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登録販売者試験 第3章完全攻略⑪|小児鎮静薬の配合生薬・漢方処方製剤と副作用

小児鎮静薬とは

小児では、特に身体的な問題がなくても、夜泣き、ひきつけ、疳(かん)の虫などの症状が現れることがあります。

こうした症状には、他者との関わりなどへの不安や興奮による情緒不安定・神経過敏が関係すると考えられているほか、睡眠リズムが形成されるまでの発達過程とも考えられています。

また、授乳後にげっぷが出なかったり、泣く際に空気を飲み込んだりすることで消化管に空気がたまり、症状と関連する場合があります。

さらに乳児では、食道と胃を隔てる括約筋が未発達であるため、胃食道逆流によってむずがり、夜泣き、乳吐きなどを起こすことがあります。

小児鎮静薬は、こうした症状を鎮めるほか、小児における虚弱体質、消化不良などの改善を目的として使用される生薬製剤・漢方処方製剤です。

小児鎮静薬の基本的な考え方

小児鎮静薬には、症状をその場で抑えることだけでなく、症状の原因となる体質の改善を主眼とするものが多くあります。

そのため、比較的長期間、1か月程度継続して服用されることがあります。

ただし、夜泣き、ひきつけ、疳の虫など、身体的な問題がなく生じる症状については、成長に伴って自然に治まるのが通常とされています。

したがって、小児鎮静薬についても「子どもだから副作用がない」「作用が穏やかだから安全」と安易に考えて使用しないことが重要です。

保護者の安眠を優先した使用は適切ではない

小児の夜泣きなどは、発達段階の一時的な症状である場合があります。

そのため、保護者側の安眠などを優先して小児鎮静薬を使用することは適当ではありません。

子どもの状態を確認し、本当に医薬品による対処が必要なのかを考えることが重要です。

小児の疳に用いられる生薬成分

「疳」は「乾」という意味もあるとされ、やせて血が少ないことから生じるとも考えられています。

小児鎮静薬には、鎮静作用のほか、血液の循環を促す作用があるとされる生薬成分を中心に配合されています。

中には、鎮静作用と中枢刺激作用という、相反する作用を期待する生薬成分が配合されているものもあります。

これらは身体の状態によって反応が異なり、全体として効果がもたらされると考えられています。

① ゴオウ

ゴオウは、緊張や興奮を鎮める作用や、血液の循環を促す作用などを期待して用いられる生薬です。

小児鎮静薬に配合される生薬の一つですが、ゴオウについては強心薬の分野でも扱われます。

② ジャコウ

ジャコウも、緊張や興奮を鎮める作用や、血液の循環を促す作用などを期待して用いられます。

ゴオウと同様、小児鎮静薬だけでなく強心薬の分野でも重要な生薬です。

③ レイヨウカク

レイヨウカクは、ウシ科のサイカレイヨウ(高鼻レイヨウ)等の角を基原とする生薬です。

緊張や興奮を鎮める作用などを期待して用いられます。

④ ジンコウ

ジンコウは、ジンチョウゲ科のジンコウなどの材のうち、特にその辺材の材質中に黒色の樹脂が沈着した部分を基原とする生薬です。

鎮静、健胃、強壮などの作用を期待して用いられます。

⑤ その他の配合生薬

小児鎮静薬には、このほかにも次のような生薬が配合される場合があります。

  • リュウノウ
  • 動物胆
  • ユウタン
  • チョウジ
  • サフラン
  • ニンジン
  • カンゾウ

これらの生薬は、小児鎮静薬以外の薬効群でも扱われるため、関連する分野と結びつけて覚えておくと理解しやすくなります。

カンゾウを含む小児鎮静薬

小児の疳を適応症とする生薬製剤では、カンゾウは主として健胃作用を期待して配合されます。

その配合量は比較的少ないことが多いものの、ほかの医薬品などから摂取するグリチルリチン酸も含め、総量が継続して多くならないよう注意する必要があります。

カンゾウを含む医薬品では、偽アルドステロン症などの副作用に関連する注意点も重要になります。

小児鎮静薬に用いられる漢方処方製剤

小児の疳を適応症とする主な漢方処方製剤として、次の処方があります。

  • 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
  • 桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
  • 抑肝散(よくかんさん)
  • 抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)
  • 小建中湯(しょうけんちゅうとう)

