解熱鎮痛薬の代表的な配合成分を整理しよう
解熱鎮痛薬は、発熱時の解熱や、頭痛、歯痛、月経痛(生理痛)、腰痛、筋肉痛などの痛みを和らげるために使用される一般用医薬品です。
登録販売者試験では、単に「痛み止め」と覚えるだけでは不十分です。アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、イソプロピルアンチピリンなど、それぞれの特徴や使用上の注意、副作用について問われやすくなっています。
また、解熱鎮痛薬には、鎮静成分や制酸成分、カフェイン類、ビタミン成分などが組み合わせて配合されることがあります。
このページでは、厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月)」に沿って、試験で重要なポイントを整理します。
解熱鎮痛成分の基本
解熱鎮痛成分は、大きく化学的に合成された成分と生薬成分に分けられます。
化学的に合成された解熱鎮痛成分は、悪寒・発熱時の解熱のほか、頭痛、歯痛、抜歯後の疼痛、咽頭痛、耳痛、関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛、肩こり痛、打撲痛、骨折痛、捻挫痛、月経痛(生理痛)、外傷痛などの鎮痛に用いられます。
多くの解熱鎮痛成分では、プロスタグランジンの産生を抑制することが、解熱・鎮痛作用に関係しています。
ただし、アセトアミノフェンは主として中枢作用によって解熱・鎮痛作用を示し、末梢における抗炎症作用は期待できません。
解熱鎮痛薬で共通して注意したいこと
解熱鎮痛成分によってプロスタグランジンの産生が抑制されると、胃腸粘膜を保護する作用などにも影響することがあります。そのため、胃腸障害を起こしやすくなり、胃・十二指腸潰瘍がある人では症状を悪化させるおそれがあります。
また、プロスタグランジンの産生抑制は腎血流量を減少させる可能性があるため、腎機能に障害がある場合には症状を悪化させるおそれがあります。
さらに、解熱鎮痛成分の代謝などが肝機能に影響する場合があるため、肝臓病のある人も使用前に医師や薬剤師へ相談することが望ましいとされています。
したがって、心臓病、腎臓病、肝臓病、胃・十二指腸潰瘍のある人では、使用前にその適否について相談することが重要です。
基礎疾患がない場合でも、解熱鎮痛薬を長期間使用すると、気づかないうちに臓器障害が進行するおそれがあるため、長期連用は避けます。
また、アルコールは解熱鎮痛成分の吸収や代謝に影響し、肝機能障害などの副作用を起こしやすくするおそれがあります。そのため、服用中の飲酒は避けることが大切です。
① サリチル酸系解熱鎮痛成分
サリチル酸系解熱鎮痛成分には、アスピリン、サザピリン、サリチル酸ナトリウム、エテンザミド、サリチルアミドなどがあります。
アスピリンは、ほかの解熱鎮痛成分と比較して胃腸障害を起こしやすいことが特徴です。
そのため、アスピリンアルミニウムなどとして配合し、胃粘膜への悪影響を軽減するよう工夫された製品もあります。
15歳未満の小児とライ症候群
サリチル酸系解熱鎮痛成分で特に重要なのが、ライ症候群です。
アスピリン、アスピリンアルミニウム、サザピリン、サリチル酸ナトリウムは、15歳未満の小児に対して、一般用医薬品としてはいかなる場合も使用してはいけません。
一方、エテンザミドとサリチルアミドについては、水痘(水ぼうそう)またはインフルエンザにかかっている15歳未満の小児に対して使用を避ける必要があります。
この違いは試験で狙われやすいため、整理して覚えておきましょう。
アスピリンの特徴
アスピリンには血液を凝固しにくくさせる作用もあります。
そのため、胎児や出産時の母体への影響を考慮して、出産予定日12週間以内は使用を避けることとされています。
また、アスピリンはまれに重篤な副作用として肝機能障害を生じることがあります。
医療用医薬品では、アスピリンが血栓予防を目的として使用される場合もあります。そのようなアスピリン製剤を使用している人が、自己判断で一般用医薬品の解熱鎮痛薬を追加使用することは避ける必要があります。
エテンザミド
エテンザミドは、痛みの発生を抑える作用だけでなく、痛みが神経を伝わっていくのを抑える働きが比較的強いことが特徴です。
ほかの解熱鎮痛成分と組み合わせて配合されることが多く、アセトアミノフェン、カフェイン、エテンザミドの組合せは、頭文字からACE処方と呼ばれます。
② アセトアミノフェン
アセトアミノフェンは、主として中枢作用によって解熱・鎮痛をもたらします。
一方、末梢における抗炎症作用は期待できません。
そのため、ほかの解熱鎮痛成分に比べて胃腸障害が少ないことが特徴です。
空腹時に服用できる製品もありますが、食後の服用が推奨されている製品もあります。実際の使用時には、製品ごとの用法・用量を確認することが重要です。
アセトアミノフェンの重篤な副作用
アセトアミノフェンでは、まれに重篤な副作用として次のようなものが生じることがあります。
- 皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)
- 中毒性表皮壊死融解症(TEN)
- 急性汎発性発疹性膿疱症
