腸の薬とは
腸における消化や栄養成分・水分の吸収が正常に行われなかったり、腸管が内容物を送り出す運動に異常が生じたりすると、便秘、軟便、下痢などの症状が現れます。
腸の働きは自律神経系によって調節されているため、腸そのものだけでなく、腸以外の病気などが原因となって腸の働きに異常が生じることもあります。
一般用医薬品の腸の薬には、大きく分けて整腸薬、止瀉薬、瀉下薬があります。
| 種類 | 主な目的 |
|---|---|
| 整腸薬 | 腸の調子や便通を整え、腹部膨満感、軟便、便秘などを改善する |
| 止瀉薬 | 下痢、食あたり、吐き下し、水あたり、軟便などを改善する |
| 瀉下薬 | 便秘や便秘に伴う症状の改善、腸内容物の排出を促す |
この3種類の違いを最初に押さえておくと、その後の成分の理解がしやすくなります。
下痢が起こる仕組み
急性の下痢は、体の冷え、消化不良、細菌やウイルスなどによる消化器感染、精神的なストレスなどが原因となることがあります。
一方、慢性的な下痢では、腸そのものに病変が生じている可能性があります。
また、下痢は腸管内にある有害な物質を排出するための防御反応でもあります。
そのため、原因を考えずに下痢を止めることが、かえって症状を悪化させる場合があります。
便秘が起こる仕組み
一過性の便秘では、環境変化などによるストレスや医薬品の副作用などが原因となることがあります。
慢性的な便秘では、加齢や病気による腸の働きの低下、便意を繰り返し我慢することによる腸管の感受性低下などが原因となることがあります。
便秘と下痢が繰り返し現れる場合もあり、症状が長引く場合には、単純な便通異常だけではない可能性を考える必要があります。
① 整腸薬
整腸薬は、腸内細菌の数やバランスに影響を与えたり、腸の活動を促したりする成分によって、腸の調子や便通を整えることを目的としています。
代表的なものとして、乳酸菌やビフィズス菌などの生菌成分があります。
生菌成分
整腸薬に配合される代表的な生菌成分には、次のものがあります。
- ビフィズス菌
- アシドフィルス菌
- ラクトミン
- 乳酸菌
- 酪酸菌
これらは腸内細菌のバランスを整えることを目的として使用されます。
整腸作用を期待する生薬
整腸作用を期待して、次のような生薬成分が配合されることもあります。
- ケツメイシ
- ゲンノショウコ
- アセンヤク
日本薬局方収載のケツメイシ、ゲンノショウコは、煎薬として整腸や便通を整える目的、腹部膨満感などに用いられます。
トリメブチンマレイン酸塩
トリメブチンマレイン酸塩は、胃や腸の平滑筋に直接作用して、消化管の運動を調整するとされています。
消化管の運動が低下しているときには亢進的に、逆に運動が亢進しているときには抑制的に働くとされています。
まれに重篤な副作用として肝機能障害を生じることがあります。
肝臓病の診断を受けた人では、使用前に医師または薬剤師へ相談することが重要です。
② 止瀉薬
止瀉薬は、下痢や食あたり、吐き下し、水あたり、軟便などの改善を目的として使用されます。
止瀉成分には、腸粘膜を保護するもの、腸内細菌に作用するもの、腸管内の有害物質を吸着するものなどがあります。
収斂成分
収斂成分は、腸粘膜のタンパク質と結合して不溶性の膜を形成し、腸粘膜を引き締めることによって、腸粘膜を保護する目的で使用されます。
代表的な成分には、次没食子酸ビスマス、次硝酸ビスマスなどのビスマスを含む成分、タンニン酸アルブミンなどがあります。
生薬成分では、ゴバイシ、オウバク、オウレンなどが用いられることがあります。
収斂成分を細菌性下痢に使用しない
収斂成分を主体とする止瀉薬は、細菌性の下痢や食中毒に使用して腸の運動を鎮めると、かえって状態を悪化させるおそれがあります。
特に急性の激しい下痢、腹痛、腹部膨満、吐きけなどを伴う場合は、細菌性の下痢や食中毒が疑われるため、安易な使用は避けます。
ビスマスを含む成分
ビスマスを含む成分には収斂作用のほか、腸内で発生した有毒物質を分解する作用もあるとされています。
ただし、海外では長期連用により、不安、記憶力減退、注意力低下、頭痛などの精神神経症状が現れたとの報告があります。
