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登録販売者試験 第3章完全攻略㉞|代表的な漢方処方製剤①・黄連解毒湯・防已黄耆湯・防風通聖散・大柴胡湯・清上防風湯

代表的な漢方処方製剤を整理しよう

漢方処方製剤では、単に症状だけを見るのではなく、体質や症状などを総合的にみて「証」に合った処方を選択することが重要です。

令和8年4月版の手引きでは、これまでの各分野に記載された漢方処方製剤以外の代表的な処方として、複数の漢方処方が挙げられています。

今回はその中でも、黄連解毒湯、防已黄耆湯、防風通聖散、大柴胡湯、清上防風湯を整理します。

これらは、適する体力、特徴的な症状、構成生薬、重大な副作用、使用期間などをセットで覚えることが重要です。

漢方処方製剤と「体力」の関係

漢方処方製剤では、効能・効果の冒頭に「体力中等度以上」「体力中等度以下」「体力が充実して」などの表現が記載されていることがあります。

これは、その処方がどのような「証」に適するかを一般の生活者にも分かりやすく示した「しばり」です。

処方 体力の目安
黄連解毒湯 体力中等度以上
防已黄耆湯 体力中等度以下
防風通聖散 体力充実
大柴胡湯 体力充実
清上防風湯 体力中等度以上

黄連解毒湯

黄連解毒湯(おうれんげどくとう)は、体力中等度以上で、のぼせぎみで顔色が赤く、いらいらして落ち着かない傾向がある人に適するとされています。

対象となる症状は、

  • 鼻出血
  • 不眠症
  • 神経症
  • 胃炎
  • 二日酔い
  • 血の道症
  • めまい
  • 動悸
  • 更年期障害
  • 湿疹・皮膚炎
  • 皮膚の痒み
  • 口内炎

などです。

黄連解毒湯に不向きな人

体の虚弱な人では不向きとされています。

「体力中等度以上」というしばりがあるため、体力が弱い人には適さないと考えます。

黄連解毒湯の重大な副作用

まれに重篤な副作用として、

  • 肝機能障害
  • 間質性肺炎
  • 腸間膜静脈硬化症

が起こることが知られています。

黄連解毒湯の使用期間に注意

鼻出血や二日酔いに用いる場合には、漫然と長期の使用を避けます。

これらの目的で5~6回使用しても症状の改善がみられない場合には、いったん使用を中止して専門家に相談するなどの対応が必要です。

防已黄耆湯

防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)は、体力中等度以下で、疲れやすく、汗をかきやすい傾向がある人に適するとされています。

主な対象となる症状は、

  • 肥満に伴う関節の腫れや痛み
  • むくみ
  • 多汗症
  • 肥満症

です。

特に、筋肉にしまりがなく、いわゆる「水ぶとり」のタイプの肥満症に適するとされています。

防已黄耆湯の構成生薬と副作用

防已黄耆湯は、カンゾウを構成生薬として含みます。

まれに重篤な副作用として、

  • 肝機能障害
  • 間質性肺炎
  • 偽アルドステロン症

が起こることが知られています。

防風通聖散

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)は、体力が充実していて、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちな人に適するとされています。

主な対象となる症状は、

  • 高血圧や肥満に伴う動悸
  • 肩こり
  • のぼせ
  • むくみ
  • 便秘
  • 蓄膿症(副鼻腔炎)
  • 湿疹・皮膚炎
  • ふきでもの(にきび)
  • 肥満症

