登録販売者試験第2章「人体の働きと医薬品」では、医薬品の有効成分だけでなく、どのような形で使用するのかという「剤形」についても理解することが重要です。
第2章⑮では、錠剤、口腔用錠剤、散剤・顆粒剤、経口液剤・シロップ剤、カプセル剤、軟膏剤、クリーム剤、外用液剤、貼付剤、スプレー剤など、それぞれの剤形の特徴と適切な使用方法について学びます。
同じ有効成分を含む医薬品でも、剤形が異なることで、使用しやすさや有効成分が溶け出す場所、副作用の起こりやすさなどが変わる場合があります。
そのため、使用する人の年齢や身体の状態、患部の状態などに応じて、適切な剤形を選択することが重要です。
特に、
・剤形とは何か
・錠剤
・口腔内崩壊錠
・チュアブル錠
・トローチ剤、ドロップ剤
・舌下錠
・散剤、顆粒剤
・経口液剤、シロップ剤
・カプセル剤
・軟膏剤、クリーム剤
・外用液剤
・貼付剤
・スプレー剤
・剤形に応じた適切な使用方法
は、登録販売者試験で重要なポイントです。
本記事では、剤形ごとの特徴と適切な使用方法について、試験で判断しやすいように整理して解説します。
この記事で学べること
この記事では、次の内容を整理します。
・剤形とは何か
・剤形によって特徴が異なる理由
・錠剤の特徴と服用方法
・口腔内崩壊錠
・チュアブル錠
・トローチ剤とドロップ剤
・舌下錠
・散剤と顆粒剤
・経口液剤とシロップ剤
・カプセル剤
・軟膏剤とクリーム剤
・外用液剤
・貼付剤
・スプレー剤
・年齢や患部の状態に応じた剤形選択
・試験で間違えやすいポイント
・予想問題
剤形とは
医薬品の有効成分には、それぞれ異なる性状があります。
その有効成分を、使用目的や性状に合わせてどのような形状で使用するかを決めたものを剤形といいます。
剤形には、内服に用いるものや口腔内に適用するもの、患部に直接使用するものなどがあります。
剤形の違いは、使用する人の利便性を高めるだけでなく、有効成分が溶け出す部位を限定したり、副作用を軽減したりすることにも関係しています。
そのため、使用する人の年齢や身体の状態などに応じて、最適な剤形が選択されることが重要です。
内服に用いる主な剤形
有効成分を消化管から吸収させ、全身へ分布させることによって薬効をもたらす剤形には、
・錠剤
・口腔用錠剤
・カプセル剤
・散剤、顆粒剤
・経口液剤、シロップ剤
などがあります。
錠剤(内服)
錠剤は、内服用医薬品の剤形として最も広く用いられています。
一定の形状に成型された固形製剤で、飛散させずに服用できることや、有効成分の苦味や刺激性を口中で感じることなく服用できることが主な特徴です。
一方で、固形製剤であるため、高齢者や乳幼児などでは飲み込みにくいことがあります。
錠剤の服用方法
錠剤を服用するときは、適切な量の水またはぬるま湯とともに飲み込む必要があります。
水が少なかったり、水なしで服用したりすると、錠剤が喉や食道に張り付いてしまうことがあり、薬効が現れないだけでなく、喉や食道の粘膜を傷めるおそれがあります。
錠剤を噛み砕いてはいけない理由
錠剤は、胃や腸で崩壊し、有効成分が溶出することが薬効発現の前提となっています。
そのため、例外的な場合を除き、口中で噛み砕いて服用してはいけません。
特に、腸内での溶解を目的として錠剤表面をコーティングしている腸溶錠などは、噛み砕かずに使用する必要があります。
口腔内崩壊錠
口腔内崩壊錠は、口の中の唾液で速やかに溶けるよう工夫された錠剤です。
水なしで服用できるため、固形物を飲み込むことが困難な高齢者や乳幼児、水分摂取が制限されている場合などにも使用しやすい剤形です。