このうち、小建中湯を除いて、すべてカンゾウを構成生薬として含みます。

① 柴胡加竜骨牡蛎湯

柴胡加竜骨牡蛎湯は、体力中等度以上で、精神不安があり、動悸、不眠、便秘などを伴う高血圧の随伴症状、神経症、更年期神経症、小児夜泣き、便秘などに用いられます。

体の虚弱な人、胃腸が弱く下痢しやすい人、瀉下薬(下剤)を服用している人では、腹痛、激しい腹痛を伴う下痢などの副作用が現れやすいため、不向きとされています。

また、構成生薬としてダイオウを含みます。

まれに肝機能障害、間質性肺炎を生じることがあります。

② 桂枝加竜骨牡蛎湯

桂枝加竜骨牡蛎湯は、体力中等度以下で疲れやすく、神経過敏で興奮しやすいものの、神経質、不眠症、小児夜泣き、夜尿症、眼精疲労、神経症などに用いられます。

小児の夜泣きなどに用いられる代表的な漢方処方製剤の一つです。

③ 抑肝散

抑肝散は、体力中等度を目安として、神経が高ぶり、怒りやすい、イライラなどがあるものの、神経症、不眠症、小児夜泣き、小児疳症(神経過敏)、歯ぎしり、更年期障害、血の道症などに用いられます。

特に神経の高ぶりや怒りやすさ、イライラといった症状がポイントです。

抑肝散にはカンゾウが含まれるため、カンゾウを含む医薬品に共通する注意点も確認しておきましょう。

④ 抑肝散加陳皮半夏

抑肝散加陳皮半夏は、体力中等度を目安として、やや消化器が弱く、神経が高ぶり、怒りやすい、イライラなどがあるものの、神経症、不眠症、小児夜泣き、小児疳症(神経過敏)、更年期障害、血の道症、歯ぎしりなどに用いられます。

抑肝散と比較して、やや消化器が弱い人が目安となる点がポイントです。

⑤ 小建中湯

小建中湯は、小児の疳に用いられる漢方処方製剤の一つです。

小児鎮静薬として覚える場合は、柴胡加竜骨牡蛎湯、桂枝加竜骨牡蛎湯、抑肝散、抑肝散加陳皮半夏などとあわせて押さえておきましょう。

漢方処方製剤の年齢について

小児鎮静薬として用いられる漢方処方製剤では、用法・用量において適用年齢の下限が設けられていない場合であっても、生後3か月未満の乳児には使用しないこととされています。

「年齢制限の記載がない=新生児にも使える」という考え方は誤りです。

小児鎮静薬の副作用に注意

小児鎮静薬は生薬製剤や漢方処方製剤であるため、「天然成分だから安全」「漢方だから副作用がない」と考えてはいけません。

特に漢方処方製剤では、構成生薬によって注意すべき副作用が異なります。

たとえば柴胡加竜骨牡蛎湯では、まれに肝機能障害や間質性肺炎を生じることがあります。

また、カンゾウを含む製剤では、ほかのカンゾウ含有医薬品との重複によってグリチルリチン酸の摂取量が増えないよう注意します。

試験で狙われやすいポイント

項目 重要ポイント
小児鎮静薬 夜泣き、ひきつけ、疳の虫などを鎮め、虚弱体質や消化不良などの改善にも用いる
基本的な考え方 症状の原因となる体質の改善を主眼とするものが多い
夜泣きなど 成長に伴って自然に治まるのが通常。保護者の安眠を優先して使用するのは適当ではない
ゴオウ・ジャコウ 緊張・興奮を鎮め、血液循環を促す作用などを期待
レイヨウカク 緊張・興奮を鎮める作用などを期待
ジンコウ 鎮静・健胃・強壮などを期待
カンゾウ 主として健胃作用を期待。グリチルリチン酸の総量に注意
柴胡加竜骨牡蛎湯 小児夜泣き、便秘など。ダイオウを含む。肝機能障害・間質性肺炎に注意
桂枝加竜骨牡蛎湯 神経質、不眠症、小児夜泣き、夜尿症など
抑肝散 神経が高ぶる、怒りやすい、イライラ、小児夜泣き、小児疳症など
抑肝散加陳皮半夏 やや消化器が弱く、神経が高ぶる、怒りやすい、イライラなど
小建中湯 小児の疳に用いられる。上記4処方とはカンゾウの有無が異なる
3か月未満 適用年齢の下限がなくても生後3か月未満の乳児には使用しない

ここは絶対に覚えたい!