- 間質性肺炎
- 腎障害
- 肝機能障害
特に、定められた用量を超えて使用した場合や、日頃から酒類をよく摂取する人では、重篤な副作用が起こりやすくなるとされています。
アセトアミノフェンと坐薬
アセトアミノフェンは、内服薬だけでなく、専ら小児の解熱に用いる坐薬にも配合されています。
坐薬と内服薬は別の剤形であっても、同じ成分が重複する可能性があります。
そのため、アセトアミノフェンを含む坐薬を使用している場合に、解熱鎮痛薬やかぜ薬を併用しないよう注意する必要があります。
③ イブプロフェン
イブプロフェンは、アスピリンなどに比べて胃腸への悪影響が少なく、抗炎症作用も示すことから、頭痛、咽頭痛、月経痛、腰痛などに使用されることが多い成分です。
ただし、一般用医薬品では15歳未満の小児には、いかなる場合も使用してはいけません。
イブプロフェンと胃腸障害
イブプロフェンはプロスタグランジンの産生を抑制することで、消化管粘膜の防御機能を低下させることがあります。
そのため、胃・十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、クローン病の既往歴がある人では、これらの疾患を再発させるおそれがあります。
イブプロフェンと妊婦
イブプロフェンは、出産予定日12週以内の妊婦については服用しないこととされています。
妊婦または妊娠していると思われる女性が解熱鎮痛薬を使用する場合には、自己判断せず、専門家への相談が重要です。
イブプロフェンの重篤な副作用
イブプロフェンでは、まれに重篤な副作用として肝機能障害、腎障害、無菌性髄膜炎を生じることがあります。
また、全身性エリテマトーデスや混合性結合組織病のある人では、無菌性髄膜炎を生じやすいため、使用前に医師や薬剤師へ相談するなどの対応が必要です。
④ イソプロピルアンチピリン
イソプロピルアンチピリンは、解熱作用と鎮痛作用が比較的強い一方、抗炎症作用は弱いことが特徴です。
そのため、ほかの解熱鎮痛成分と組み合わせて配合されることがあります。
イソプロピルアンチピリンは、一般用医薬品では現在、唯一のピリン系解熱鎮痛成分です。
ピリン系とピリン疹
ピリン系解熱鎮痛成分によって薬疹などのアレルギー症状を起こしたことがある人は、使用してはいけません。
なお、アスピリンやサザピリンは、成分名に「ピリン」という文字が含まれていてもピリン系ではありません。
試験では、「アスピリン=ピリン系」と誤認させる問題に注意しましょう。
生薬成分による解熱・鎮痛
生薬成分が解熱や鎮痛をもたらす仕組みは、化学的に合成された解熱鎮痛成分とは異なるものと考えられています。
そのため、アスピリンなどの解熱鎮痛成分の使用を避けなければならない場合にも、生薬成分を用いた製品が選択肢となることがあります。
ジリュウ
ジリュウはフトミミズ科のミミズを基原とする生薬で、古くから「熱さまし」として用いられてきました。
ジリュウのエキスを製剤化した製品には、「感冒時の解熱」を効能・効果とするものがあります。
シャクヤク
シャクヤクは、鎮痛鎮痙作用や鎮静作用を示し、内臓の痛みにも用いられます。
同様の作用を期待して、ボタンピが配合されることもあります。
ボウイ
ボウイは、鎮痛作用や尿量増加(利尿)作用などを期待して用いられる生薬です。
日本薬局方収載のボウイは、煎薬として筋肉痛、神経痛、関節痛などに用いられます。
漢方処方製剤の代表例
鎮痛を目的として用いられる漢方処方製剤には、芍薬甘草湯、桂枝加朮附湯、桂枝加苓朮附湯、薏苡仁湯、麻杏薏甘湯、疎経活血湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、呉茱萸湯、釣藤散などがあります。
これらのうち、呉茱萸湯以外はいずれも構成生薬としてカンゾウを含んでいます。
また、呉茱萸湯以外の製剤は、比較的長期間服用されることがあり、漢方処方製剤に共通する留意点も重要になります。
解熱鎮痛薬に配合されるその他の成分
鎮静成分
解熱鎮痛成分の鎮痛作用を助ける目的で、ブロモバレリル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素などの鎮静成分が配合されることがあります。
これらはいずれも依存性がある成分です。
また、鎮静作用を持つ生薬成分としてカノコソウなどが配合される場合もあります。
制酸成分
解熱鎮痛成分による胃腸障害を軽減する目的で、ケイ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムゲル、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどの制酸成分が配合されることがあります。
ただし、これらが配合されていても、その製品について胃腸薬のように胃腸症状に対する薬効を標榜することが認められているわけではありません。
骨格筋の緊張を鎮める成分
メトカルバモールには、骨格筋の緊張をもたらす脊髄反射を抑制する作用があります。
いわゆる「筋肉のこり」を和らげることを目的として、腰痛、肩こり、筋肉痛、関節痛、神経痛、打撲、捻挫などに用いられます。
鎮静作用があるため、服用後に眠気、めまい、ふらつきが現れることがあります。