口の中で溶かした後、唾液とともに容易に飲み込むことができます。
チュアブル錠
チュアブル錠は、口の中で舐めたり、噛み砕いたりして服用する剤形です。
水なしでも服用できることが特徴です。
トローチ剤・ドロップ剤
トローチ剤やドロップ剤は、口腔内に適用する剤形です。
薬効を期待する部位が口の中や喉であるものが多く、飲み込まずに口の中で舐めて、徐々に溶かして使用します。
そのため、噛み砕いたり、すぐに飲み込んだりするのではなく、口の中でゆっくり溶かすことが重要です。
舌下錠
舌下錠は、舌の下で有効成分を溶解させ、口腔粘膜から吸収させる剤形です。
そのため、通常の内服薬のようにそのまま飲み込むのではなく、舌の下で溶かして使用します。
散剤・顆粒剤
散剤は粉末状にした医薬品で、顆粒剤は小さな粒状にした医薬品です。
錠剤のように固形状に固められていないため、錠剤を飲み込むことが困難な人にとっては、錠剤より服用しやすい場合があります。
一方で、口の中に広がって歯や入れ歯の間に挟まったり、苦味や渋味を強く感じたりすることがあります。
散剤の服用方法
散剤などを服用するときは、飛散を防ぐため、あらかじめ少量の水またはぬるま湯を口に含んでから服用したり、何回かに分けて少しずつ服用したりするとよいでしょう。
口の中に散剤などが残った場合には、さらに水などを口に含み、口腔内をすすぐようにして飲み込みます。
顆粒剤の服用方法
顆粒剤には粒の表面がコーティングされているものもあります。
そのため、顆粒剤は噛み砕かず、水などで飲み込むことが重要です。
経口液剤・シロップ剤
経口液剤は、液状の剤形のうち内服用のものです。
固形製剤よりも飲み込みやすく、すでに有効成分が液中に溶けたり分散したりしているため、服用後、比較的速やかに消化管から吸収される特徴があります。
そのため、有効成分の血中濃度が上昇しやすく、習慣性や依存性がある成分を含む場合には、本来の目的とは異なる不適正な使用がなされることがあります。
また、経口液剤では苦味やにおいが強く感じられることがあります。
小児に用いる医薬品では、白糖などの糖類を混ぜたシロップ剤とすることが多くあります。
カプセル剤
カプセル剤は、カプセル内に散剤、顆粒剤、液剤などを充填した剤形です。
固形製剤であるため、その特徴は錠剤とほぼ同様です。
カプセルの原材料として広く用いられているゼラチンは、ブタなどのタンパク質を主成分としているため、ゼラチンに対してアレルギーを持つ人は使用を避けるなどの注意が必要です。
カプセル剤の服用方法
カプセル剤を水なしで服用すると、ゼラチンが喉や食道に貼り付くことがあります。
そのため、必ず適切な量の水またはぬるま湯とともに服用します。
外用局所に適用する剤形
有効成分を患部などの局所に直接適用する剤形として、
・軟膏剤
・クリーム剤
・外用液剤
・貼付剤
・スプレー剤
などがあります。
これらは有効成分が同じであっても、配合されている添加剤などに違いがあり、剤形によっては症状を悪化させる場合があります。
そのため、患部の状態に応じて適切な剤形を選択する必要があります。
軟膏剤・クリーム剤
軟膏剤とクリーム剤は、基剤の違いによって大別されます。
どちらも有効成分が適用部位に留まりやすい特徴があります。
軟膏剤
軟膏剤は油性の基剤を用いるため、皮膚への刺激が弱い特徴があります。
適用部位を水から遮断したい場合などに用いられます。
患部が乾燥していても、じゅくじゅくと浸潤していても使用できます。
クリーム剤
クリーム剤は、油性基剤に水分を加えたものです。