などです。

防風通聖散に不向きな人

次のような人では、激しい腹痛を伴う下痢などの副作用が現れやすい等、不向きとされています。

  • 体の虚弱な人
  • 胃腸が弱く下痢しやすい人
  • 発汗傾向の著しい人

また、小児に対する適用はありません。

防風通聖散の構成生薬

防風通聖散には、

  • カンゾウ
  • マオウ
  • ダイオウ

が含まれます。

そのため、これらの生薬に関する共通の注意事項も確認しておく必要があります。

防風通聖散の重大な副作用

まれに重篤な副作用として、

  • 肝機能障害
  • 間質性肺炎
  • 偽アルドステロン症
  • 腸間膜静脈硬化症

が起こることが知られています。

便秘に使用する場合の注意

防風通聖散を便秘に用いる場合には、漫然と長期の使用を避けます。

1週間位使用しても症状の改善がみられない場合には、いったん使用を中止して専門家に相談するなどの対応が必要です。

大柴胡湯

大柴胡湯(だいさいことう)は、体力が充実して、脇腹からみぞおちあたりにかけて苦しく、便秘の傾向がある人に適するとされています。

主な対象となる症状は、

  • 胃炎
  • 常習便秘
  • 高血圧や肥満に伴う肩こり・頭痛・便秘
  • 神経症
  • 肥満症

などです。

大柴胡湯に不向きな人

次のような人では、激しい腹痛を伴う下痢などの副作用が現れやすい等、不向きとされています。

  • 体の虚弱な人
  • 胃腸が弱く下痢しやすい人

大柴胡湯はダイオウを構成生薬として含みます。

大柴胡湯の重大な副作用

まれに重篤な副作用として、

  • 肝機能障害
  • 間質性肺炎

が起こることが知られています。

便秘に使用する場合の注意

大柴胡湯を常習便秘や高血圧に伴う便秘に用いる場合には、漫然と長期の使用を避けます。

1週間位使用しても症状の改善がみられない場合には、いったん使用を中止して専門家に相談するなどの対応が必要です。

清上防風湯

清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)は、体力中等度以上で、赤ら顔で、ときにのぼせがある人に適するとされています。

主な対象となる症状は、

  • にきび
  • 顔面・頭部の湿疹・皮膚炎
  • 赤鼻(酒さ)

です。

清上防風湯に不向きな人

胃腸の弱い人では、食欲不振、胃部不快感などの副作用が現れやすい等、不向きとされています。

清上防風湯の構成生薬

清上防風湯はカンゾウを構成生薬として含みます。

まれに重篤な副作用として、

  • 肝機能障害
  • 偽アルドステロン症
  • 腸間膜静脈硬化症

が起こることが知られています。

清上防風湯では症状の進行にも注意

清上防風湯では、服用により、まれに症状が進行することがあるとされています。

そのため、症状が悪化した場合には、「漢方薬だから一時的に悪化しているだけ」と自己判断せず、専門家へ相談することが重要です。

5つの漢方処方を比較

処方 体力 特徴的な適用 重要な副作用・注意
黄連解毒湯 中等度以上 のぼせ、赤ら顔、いらいら、不眠、鼻出血、めまい等 肝機能障害、間質性肺炎、腸間膜静脈硬化症
防已黄耆湯 中等度以下 疲れやすく汗をかきやすい、水ぶとりの肥満症、むくみ等 肝機能障害、間質性肺炎、偽アルドステロン症
防風通聖散 充実 腹部皮下脂肪、便秘、高血圧・肥満に伴う諸症状、肥満症等 肝機能障害、間質性肺炎、偽アルドステロン症、腸間膜静脈硬化症
大柴胡湯 充実 脇腹~みぞおちの苦しさ、便秘、肥満症等 肝機能障害、間質性肺炎
清上防風湯 中等度以上 にきび、顔面・頭部の湿疹・皮膚炎、赤鼻 肝機能障害、偽アルドステロン症、腸間膜静脈硬化症。症状進行にも注意