そのため、1週間以上継続して使用しないこととされています。
また、アルコールと一緒に摂取すると、循環血液中への移行が高まり、精神神経症状を生じるおそれがあるため、服用時は飲酒を避けます。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍の診断を受けた人では、損傷した粘膜からビスマスの吸収が高まるおそれがあります。
さらに、妊婦または妊娠していると思われる女性では使用を避けます。
タンニン酸アルブミン
タンニン酸アルブミンは、牛乳に含まれるタンパク質であるカゼインから精製されたアルブミンを含みます。
そのため、牛乳にアレルギーがある人では使用を避ける必要があります。
また、まれに重篤な副作用としてショック(アナフィラキシー)を生じることがあります。
ロペラミド塩酸塩
ロペラミド塩酸塩は、腸管の運動を低下させる作用があり、食べすぎ・飲みすぎによる下痢、寝冷えによる下痢などに用いられます。
一方、食あたりや水あたりによる下痢は適用対象ではありません。
ロペラミド塩酸塩と発熱・血便
発熱を伴う下痢、血便、粘液便が続く場合には、ロペラミド塩酸塩の適用対象ではない可能性があります。
このような場合に安易に使用すると、症状の悪化や治療期間の延長につながるおそれがあります。
ロペラミド塩酸塩の年齢制限
ロペラミド塩酸塩を含む一般用医薬品では、15歳未満の小児には適用がありません。
また、外国では乳幼児の過量摂取によって、中枢神経系障害、呼吸抑制、麻痺性イレウスを起こしたとの報告があります。
ロペラミド塩酸塩のその他の注意
ロペラミド塩酸塩は、使用を短期間にとどめ、2~3日間使用しても症状が改善しない場合には、医師の診療を受けるなどの対応が必要です。
腸管の運動を低下させるため、胃腸鎮痛鎮痙薬との併用は避けます。
効き目が強すぎると便秘が現れることがあり、まれにイレウス様症状を生じることもあります。
便秘を避けなければならない肛門疾患がある人では、使用を避けます。
また、中枢神経系を抑制する作用があるため、めまいや眠気が現れることがあります。服用後は乗物や機械類の運転操作を避けます。
中枢抑制作用が増強するおそれがあるため、服用時は飲酒しないことも重要です。
吸収された成分の一部が乳汁中に移行するため、母乳を与える女性では使用を避けるか、使用期間中の授乳を避けます。
腸内殺菌成分
細菌感染による下痢の症状を鎮める目的で、ベルベリン塩化物、タンニン酸ベルベリン、アクリノールなどが用いられます。
これらは、通常の腸内細菌に対しても抗菌作用を示しますが、ブドウ球菌や大腸菌などに対する抗菌作用のほうが優位であるとされています。
腸内殺菌成分を予防目的で使わない
腸内殺菌成分を含む止瀉薬を、下痢の予防目的で服用したり、症状が治まった後も漫然と使用したりすることは適切ではありません。
長く使用すると腸内細菌のバランスを崩し、腸内環境を悪化させることがあります。
そのため、下痢の症状があるとき、その症状を改善する必要がある期間だけの使用にとどめます。
ベルベリンとオウバク・オウレン
ベルベリン塩化物やタンニン酸ベルベリンに含まれるベルベリンは、生薬のオウバクやオウレンにも存在します。
ベルベリンには抗菌作用のほか、抗炎症作用もあるとされています。
オウバクのエキス製剤では、苦味による健胃作用よりも、ベルベリンによる止瀉作用を期待して用いられることがあります。
吸着成分
腸管内の異常発酵などによって生じた有害な物質を吸着させることを目的として、吸着成分が用いられます。
代表的なものには、次の成分があります。
- 炭酸カルシウム
- 沈降炭酸カルシウム
- 乳酸カルシウム
- リン酸水素カルシウム
- 天然ケイ酸アルミニウム
- ヒドロキシナフトエ酸アルミニウム
生薬成分では、カオリン、薬用炭などが用いられることがあります。
アルミニウムを含む成分については、胃の薬におけるアルミニウム含有制酸成分と同様の注意が必要です。
木クレオソート