そのため、服用後は乗物や機械類の運転操作をしてはいけません。また、鎮静成分を含むほかの医薬品との併用も避けます。
カフェイン類
カフェイン、無水カフェイン、安息香酸ナトリウムカフェインなどは、解熱鎮痛成分の鎮痛作用を増強することを期待して配合される場合があります。
さらに、中枢神経系を刺激して頭をすっきりさせたり、疲労感や倦怠感を和らげたりする目的で配合されることもあります。
ただし、カフェインが配合されていても、鎮静成分による眠気が必ず解消されるわけではありません。
ビタミン成分
発熱などによって消耗されやすいビタミンを補給する目的で、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンCなどが配合される場合があります。
試験で狙われやすいポイントまとめ
解熱鎮痛薬は、成分ごとの特徴を比較して覚えることが重要です。
| 成分 | 重要ポイント |
|---|---|
| アスピリン | 胃腸障害を起こしやすい、15歳未満の小児には使用不可、ライ症候群、出産予定日12週以内は使用を避ける |
| エテンザミド | 神経を伝わる痛みを抑える働きが比較的強い、ACE処方 |
| アセトアミノフェン | 中枢作用が中心、末梢の抗炎症作用は期待できない、15歳未満でも使用される製品がある、過量や飲酒で重篤な副作用に注意 |
| イブプロフェン | 抗炎症作用あり、15歳未満は使用不可、出産予定日12週以内は服用しない |
| イソプロピルアンチピリン | 解熱・鎮痛作用が比較的強い、抗炎症作用は弱い、一般用医薬品で唯一のピリン系 |
| ジリュウ | 感冒時の解熱 |
| シャクヤク | 鎮痛鎮痙・鎮静、内臓の痛み |
| ボウイ | 鎮痛、利尿 |
| メトカルバモール | 骨格筋の緊張を鎮める、眠気・めまい・ふらつきに注意 |
予想問題
問1
アスピリン、アスピリンアルミニウム、サザピリン及びサリチル酸ナトリウムは、一般用医薬品として15歳未満の小児に使用することができる。
解説
誤り。これらの成分は、ライ症候群の発生が示唆されているため、15歳未満の小児には一般用医薬品として、いかなる場合も使用してはいけません。
問2
アセトアミノフェンは、末梢における抗炎症作用が強いため、炎症に伴う腫れを抑える目的にも適している。
解説
誤り。アセトアミノフェンは主として中枢作用によって解熱・鎮痛作用を示し、末梢における抗炎症作用は期待できません。
問3
イブプロフェンは一般用医薬品において、15歳未満の小児に使用できる。
解説
誤り。イブプロフェンは一般用医薬品では15歳未満の小児には、いかなる場合も使用してはいけません。
問4
イソプロピルアンチピリンは、一般用医薬品において唯一のピリン系解熱鎮痛成分である。
解説
正しい。現在、一般用医薬品ではイソプロピルアンチピリンが唯一のピリン系解熱鎮痛成分です。
問5
アスピリンは、出産予定日12週以内の妊婦でも使用できる。
解説
誤り。アスピリンは血液を凝固しにくくさせる作用があるため、胎児や出産時の母体への影響を考慮し、出産予定日12週間以内の使用を避けます。
問6
解熱鎮痛薬の服用中は、アルコールを飲んでも副作用には影響しない。
解説
誤り。アルコールは解熱鎮痛成分の吸収や代謝に影響し、肝機能障害などの副作用を起こしやすくするおそれがあります。そのため、服用期間中の飲酒は避けます。
問7
ブロモバレリル尿素やアリルイソプロピルアセチル尿素は、解熱鎮痛成分の鎮痛作用を助ける目的で配合されることがある。
解説
正しい。これらは鎮静成分であり、解熱鎮痛成分の鎮痛作用を助ける目的で配合される場合があります。また、いずれも依存性がある成分です。
問8
解熱鎮痛成分による胃腸障害を軽減する目的で、制酸成分が配合されることがある。
解説
正しい。ケイ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムゲル、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが配合される場合があります。
問9
カフェインが解熱鎮痛薬に配合されている場合、鎮静成分による眠気は必ず解消される。
解説
誤り。カフェインが配合されていても、鎮静成分による眠気が必ず解消されるわけではありません。
問10
心臓病、腎臓病、肝臓病、胃・十二指腸潰瘍のある人は、解熱鎮痛薬を使用する前に、その適否について医師や薬剤師に相談することが望ましい。
解説
正しい。解熱鎮痛薬は、基礎疾患を悪化させるおそれがあるため、これらの疾患がある人は使用前に相談することが重要です。
まとめ
解熱鎮痛薬は、試験で非常に重要な薬効群です。特にアスピリン・アセトアミノフェン・イブプロフェン・イソプロピルアンチピリンの違いは確実に覚えておきましょう。
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また、解熱鎮痛薬は単一成分だけでなく、鎮静成分、制酸成分、カフェイン類、ビタミン成分などが組み合わせて配合されることがあります。成分の目的と注意点をセットで覚えることが得点につながります。