患部を水で洗い流したい場合などに用いられます。
一方で、軟膏剤より皮膚への刺激が強いため、傷などへの使用は避ける必要があります。
外用液剤
外用液剤は、外用の液状製剤です。
軟膏剤やクリーム剤に比べて患部が乾きやすい特徴があります。
一方で、適用部位に直接的な刺激感などを与える場合があります。
貼付剤
貼付剤は、皮膚に貼り付けて使用する剤形です。
テープ剤やパップ剤などがあります。
適用部位に有効成分が一定時間留まるため、薬効の持続が期待できます。
一方で、適用部位にかぶれなどを起こす場合があります。
スプレー剤
スプレー剤は、有効成分を霧状にするなどして局所に吹き付ける剤形です。
手指などでは塗りにくい部位や、広範囲に適用する場合に適しています。
剤形を選ぶときに大切なこと
同じ有効成分を含む医薬品であっても、剤形によって使いやすさや薬効、副作用が異なる場合があります。
そのため、単に有効成分だけを見るのではなく、
・使用する人の年齢
・身体の状態
・飲み込みやすさ
・患部の状態
・使用する部位
・必要とする薬効
などを考慮して、適切な剤形を選択することが重要です。
試験で覚えておきたいポイント
第2章⑮では、次のポイントを押さえておきましょう。
① 医薬品の形状を剤形という
② 剤形の違いは利便性、有効成分が溶け出す部位、副作用などに関係する
③ 錠剤は適切な量の水またはぬるま湯で服用する
④ 錠剤は原則として噛み砕かない
⑤ 腸溶錠は特に噛み砕かないことが重要
⑥ 口腔内崩壊錠は水なしで服用できる
⑦ チュアブル錠は舐めたり噛み砕いたりして服用する
⑧ トローチ剤・ドロップ剤は口の中で徐々に溶かして使用する
⑨ 舌下錠は舌下で溶かし、口腔粘膜から吸収させる
⑩ 顆粒剤は、コーティングされている場合があるため噛み砕かない
⑪ 経口液剤は固形製剤より速やかに吸収されやすい
⑫ カプセル剤は適切な量の水またはぬるま湯とともに服用する
⑬ 軟膏剤は油性基剤で皮膚への刺激が弱い
⑭ クリーム剤は患部を水で洗い流したい場合などに用いるが、傷などへの使用は避ける
⑮ 外用液剤は軟膏剤やクリーム剤より患部が乾きやすい
⑯ 貼付剤は一定時間有効成分を適用部位に留めることができる
⑰ スプレー剤は塗りにくい部位や広範囲への適用に適している
試験で間違えやすいポイント
「錠剤は水なしで服用するのが基本である」
→誤り
錠剤は適切な量の水またはぬるま湯とともに服用します。
「腸溶錠は噛み砕いて服用してもよい」
→誤り
腸内での溶解を目的としてコーティングされているため、噛み砕かずに服用します。
「口腔内崩壊錠は水なしで服用できる」
→正しい
口の中の唾液で速やかに溶けるよう工夫されているため、水なしで服用できます。
「チュアブル錠はそのまま飲み込む」
→誤り
チュアブル錠は、口の中で舐めたり噛み砕いたりして服用します。
「舌下錠は舌の下で溶かして口腔粘膜から吸収させる」
→正しい
舌下錠は、有効成分を舌下で溶解させ、口腔粘膜から吸収させます。
「顆粒剤は必ず噛み砕いて服用する」
→誤り
顆粒剤には表面がコーティングされているものもあるため、噛み砕かずに水などで飲み込みます。
「軟膏剤とクリーム剤はどちらも同じ基剤で、皮膚への刺激も同じである」
→誤り
軟膏剤は油性基剤で皮膚への刺激が弱く、クリーム剤は皮膚への刺激が強いため、傷などへの使用は避ける必要があります。
「貼付剤は適用部位に有効成分が一定時間留まる」
→正しい
貼付剤は適用部位に有効成分が一定時間留まるため、薬効の持続が期待できます。
「スプレー剤は広範囲への適用には向かない」
