第3章「主な医薬品とその作用」では、医薬品の成分や作用だけでなく、副作用、相互作用、使用上の注意についても幅広く問われます。
特に登録販売者試験では、「この成分は何に使うか」だけでなく、「どのような人に注意が必要か」「他の医薬品と併用するとどうなるか」「どのような症状が現れたら受診するか」といった知識が重要です。
この記事では、第3章全体を通して重要な「副作用・相互作用・使用上の注意」を整理します。
副作用とは
医薬品は、期待する効果だけでなく、使用者の体質や状態、使用方法などによって、望ましくない作用が現れることがあります。
登録販売者試験では、医薬品の作用を覚えるだけでなく、その成分によって起こりうる副作用や使用上の注意まで理解しておくことが重要です。
例えば、抗ヒスタミン成分では眠気、甘草を含む漢方処方製剤などでは偽アルドステロン症などが重要なポイントとなります。
眠気を生じる成分に注意
抗ヒスタミン成分などには、眠気を生じるものがあります。
そのため、こうした成分を含む医薬品を使用した場合には、自動車の運転など危険を伴う機械操作を避ける必要があります。
試験では、
「眠気が生じなければ運転してもよい」
という形で誤った選択肢が作られることがあります。
眠気が生じる可能性がある成分では、使用後の運転などに注意するという点をセットで覚えましょう。
甘草と偽アルドステロン症
甘草を含む漢方処方製剤などでは、過量・長期使用などによって偽アルドステロン症が生じることがあります。
偽アルドステロン症では、体内のナトリウムやカリウムのバランスが乱れ、血圧上昇、むくみ、低カリウム血症などが現れることがあります。
複数の漢方処方製剤を使用する場合には、甘草が重複する可能性にも注意が必要です。
甘草 → 偽アルドステロン症 → 低カリウム血症
という流れで覚えておきましょう。
鼻炎用点鼻薬の連用に注意
血管収縮成分を含む鼻炎用点鼻薬は、鼻粘膜の血管を収縮させることで、鼻粘膜の充血や腫れを抑えます。
しかし、過度に使用すると二次充血を生じ、かえって鼻づまりが悪化することがあります。
そのため、鼻づまりが強いからといって、自己判断で使用回数を増やすことは適切ではありません。
刺激性瀉下成分の連用に注意
刺激性瀉下成分は、腸管を刺激して排便を促します。
代表的なものとして、センナやセンノシドなどがあります。
刺激性瀉下薬を長期間連用すると、腸管の正常な働きに影響し、便秘が悪化することがあります。
便秘が続くからといって、漫然と使用を続けるのではなく、原因が別にないか確認することが重要です。
成分の重複に注意
一般用医薬品には、複数の成分を配合した製品が多くあります。
そのため、複数の医薬品を併用すると、同じ成分が重複することがあります。
例えば、かぜ薬と解熱鎮痛薬を同時に使用すると、同じ解熱鎮痛成分などが重複する可能性があります。
また、鼻炎用薬や睡眠改善薬などでも、抗ヒスタミン成分が重複する可能性があります。
医薬品を販売する際には、購入者が現在使用している医薬品について確認することが重要です。
鉄製剤の注意点
貧血用薬では鉄製剤が重要です。
鉄製剤を服用すると、便が黒くなることがあります。
これは鉄製剤の服用時にみられる特徴の一つであり、試験でも確認しておきたいポイントです。
また、鉄製剤ではタンニン酸を含む飲食物との関係や、他の医薬品との相互作用にも注意が必要です。
鉄製剤を使用しても改善しない場合には、鉄欠乏性貧血以外の原因が存在する可能性もあるため、受診につなげることが重要です。
点眼薬の使用上の注意
点眼薬を使用するときは、容器の先端をまぶたやまつ毛などに触れさせないことが重要です。
容器の先端が触れると、薬液が汚染されるおそれがあります。
また、コンタクトレンズを装着している場合には、製品の使用上の注意を確認する必要があります。
点眼薬では「成分」だけでなく、「正しい点眼方法」も重要な試験ポイントです。
ステロイド性抗炎症成分の注意点
ステロイド性抗炎症成分は、炎症を抑える目的で外用薬などに配合されます。
一方、感染症による皮膚症状に使用すると、症状を悪化させるおそれがあります。
そのため、感染が疑われる皮膚症状に対して、自己判断で漫然と使用することには注意が必要です。
ステロイド=炎症を抑える
だけでなく、
感染症を悪化させるおそれがある
という点まで覚えておきましょう。
温感刺激成分の注意点
皮膚用薬には、温感刺激作用を示す成分が配合されることがあります。
こうした成分を使用した部位を、こたつ、電気毛布、カイロなどで過度に温めると、刺激が強くなったり、皮膚障害を起こしたりするおそれがあります。
また、入浴によって刺激が強くなることもあるため、製品の使用上の注意を確認することが重要です。
消毒薬の使用上の注意
消毒薬は、使用する対象や目的によって適切な成分や濃度が異なります。
皮膚など人体に使用するものと、器具や環境の消毒を目的とするものを区別する必要があります。
また、消毒薬には人体に有害なものもあるため、誤飲などの事故にも注意が必要です。
「消毒薬だから、どこにでも使える」という考え方は誤りです。
