六君子湯(りっくんしとう)は、胃腸が弱く、食欲がなく、みぞおちがつかえる、疲れやすい人に用いられる漢方薬です。
一般用医薬品では、胃炎、胃腸虚弱、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐などに用いられます。
この記事では、六君子湯の特徴や効能・効果、含まれる生薬、飲み方、副作用、注意点についてわかりやすく解説します。
六君子湯とは?
六君子湯は、胃腸の働きが弱っている人に用いられる代表的な漢方薬の一つです。
一般用漢方製剤の承認基準では、体力中等度以下で、胃腸が弱く、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、貧血性で手足が冷えやすい人の症状に用いられます。
そのため、「胃がもたれる」「食欲がない」という症状だけでなく、体力や胃腸の状態などを含めて適しているかを判断することが大切です。
六君子湯の主な効能・効果
一般用漢方製剤の承認基準では、六君子湯の効能・効果は次のとおりです。
- 胃炎
- 胃腸虚弱
- 胃下垂
- 消化不良
- 食欲不振
- 胃痛
- 嘔吐
「食欲不振」や「胃もたれ」などがあっても、すべての人に六君子湯が適しているわけではありません。
体力が十分にある人や、症状の原因が別の病気による場合などは、別の対応が必要になることがあります。
六君子湯はどんな人に向いている?
六君子湯は、一般的に次のような特徴がある人が一つの目安になります。
- 胃腸が弱い
- 食欲がない
- 食事をすると胃がもたれやすい
- みぞおちがつかえるように感じる
- 疲れやすい
- 体力があまりない
- 手足が冷えやすい
ただし、これらの症状があるからといって、必ず六君子湯が適しているとは限りません。
漢方薬では、症状だけでなく体力や体質などを含めて「証」を考えて選びます。
漢方薬の「証」とは?|体質や症状に合わせた漢方薬の選び方を解説
六君子湯に含まれる生薬
一般用漢方製剤承認基準の六君子湯には、次の生薬が使われます。
- 人参(ニンジン)
- 白朮(ビャクジュツ)または蒼朮(ソウジュツ)
- 茯苓(ブクリョウ)
- 半夏(ハンゲ)
- 陳皮(チンピ)
- 大棗(タイソウ)
- 甘草(カンゾウ)
- 生姜(ショウキョウ)
製品によってエキスの量や製剤の形などは異なります。
また、六君子湯には甘草が含まれているため、ほかの漢方薬などと併用する場合には、生薬の重複にも注意が必要です。
漢方薬の併用・飲み合わせ|一緒に使うときの注意点と生薬の重複
六君子湯の飲み方
六君子湯の用法・用量は製品によって異なります。
エキス顆粒などでは、1日2~3回、食前または食間に服用するタイプがありますが、商品によって1回量や服用回数は異なります。
そのため、実際に服用するときは購入した製品の添付文書に記載されている用法・用量を守ってください。
漢方薬の「食前」「食間」がいつを指すのかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
漢方薬の飲み方を解説|食前・食間の違い、効果が出るまでの期間や飲みにくいときの工夫
六君子湯の副作用
六君子湯は漢方薬ですが、医薬品であるため副作用が起こる可能性があります。
製品の添付文書には、発疹・発赤、かゆみなどの皮膚症状が記載されている場合があります。
また、漢方薬では処方に含まれる生薬によって注意すべき副作用が異なります。
服用後に普段とは違う症状が現れた場合や、症状が悪化した場合には、服用を続けるのではなく、医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。
漢方薬の副作用については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
六君子湯で注意したい「甘草」
六君子湯には甘草が含まれています。
甘草を含む漢方薬などを複数使用すると、甘草の重複によって偽アルドステロン症や低カリウム血症、ミオパチーなどに注意が必要になる場合があります。
特に、胃腸症状の改善を目的として複数の漢方薬を使っている場合は、自己判断で併用せず、成分や生薬の重複を確認しましょう。
六君子湯を服用する前に相談したほうがよい人
治療中の病気がある人、妊娠中または妊娠していると思われる人、薬などで発疹・発赤・かゆみなどを起こしたことがある人などは、服用前に医師、薬剤師または登録販売者へ相談することが大切です。
高齢者や、複数の薬を使用している人も、自己判断で使用するのではなく、購入時に相談すると安心です。
また、胃痛や食欲不振が長く続いている場合には、漢方薬だけで対処せず、原因を確認するために医療機関への相談を検討してください。
六君子湯と「胃もたれ」の漢方薬は同じではない
「胃もたれ」や「食欲不振」に使われる漢方薬はいくつかありますが、対象となる体質や症状はそれぞれ異なります。
六君子湯は、胃腸が弱く、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすいといった特徴がある人が一つの目安です。
一方、食べ過ぎによる胃もたれなどでは、別の漢方薬が対象になる場合があります。
「胃もたれだから六君子湯」と単純に決めるのではなく、症状の出方や体質を確認することが重要です。
六君子湯と補中益気湯の違い
| 漢方薬 | 主な特徴 |
|---|---|
| 六君子湯 | 胃腸が弱く、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすい |
| 補中益気湯 | 体力虚弱で、元気がなく、胃腸の働きが衰えて疲れやすい |
どちらも体力が弱く疲れやすい人に用いられますが、六君子湯は胃腸症状や食欲不振がより前面に出ている処方です。
一方、補中益気湯は体力低下や疲労倦怠、病後・術後の衰弱などが効能・効果に含まれています。
補中益気湯とは?|疲れやすい・食欲不振に使われる漢方薬を解説
六君子湯についてよくある質問
六君子湯は食欲不振に使えますか?
はい。一般用漢方製剤の承認基準では、六君子湯は食欲不振に用いられます。
ただし、体力中等度以下で胃腸が弱いなど、対象となる体質や症状があります。
六君子湯は胃もたれに使えますか?
六君子湯の一般用医薬品の効能・効果には「胃炎」「胃腸虚弱」「消化不良」「食欲不振」「胃痛」「嘔吐」などが含まれています。
ただし、「胃もたれ」という症状だけで適した漢方薬を判断することはできません。
六君子湯と補中益気湯を一緒に飲めますか?
自己判断で併用することはおすすめできません。
どちらにも共通する生薬が含まれているため、併用する場合は生薬の重複などを確認する必要があります。
複数の漢方薬を使用する場合は、医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。
六君子湯は長期間飲んでも大丈夫ですか?
服用期間は症状や製品によって異なります。
一定期間使用しても症状が改善しない場合や、症状が悪化する場合には、漫然と服用を続けず、医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。
まとめ
六君子湯は、胃腸が弱く、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすい人に用いられる漢方薬です。
一般用医薬品では、胃炎、胃腸虚弱、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐などが効能・効果として認められています。
一方で、胃もたれや食欲不振があるからといって、誰にでも六君子湯が適しているわけではありません。
漢方薬は症状だけでなく、体力や体質などを含めて選ぶことが大切です。また、ほかの漢方薬を使用している場合は、生薬の重複にも注意しましょう。

