状によって医師の診療を受けるなどの対応が必要です。
まとめ
登録販売者試験第2章㉗では、泌尿器系に現れる副作用として、腎障害、排尿困難・尿閉、膀胱炎様症状を理解しておきましょう。
特に重要なのは、
① 腎障害では尿量の減少や、ほとんど尿が出ない状態が現れることがある
② 腎障害では逆に一時的に尿が増えることもある
③ 腎障害ではむくみ、倦怠感、発疹、吐きけ・嘔吐、発熱などが現れることがある
④ 尿が濁る・赤みを帯びる(血尿)ことがある
⑤ 腎障害が疑われた場合には原因医薬品の使用を中止し、速やかに医師の診療を受ける
⑥ 副交感神経系の機能を抑制する作用がある成分によって、排尿困難が生じることがある
⑦ 排尿困難では尿が出にくい、尿が少ししか出ない、残尿感などが現れる
⑧ 排尿困難が進行すると尿閉となり、下腹部が膨満して激しい痛みを感じることがある
⑨ 排尿困難・尿閉は前立腺肥大などの基礎疾患がない人にも起こり、女性にも報告されている
⑩ 尿勢の低下は初期段階で注意すべき兆候である
⑪ 膀胱炎様症状では頻尿、排尿時の疼痛、残尿感などが現れる
⑫ 原因と考えられる医薬品の使用を中止し、症状に応じて適切に医師の診療につなげる
というポイントです。
泌尿器系の副作用では、「尿量の異常・むくみ・血尿」から腎障害、「尿が出にくい・尿勢低下・残尿感」から排尿困難、「尿意があるのに全く出ない・下腹部が膨満して激しく痛む」から尿閉、「頻尿・排尿時の疼痛・残尿感」から膀胱炎様症状を判断できるようにしておくことが重要です。
登録販売者は、相談者の年齢や性別だけで判断せず、具体的な排尿状況や症状の変化、使用している医薬品などを確認し、重篤な副作用が疑われる場合には適切に受診につなげることが重要です。