殺虫剤・忌避剤の使用上の注意
殺虫剤では、殺虫成分の作用機序だけでなく、使用対象や使用方法も重要です。
特にディートを含有する忌避剤では、年齢によって使用上の注意が異なります。
| 年齢 | 注意 |
|---|---|
| 生後6か月未満 | 使用を避ける |
| 6か月以上2歳未満 | 1日1回 |
| 2歳以上12歳未満 | 1日1~3回 |
| 6か月以上12歳未満 | 顔面への使用を避ける |
年齢と使用回数を組み合わせて覚えておくことが重要です。
一般用検査薬の結果を過信しない
一般用検査薬では、検査結果が必ずしも実際の状態と一致するとは限りません。
偽陰性は、対象物質が存在するのに陰性となることです。
偽陽性は、対象物質が存在しないのに陽性となることです。
検体の採取時期や状態、妨害物質などによって検査結果に影響が生じる場合もあります。
そのため、一般用検査薬の結果だけで疾病を確定することはできません。
妊娠検査薬の注意点
妊娠検査薬は、尿中のhCGを検出することによって妊娠の可能性を調べます。
一般的な妊娠検査薬では、月経予定日が過ぎて概ね1週間目以降を目安として使用します。
陽性となった場合でも、正常な妊娠であることまで確定できるわけではありません。
また、陰性であっても月経遅延が著しい場合などには、医療機関への受診が必要となることがあります。
受診勧奨が重要なケース
一般用医薬品は、すべての症状を自己判断で治療するためのものではありません。
次のような場合には、医療機関への受診につなげることが重要です。
・症状が改善しない
・症状が長期間続いている
・症状が繰り返している
・原因が明らかでない症状が続いている
・一般用医薬品を使用しても悪化している
・重篤な疾患が疑われる症状がある
登録販売者は、一般用医薬品を販売するだけでなく、必要に応じて医療機関への受診を勧めることも重要な役割です。
ここは絶対に覚えたい!
抗ヒスタミン成分 → 眠気 → 運転などに注意
甘草 → 偽アルドステロン症 → 低カリウム血症など
血管収縮成分 → 過度な使用 → 二次充血
刺激性瀉下成分 → 連用に注意
鉄製剤 → 便が黒くなることがある
ステロイド性抗炎症成分 → 感染症を悪化させるおそれ
点眼薬 → 容器先端をまぶたやまつ毛に触れさせない
ディート → 年齢別の使用制限
偽陰性 → 存在するのに陰性
偽陽性 → 存在しないのに陽性
妊娠検査薬 → 尿中hCG → 陽性だけで正常妊娠は確定できない
予想問題
問1
抗ヒスタミン成分を含む医薬品では、眠気が生じることがある。
答え:○
解説:抗ヒスタミン成分の中には眠気を生じるものがあります。
問2
眠気を生じる可能性がある医薬品を使用した場合でも、眠気を感じなければ自動車を運転してよい。
答え:×
解説:眠気を生じる可能性がある医薬品では、自動車の運転など危険を伴う機械操作を避ける必要があります。
問3
甘草を含む漢方処方製剤などの過量・長期使用では、偽アルドステロン症に注意する。
答え:○
解説:偽アルドステロン症では、低カリウム血症、血圧上昇、むくみなどが現れることがあります。
問4
血管収縮成分を含む鼻炎用点鼻薬は、使用回数を増やすほど安全に鼻づまりを改善できる。
答え:×
解説:過度に使用すると二次充血を生じ、鼻づまりが悪化することがあります。
問5
刺激性瀉下成分は、便秘が続く場合には自己判断で長期間連用することが望ましい。
答え:×
解説:刺激性瀉下成分の漫然とした連用には注意が必要です。
問6
鉄製剤を服用すると、便が黒くなることがある。
答え:○
問7
点眼薬の容器の先端がまぶたやまつ毛に触れても、薬液の汚染には影響しない。
答え:×
解説:容器の先端が触れることで薬液が汚染されるおそれがあります。
問8
ステロイド性抗炎症成分を含む外用薬は、感染症による皮膚症状を悪化させるおそれがある。
答え:○
問9
ディートを含有する忌避剤は、生後6か月未満の乳児にも使用できる。
答え:×
解説:生後6か月未満の乳児には使用を避けます。
問10
一般用検査薬で陽性となった場合、その結果だけで疾病の確定診断ができる。
答え:×
解説:一般用検査薬は専門家による診断に代わるものではありません。必要に応じて医療機関への受診につなげます。
まとめ
第3章では、成分の作用を覚えるだけでなく、副作用や相互作用、使用上の注意まで関連付けて理解することが重要です。
特に、
眠気
偽アルドステロン症
二次充血
連用による問題
成分の重複
点眼時の衛生管理
感染症へのステロイド使用
ディートの年齢別制限
偽陰性・偽陽性
受診勧奨
は、第3章を得点源にするためにしっかり確認しておきたいポイントです。
「この成分は何に使うか」だけではなく、「使用するときに何に注意するか」まで説明できるようにしておきましょう。
参考資料
・厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)」
・厚生労働省「登録販売者試験」
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