木クレオソートは、過剰な腸管の蠕動運動を正常化し、水分や電解質の分泌も抑える止瀉作用があるとされています。
なお、医薬品として使用されるのは木材を原料とする木クレオソートです。
石炭を原料とする石炭クレオソートは発がん性のおそれがあり、医薬品として使用することはできません。
③ 瀉下薬(下剤)
瀉下薬は、便秘症状や、便秘に伴う肌荒れ、頭重、のぼせ、吹き出物、食欲不振、腹部膨満、腸内異常発酵、痔などの症状の緩和、または腸内容物の排除を目的として使用されます。
瀉下成分には、腸管を直接刺激するもの、腸内細菌によって生じた物質が腸管を刺激するもの、便のかさや水分量を増やすものなどがあります。
刺激性瀉下成分
刺激性瀉下成分は、腸管を刺激して反射的な腸の運動を引き起こし、排便を促します。
刺激性瀉下成分を含む瀉下薬は、大量に使用することを避ける必要があります。
大量使用によって腸管粘膜への刺激が強くなり、激しい腹痛や腸管粘膜の炎症を引き起こすおそれがあります。
ヒマシ油
ヒマシ油は、小腸でリパーゼによって生じる分解物が小腸を刺激することで、瀉下作用をもたらすと考えられています。
急激で強い瀉下作用を示すため、激しい腹痛、悪心・嘔吐がある人、妊婦、妊娠していると思われる女性、3歳未満の乳幼児では使用を避けます。
また、誤食・誤飲などによる中毒で腸管内容物を速やかに排出する必要がある場合に使用されることがありますが、防虫剤や殺鼠剤など脂溶性物質による中毒には使用してはいけません。
ヒマシ油によってナフタレンやリンなどが溶け出し、中毒症状を悪化させるおそれがあるためです。
吸収された成分の一部が乳汁中へ移行して乳児に下痢を起こすおそれがあるため、授乳中の女性では使用を避けるか、使用期間中の授乳を避けます。
大腸刺激性瀉下成分
大腸を刺激して排便を促す成分として、次のものがあります。
- センナ
- センノシド
- ダイオウ
- ビサコジル
- ピコスルファートナトリウム
このほか、アロエ、ジュウヤク、ケンゴシなどの生薬成分が用いられる場合もあります。
センナ・センノシド・ダイオウ
センナ中のセンノシドは、胃や小腸では消化されませんが、大腸に生息する腸内細菌によって分解され、その分解生成物が大腸を刺激することで瀉下作用をもたらすと考えられています。
ダイオウもセンナと同様にセンノシドを含み、大腸刺激性瀉下成分として用いられます。
妊婦・授乳婦への注意
刺激性瀉下成分は、腸の急激な動きによって流産・早産を誘発するおそれがあります。
特にセンナ及びセンノシドを含む瀉下薬は、妊婦または妊娠していると思われる女性では使用を避けます。
また、センナ、センノシド、ダイオウは、吸収された成分の一部が乳汁中に移行することが知られており、乳児に下痢を生じるおそれがあります。
母乳を与える女性では、使用を避けるか、使用期間中の授乳を避けます。
ダイオウを含む漢方処方製剤
ダイオウは漢方処方製剤の構成生薬としても用いられます。
しかし、瀉下を目的としない漢方処方では、ダイオウによる瀉下作用が副作用となることがあります。
そのため、ダイオウを含む漢方処方製剤と瀉下薬を併用すると、瀉下作用が強くなり、腹痛や激しい腹痛を伴う下痢などが現れやすくなります。
ダイオウを含む漢方処方製剤を使用している場合は、ほかの瀉下薬との併用に注意します。
ビサコジル
ビサコジルは、大腸のうち特に結腸や直腸の粘膜を刺激して排便を促すと考えられています。
また、結腸での水分吸収を抑えて、糞便のかさを増やす働きもあるとされています。
ビサコジルの内服薬では、胃内で分解されたり胃粘膜を刺激したりすることを避けるため、腸内で溶けるようにコーティングされた腸溶性製剤が多くあります。
腸溶性製剤では、服用前後1時間以内は制酸成分を含む胃腸薬や牛乳の摂取を避ける必要があります。
ピコスルファートナトリウム
ピコスルファートナトリウムは、胃や小腸では分解されず、大腸に生息する腸内細菌によって分解されることで、大腸への刺激作用を示すようになります。
大腸刺激性瀉下成分を含む瀉下薬は、服用してから数時間後に効果が現れるものが多くあります。
そのため、就寝前に服用して起床時の排便を期待する使い方がされることがあります。