肥満症に用いられる漢方薬は誰にでも適するわけではない

防已黄耆湯、防風通聖散、大柴胡湯などは肥満症に用いられることがあります。

しかし、手引きでは、肥満症又は肥胖症に用いられる漢方処方製剤が、どのような肥満症にも適するわけではないとされています。

肥満症への対応では、漢方薬だけに頼るのではなく、

  • 糖質や脂質を多く含む食品の過度な摂取を控える
  • 日常生活に適度な運動を取り入れる
  • 生活習慣を改善する

ことが重要です。

カンゾウ・マオウ・ダイオウを含む処方に注意

今回の5処方では、生薬の重複を確認することが重要です。

処方 特徴的な生薬
防已黄耆湯 カンゾウ
防風通聖散 カンゾウ・マオウ・ダイオウ
大柴胡湯 ダイオウ
清上防風湯 カンゾウ

同じ生薬を含む漢方処方製剤を重ねて使用すると、作用が強く現れたり、副作用を生じやすくなったりするおそれがあります。

漢方処方製剤を選択するときには、ほかに使用している漢方薬や生薬製剤がないか確認することが重要です。

漢方処方製剤の相互作用

漢方処方を構成する生薬には、複数の処方で共通しているものがあります。

そのため、同じ生薬を含む漢方処方製剤を併用すると、作用が強く現れたり、副作用を生じやすくなったりするおそれがあります。

また、自己判断で生薬成分を追加摂取すると、生薬の構成が乱れて本来の処方が成立しなくなるおそれがあります。

他の漢方処方製剤、生薬製剤、医薬部外品などとの併用にも注意が必要です。

医療用医薬品との相互作用

漢方処方製剤では、一般用医薬品同士だけでなく、医療用医薬品との相互作用もあります。

代表例として、小柴胡湯とインターフェロン製剤の相互作用が知られています。

医師の治療を受けている人では、使用の可否について、治療を行っている医師又は処方薬の調剤を行った薬剤師に相談するよう説明することが重要です。

漢方薬を漫然と使い続けない

漢方処方製剤では、一定期間又は一定回数使用しても症状の改善が認められない場合があります。

その場合には、

  • 「証」が適していない処方である
  • 一般用医薬品では対処することが適当でない疾患が原因である

などの可能性があります。

そのため、改善しないのに漫然と使用を継続せず、必要に応じて医療機関を受診することが重要です。

覚えておきたい5処方の特徴

処方 一言で覚えるなら
黄連解毒湯 「赤ら顔・のぼせ・いらいら」
防已黄耆湯 「汗をかきやすい・水ぶとり」
防風通聖散 「体力充実・腹部皮下脂肪・便秘」
大柴胡湯 「体力充実・脇腹~みぞおち・便秘」
清上防風湯 「赤ら顔・にきび・赤鼻」

ここは絶対に覚えたい!

黄連解毒湯 → 体力中等度以上 → のぼせ・赤ら顔・いらいら

黄連解毒湯 → 鼻出血・不眠・神経症・更年期障害など

黄連解毒湯 → 5~6回で改善しなければ相談(鼻出血・二日酔い)