小児鎮静薬では、まず「夜泣きなどは成長に伴って自然に治まることが多い」「保護者の安眠を優先した使用は適切ではない」という基本を押さえましょう。

生薬では、ゴオウ・ジャコウ・レイヨウカク・ジンコウの特徴を整理します。

漢方処方製剤では、柴胡加竜骨牡蛎湯、桂枝加竜骨牡蛎湯、抑肝散、抑肝散加陳皮半夏、小建中湯を覚えておきましょう。

さらに、「生後3か月未満には使用しない」こと、柴胡加竜骨牡蛎湯ではダイオウを含むこと、肝機能障害・間質性肺炎に注意することも重要です。

予想問題

問1

小児鎮静薬は、保護者の安眠を優先する目的で、夜泣きをする小児に積極的に使用することが適切である。

解説

誤り。夜泣き、ひきつけ、疳の虫などは成長に伴って自然に治まるのが通常であり、保護者側の安眠等を図ることを優先して小児鎮静薬を使用することは適当ではありません。

問2

小児鎮静薬に配合されるカンゾウは、主として鎮静作用を目的として配合されている。

解説

誤り。小児の疳を適応症とする生薬製剤では、カンゾウは主として健胃作用を期待して配合されています。

問3

生薬製剤や漢方処方製剤であれば、小児に使用しても副作用がない。

解説

誤り。生薬製剤や漢方処方製剤であっても副作用が生じることがあります。「天然成分だから安全」「漢方だから副作用がない」と安易に考えてはいけません。

問4

柴胡加竜骨牡蛎湯は、構成生薬としてダイオウを含む。

解説

正しい。柴胡加竜骨牡蛎湯はダイオウを含むため、ダイオウを含む漢方処方製剤に共通する注意点も重要です。

問5

柴胡加竜骨牡蛎湯では、まれに肝機能障害や間質性肺炎を生じることがある。

解説

正しい。柴胡加竜骨牡蛎湯では、重篤な副作用として、まれに肝機能障害や間質性肺炎を生じることが知られています。

問6

抑肝散は、神経が高ぶり、怒りやすい、イライラなどがあるものの神経症、不眠症、小児夜泣きなどに用いられる。

解説

正しい。抑肝散は、神経の高ぶりや怒りやすさ、イライラなどを伴う神経症、不眠症、小児夜泣き、小児疳症などに用いられます。

問7

抑肝散加陳皮半夏は、抑肝散と異なり、消化器が弱い人には適さない。

解説

誤り。抑肝散加陳皮半夏は、やや消化器が弱く、神経が高ぶり、怒りやすい、イライラなどがあるものの神経症、不眠症、小児夜泣きなどに用いられます。

問8

小児鎮静薬に用いられる漢方処方製剤は、用法・用量に適用年齢の下限が記載されていなければ、生後1か月未満の乳児にも使用できる。

解説

誤り。小児鎮静薬として用いられる漢方処方製剤は、適用年齢の下限が設けられていない場合でも、生後3か月未満の乳児には使用しないこととされています。

問9

桂枝加竜骨牡蛎湯は、体力中等度以下で疲れやすく、神経過敏で興奮しやすいものの神経質、不眠症、小児夜泣き、夜尿症などに用いられる。

解説

正しい。桂枝加竜骨牡蛎湯は、そのような体質・症状に適すとされています。

問10

小児鎮静薬に配合される生薬は、鎮静作用だけを期待して配合されており、中枢刺激作用を期待する生薬が含まれることはない。

解説

誤り。小児鎮静薬には、鎮静作用と中枢刺激作用のように相反する作用を期待する生薬成分が配合されている場合もあります。

まとめ

小児鎮静薬は、夜泣きや疳の虫などを鎮めるほか、虚弱体質や消化不良などの改善を目的として使用される生薬製剤・漢方処方製剤です。

試験では、ゴオウ、ジャコウ、レイヨウカク、ジンコウなどの生薬と、柴胡加竜骨牡蛎湯、桂枝加竜骨牡蛎湯、抑肝散、抑肝散加陳皮半夏、小建中湯の特徴が重要です。

さらに、生後3か月未満には使用しないカンゾウを含む製剤ではグリチルリチン酸の総量に注意柴胡加竜骨牡蛎湯ではダイオウ・肝機能障害・間質性肺炎に注意というポイントを押さえておきましょう。

そして何より、小児の夜泣きなどは成長に伴って自然に治まることが多く、保護者の都合を優先して安易に医薬品を使用しないという基本姿勢が重要です。

参考資料

厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月)」

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