刺激性瀉下薬を毎日使わない
刺激性瀉下薬を毎日漫然と使用していると、腸の運動が緩慢になり、服用量を増やさないと効果が出にくくなることがあります。
そのため、大腸刺激性瀉下成分を含む瀉下薬は、基本的に便秘時の頓服として使用することが望ましいとされています。
毎日の排便が滞る場合には、無機塩類や膨潤性瀉下成分を使用する、整腸成分を併用する、食物繊維を積極的に摂取するなど、刺激性瀉下薬だけに依存しない方法を検討します。
無機塩類
無機塩類は、腸内容物の浸透圧を高めて便中の水分量を増やし、排便を促すことを目的として使用されます。
代表的な成分には、次のものがあります。
- 酸化マグネシウム
- 水酸化マグネシウム
- 硫酸マグネシウム
- 硫酸ナトリウム
マグネシウムを含む成分
マグネシウムを含む成分は、一般に消化管からの吸収は少ないとされていますが、一部は腸から吸収され、尿中に排泄されます。
そのため、腎臓病の診断を受けた人では高マグネシウム血症を生じるおそれがあります。
高マグネシウム血症では、脱力感、低血圧、呼吸障害などが現れ、重症の場合には心停止が起こることもあります。
腎臓病のある人では、使用前に医師または薬剤師へ相談します。
硫酸ナトリウム
硫酸ナトリウムでは、血液中の電解質バランスが損なわれ、心臓の負担が増加して心臓病を悪化させるおそれがあります。
心臓病の診断を受けた人では、使用前に相談することが重要です。
膨潤性瀉下成分
膨潤性瀉下成分は、腸管内で水分を吸収して腸内容物に浸透し、糞便のかさを増やすとともに、糞便を柔らかくすることで瀉下作用を示します。
代表的な成分には、次のものがあります。
- カルメロースナトリウム
- カルメロースカルシウム
- プランタゴ・オバタ
効果を高めるため、使用と併せて十分な水分を摂取することが重要です。
ジオクチルソジウムスルホサクシネート(DSS)
ジオクチルソジウムスルホサクシネート(DSS)は、腸内容物に水分が浸透しやすくする作用を持ち、便中の水分量を増して便を柔らかくすることによって瀉下作用を示します。
マルツエキス
マルツエキスは、主成分である麦芽糖が腸内細菌によって分解・発酵されて生じるガスによって、便通を促すとされています。
瀉下薬としては比較的作用が穏やかなため、主に乳幼児の便秘に用いられます。
ただし、乳児の便秘は母乳不足や調整乳の希釈方法の誤りによって起こることもあります。
水分不足が原因となっている便秘には、マルツエキスの効果は期待できません。
また、マルツエキスは麦芽糖を60%以上含んでおり、水飴状で甘く、乳幼児の発育不良時の栄養補給にも用いられます。
腸の薬の重要ポイント一覧
| 分類・成分 | 重要ポイント |
|---|---|
| 整腸薬 | 腸内細菌のバランスや腸の活動を整える |
| 生菌成分 | ビフィズス菌、乳酸菌、酪酸菌など |
| トリメブチン | 消化管運動を調整。まれに肝機能障害 |
| 収斂成分 | 腸粘膜を引き締めて保護 |
| ビスマス | 1週間以上継続使用しない。飲酒を避ける |
| タンニン酸アルブミン | 牛乳アレルギーでは使用を避ける。アナフィラキシーに注意 |
| ロペラミド | 15歳未満は適用なし。食あたり・水あたりには使用しない |
| 腸内殺菌成分 | ベルベリン、アクリノールなど。予防目的・漫然使用を避ける |
| 木クレオソート | 過剰な腸管運動を正常化し、水分・電解質分泌も抑える |
| ヒマシ油 | 小腸刺激性。妊婦・3歳未満などは使用を避ける |
| センナ・センノシド・ダイオウ | 大腸刺激性。妊婦・授乳婦に注意 |
| ビサコジル | 結腸・直腸を刺激。腸溶性製剤では制酸薬・牛乳に注意 |
| ピコスルファート | 大腸内細菌で分解されて刺激作用を示す |
| 無機塩類 | 便中の水分量を増やす。マグネシウムは腎臓病に注意 |
| 膨潤性瀉下成分 | 水分を吸収して便のかさを増やす。十分な水分摂取が重要 |
| マルツエキス | 比較的作用が穏やか。主に乳幼児の便秘に用いる |
ここは絶対に覚えたい!