防已黄耆湯 → 体力中等度以下 → 疲れやすい・汗をかきやすい・水ぶとり

防已黄耆湯 → カンゾウ → 肝機能障害・間質性肺炎・偽アルドステロン症

防風通聖散 → 体力充実 → 腹部皮下脂肪+便秘

防風通聖散 → カンゾウ・マオウ・ダイオウ

防風通聖散 → 小児適用なし

防風通聖散 → 便秘で1週間位改善しなければ相談

大柴胡湯 → 体力充実 → 脇腹~みぞおちの苦しさ+便秘

大柴胡湯 → ダイオウ → 便秘の長期使用に注意

清上防風湯 → 体力中等度以上 → 赤ら顔・にきび・赤鼻

清上防風湯 → カンゾウ → 偽アルドステロン症等に注意

肥満症用漢方 → どのような肥満症にも適するわけではない

漢方薬の併用 → 同じ生薬の重複に注意

改善しない → 「証」が合わない可能性+一般用医薬品では対処不適の疾患の可能性 → 受診

予想問題

問1

黄連解毒湯は、体力中等度以上で、のぼせぎみで顔色が赤く、いらいらして落ち着かない傾向のある人に適するとされる。

解説

正しい。黄連解毒湯の重要なしばりは「体力中等度以上」「のぼせぎみで顔色が赤く」「いらいらして落ち着かない傾向」です。

問2

黄連解毒湯は、体力の弱い人ほど適しており、重篤な副作用は知られていない。

解説

誤り。体の虚弱な人では不向きとされています。また、まれに肝機能障害、間質性肺炎、腸間膜静脈硬化症が起こることがあります。

問3

黄連解毒湯を鼻出血や二日酔いに用いる場合、5~6回使用しても改善しなくても、長期にわたり継続してよい。

解説

誤り。鼻出血や二日酔いに用いる場合には漫然と長期使用を避け、5~6回使用しても改善しないときは、いったん使用を中止して専門家に相談します。

問4

防已黄耆湯は、体力中等度以下で、疲れやすく、汗をかきやすい傾向があり、いわゆる水ぶとりの肥満症などに適するとされる。

解説

正しい。防已黄耆湯は、体力中等度以下で疲れやすく汗をかきやすい人の肥満症、むくみ、多汗症、肥満に伴う関節の腫れや痛みなどに用いられます。

問5

防風通聖散は、体力が虚弱で胃腸が弱く下痢しやすい人に適している。

解説

誤り。防風通聖散は体力が充実している人に適し、体の虚弱な人、胃腸が弱く下痢しやすい人、発汗傾向の著しい人では不向きとされています。

問6

防風通聖散にはカンゾウ、マオウ、ダイオウが含まれている。

解説

正しい。防風通聖散は、カンゾウ、マオウ、ダイオウを構成生薬として含みます。

問7

大柴胡湯は、体力が充実して、脇腹からみぞおちあたりにかけて苦しく、便秘の傾向がある人に適するとされる。

解説

正しい。大柴胡湯の特徴的な「しばり」です。胃炎、常習便秘、高血圧や肥満に伴う肩こり・頭痛・便秘、神経症、肥満症などに用いられます。

問8

大柴胡湯を常習便秘や高血圧に伴う便秘に使用する場合、症状が改善しなくても長期に使用することが推奨される。

解説

誤り。漫然と長期使用を避け、1週間位使用しても症状の改善がみられない場合には、いったん使用を中止して専門家に相談します。

問9

清上防風湯は、体力中等度以上で赤ら顔、ときにのぼせがある人のにきび、顔面・頭部の湿疹・皮膚炎、赤鼻などに適するとされる。

解説

正しい。清上防風湯は、赤ら顔やときにのぼせがある体力中等度以上の人のにきび、顔面・頭部の湿疹・皮膚炎、赤鼻(酒さ)に用いられます。

問10

漢方処方製剤は、同じ生薬を含む処方を複数併用しても、処方全体が一つの有効成分として考えられるため問題ない。

解説

誤り。複数の処方で共通する生薬があり、同じ生薬を含む漢方処方製剤を併用すると、作用が強く現れたり、副作用を生じやすくなったりするおそれがあります。

まとめ

今回の5処方は、まず「体力+特徴的な症状」で覚えると整理しやすくなります。

黄連解毒湯=赤ら顔・のぼせ・いらいら防已黄耆湯=疲れやすい・汗をかきやすい・水ぶとり防風通聖散=体力充実・腹部皮下脂肪・便秘大柴胡湯=体力充実・脇腹~みぞおち・便秘清上防風湯=赤ら顔・にきび・赤鼻という形で整理しましょう。

さらに、カンゾウ・マオウ・ダイオウなどの構成生薬、偽アルドステロン症・間質性肺炎・肝機能障害・腸間膜静脈硬化症などの重篤な副作用までセットで覚えることが重要です。

肥満症に用いられる漢方処方製剤については、どのような肥満症にも適するわけではなく、食事や運動など生活習慣の改善も重要という点も押さえておきましょう。

また、漢方薬は「天然だから安全」ではありません。証に合わない処方では効果が得られないだけでなく、副作用を生じやすくなるため、改善しない場合には漫然と使用を続けず、必要に応じて受診することが重要です。

参考資料

厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月)」

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