→誤り
スプレー剤は手指などでは塗りにくい部位や、広範囲に適用する場合に適しています。
予想問題
問1
剤形について、正しいものはどれか。
① 医薬品の形状を剤形という
② 剤形は有効成分とは無関係である
③ 剤形は使用する人の年齢とは関係しない
④ 剤形によって薬効や副作用が変化することはない
答え:①
解説
医薬品の形状を剤形といい、剤形の違いは利便性、有効成分が溶け出す部位、副作用などに関係します。
問2
錠剤について、正しいものはどれか。
① 錠剤は水なしで服用するのが基本である
② 錠剤は原則として噛み砕いて服用する
③ 錠剤は適切な量の水またはぬるま湯とともに服用する
④ 腸溶錠は噛み砕いてよい
答え:③
解説
錠剤は適切な量の水またはぬるま湯とともに服用します。腸溶錠などは特に噛み砕かずに服用する必要があります。
問3
口腔用錠剤について、正しいものはどれか。
① チュアブル錠は水なしでは服用できない
② 舌下錠は舌の下で溶解させる
③ トローチ剤はすぐに飲み込む
④ 口腔内崩壊錠は必ず大量の水とともに服用する
答え:②
解説
舌下錠は舌の下で有効成分を溶解させ、口腔粘膜から吸収させます。口腔内崩壊錠は水なしで服用でき、チュアブル錠は舐めたり噛み砕いたりして服用します。
問4
外用剤について、正しいものはどれか。
① 軟膏剤は油性基剤で皮膚への刺激が弱い
② クリーム剤は傷に対して必ず適している
③ 貼付剤は有効成分を適用部位に留めない
④ スプレー剤は広範囲への適用には適さない
答え:①
解説
軟膏剤は油性基剤で皮膚への刺激が弱く、適用部位を水から遮断したい場合などに用います。クリーム剤は皮膚への刺激が強いため、傷などへの使用は避ける必要があります。
問5
剤形の選択について、正しいものはどれか。
① 有効成分だけを確認すれば剤形は考慮する必要がない
② 使用する人の年齢や身体の状態、患部の状態などに応じて適切な剤形を選択する
③ すべての人に同じ剤形を使用する
④ 患部の状態と剤形には関係がない
答え:②
解説
剤形は使用する人の利便性、有効成分が溶け出す部位、副作用などに関係します。そのため、使用する人の年齢や身体の状態、患部の状態などに応じて適切な剤形を選択することが重要です。
まとめ
登録販売者試験第2章⑮では、医薬品の剤形によって使用方法や特徴が異なり、使用する人の状態や患部の状態に応じて適切な剤形を選択することが重要であると理解しておきましょう。
特に重要なのは、
① 剤形とは医薬品の形状のことである
② 剤形の違いは利便性や薬効、副作用などに関係する
③ 錠剤は適切な量の水またはぬるま湯で服用する
④ 腸溶錠などは噛み砕かない
⑤ 口腔内崩壊錠は水なしで服用できる
⑥ チュアブル錠は舐めたり噛み砕いたりして服用する
⑦ トローチ剤・ドロップ剤は口の中で徐々に溶かして使用する
⑧ 舌下錠は舌下で溶かし、口腔粘膜から吸収させる
⑨ 顆粒剤はコーティングされているものがあるため、噛み砕かない
⑩ 経口液剤は比較的速やかに吸収される
⑪ カプセル剤は適切な量の水またはぬるま湯とともに服用する
⑫ 軟膏剤は皮膚への刺激が弱い
⑬ クリーム剤は傷などへの使用を避ける必要がある
⑭ 貼付剤は薬効の持続が期待できる
⑮ スプレー剤は塗りにくい部位や広範囲への適用に適している
というポイントです。
剤形の特徴を理解しておくと、同じ有効成分でも、なぜ錠剤、液剤、貼付剤、軟膏剤などに分けられているのかを理解しやすくなります。
第2章では、次に「症状からみた主な副作用」について学習していきます。