腸の薬では、まず「整腸薬・止瀉薬・瀉下薬」を区別しましょう。
止瀉薬では、「収斂成分」「ロペラミド」「腸内殺菌成分」「吸着成分」を整理します。
瀉下薬では、「刺激性」「無機塩類」「膨潤性」「DSS」「マルツエキス」という分類を押さえることが重要です。
特に試験で狙われるのが、ロペラミドは15歳未満に適用なし、センナ・センノシドは妊婦に使用を避ける、ヒマシ油は3歳未満に使用を避ける、刺激性瀉下薬は連用しない、マグネシウム含有成分は腎臓病に注意というポイントです。
さらに、ビサコジルの腸溶性製剤は制酸薬や牛乳との服用間隔に注意という細かい部分も重要です。
予想問題
問1
整腸薬は、腸内細菌の数やバランスに影響を与えたり、腸の活動を促したりする成分によって、腸の調子や便通を整えることを目的とする。
解説
正しい。整腸薬は、腸内細菌の数やバランス、腸の活動などを整えることによって、腹部膨満感、軟便、便秘などを改善することを目的としています。
問2
下痢は有害な物質を排出するための防御反応でもあるため、原因を考えずに止瀉薬で抑えることが適切とは限らない。
解説
正しい。下痢は腸管内の有害な物質を排出するための防御反応でもあります。原因によっては、止瀉薬によって症状を抑えることで、かえって悪化する場合があります。
問3
収斂成分を主体とする止瀉薬は、細菌性の下痢や食中毒の場合にも積極的に使用するとよい。
解説
誤り。細菌性の下痢や食中毒で腸の運動を鎮めると、かえって状態を悪化させるおそれがあります。急性の激しい下痢や腹痛、腹部膨満、吐きけなどを伴う場合は安易な使用を避けます。
問4
ビスマスを含む止瀉成分は、長期にわたって使用しても精神神経症状を起こすことはない。
解説
誤り。ビスマスを含む成分は、海外で長期連用した場合に不安、記憶力減退、注意力低下、頭痛などの精神神経症状が現れたとの報告があります。そのため、1週間以上継続して使用しません。
問5
ロペラミド塩酸塩は、食あたりや水あたりによる下痢に対して使用される。
解説
誤り。ロペラミド塩酸塩は、食べすぎ・飲みすぎによる下痢、寝冷えによる下痢などに用いられますが、食あたりや水あたりによる下痢は適用対象ではありません。
問6
ロペラミド塩酸塩を含む一般用医薬品は、15歳未満の小児にも適用がある。
解説
誤り。ロペラミド塩酸塩を含む一般用医薬品では、15歳未満の小児には適用がありません。
問7
発熱を伴う下痢、血便、粘液便が続く場合には、ロペラミド塩酸塩を安易に使用しない。
解説
正しい。このような症状では、ロペラミド塩酸塩の適用対象ではない可能性があり、使用によって症状の悪化や治療期間の延長を招くおそれがあります。
問8
ヒマシ油は急激で強い瀉下作用を示すため、妊婦や3歳未満の乳幼児では使用を避ける。
解説
正しい。ヒマシ油は急激で強い瀉下作用を示すため、妊婦、妊娠していると思われる女性、3歳未満の乳幼児では使用を避けます。
問9
刺激性瀉下薬は、毎日連続して使用すると腸の運動が緩慢になり、使用量を増やさないと効果が出にくくなることがある。
解説
正しい。刺激性瀉下薬の連用によって腸の運動が緩慢になり、服用量を増やさないと効果が得にくくなることがあります。そのため、常用を避ける必要があります。
問10
膨潤性瀉下成分は、水分を吸収して便のかさを増やすため、使用時には十分な水分摂取が重要である。
解説
正しい。膨潤性瀉下成分は腸管内で水分を吸収して便のかさを増やし、便を柔らかくします。効果を高めるため、使用と併せて十分な水分摂取を行うことが重要です。
まとめ
腸の薬では、整腸薬・止瀉薬・瀉下薬の違いを理解することが第一歩です。
止瀉薬では、収斂成分、ロペラミド、腸内殺菌成分、吸着成分を整理し、瀉下薬では刺激性瀉下成分、無機塩類、膨潤性瀉下成分、DSS、マルツエキスを押さえましょう。
特に重要なのは、ロペラミドは15歳未満に適用なし、発熱・血便・粘液便を伴う下痢には注意、ヒマシ油は妊婦・3歳未満に使用を避ける、センナ・センノシドは妊婦に使用を避ける、刺激性瀉下薬は連用しない、マグネシウム含有成分は腎臓病に注意というポイントです。
また、下痢や便秘は単なる症状ではなく、感染症や炎症性疾患などが原因となっていることもあります。一般用医薬品による対症療法だけを続けず、症状に応じて受診につなげる判断も登録販売者に求められます。

