胃痛や胃もたれなどの症状が気になるとき、市販の胃薬には「胃粘膜保護成分」が配合されているものがあります。
胃粘膜保護成分は、胃の粘膜を保護したり、胃粘液を増やしたりすることで、胃を守る働きを持つ成分です。
代表的な成分には、スクラルファートやテプレノン、アズレンスルホン酸ナトリウム、L-グルタミンなどがあります。
ただし、これらの成分はすべて同じ仕組みで働くわけではありません。胃粘膜の荒れた部分に付着して保護する成分や、胃粘液を増やして胃を守る成分、炎症を鎮める成分など、それぞれ特徴が異なります。
また、同じメーカーの商品でも、シリーズや製品によって配合成分が異なる場合があります。
この記事では、胃粘膜保護成分の種類と働き、市販薬に配合されている成分の違い、商品を選ぶときのポイントについて解説します。
胃粘膜保護成分とは?
胃粘膜保護成分とは、胃の内側を覆っている粘膜を保護したり、胃粘液を増やしたりすることで、胃を守る働きを持つ成分です。
胃の内部では、食べ物を消化するために胃酸が分泌されています。胃酸は消化に必要なものですが、胃の粘膜は胃酸などの刺激から自身を守る仕組みを持っています。
その仕組みの一つが、胃粘膜の表面を覆う胃粘液です。
胃粘液は胃酸や消化酵素などによる刺激から胃粘膜を守る役割を担っています。
胃粘膜保護成分は、胃粘膜を保護したり、胃粘液を増やしたりすることで、胃を守ることを目的として使用されます。
胃粘膜保護成分と制酸成分の違い
胃薬には、胃粘膜保護成分のほかに、制酸成分や胃酸分泌抑制成分なども配合されています。
| 成分の種類 | 主な働き |
|---|---|
| 胃粘膜保護成分 | 胃粘膜を保護したり、胃粘液を増やしたりする |
| 制酸成分 | 胃の中にある胃酸を中和する |
| 胃酸分泌抑制成分 | 胃酸が分泌される仕組みに作用し、分泌を抑える |
| 消化酵素 | 食べ物の消化を助ける |
胃粘膜保護成分は、胃酸を直接中和したり、胃酸の分泌そのものを抑えたりする成分とは異なります。
胃酸に関係する薬の違いについては、こちらの記事でも解説しています。
胃酸を抑える胃薬の違い|H2ブロッカー・PPI・制酸薬を比較
代表的な胃粘膜保護成分の種類
市販の胃薬に配合されている代表的な胃粘膜保護・修復成分には、次のようなものがあります。
- スクラルファート
- テプレノン
- アズレンスルホン酸ナトリウム
- L-グルタミン
それぞれ働き方が異なるため、成分ごとの特徴を確認していきましょう。
1.スクラルファート
スクラルファートは、胃粘膜の荒れた部分に付着し、患部を保護する働きを持つ成分です。
胃粘膜の傷ついた部分に付着して保護することで、胃酸などの刺激から患部を守り、修復を助けます。
市販薬では、ライオンの「スクラート胃腸薬S」や「スクラート胃腸薬」などに配合されています。
ただし、同じスクラートシリーズでも製品によって配合成分は異なります。
「スクラート胃腸薬S」はスクラルファートを中心に、7種の健胃生薬、制酸成分、消化酵素などを配合した製品です。
一方、通常の「スクラート胃腸薬」には、スクラルファートに加えて、アズレンスルホン酸ナトリウムやL-グルタミンも配合されています。
商品名が似ているため、購入するときは「S」の有無も含めて確認しましょう。
2.テプレノン
テプレノンは、胃粘液を増やして胃を守る働きを持つ成分です。
胃粘液は、胃酸や食事などによる刺激から胃粘膜を守る役割を担っています。
テプレノンは胃粘液を増やすことで、胃の防御機能をサポートします。
市販薬では、エーザイの「新セルベール整胃プレミアム」に配合されています。
新セルベール整胃プレミアムは、テプレノンだけでなく、胃の運動を活発にする生薬や消化酵素も組み合わせた胃薬です。
胃粘膜を守る働きに加えて、胃の運動や消化をサポートする成分も配合されている点が特徴です。
3.アズレンスルホン酸ナトリウム
アズレンスルホン酸ナトリウムは、炎症を鎮める働きを持つ成分です。
胃粘膜の炎症を鎮め、胃粘膜の修復を促す目的で胃薬に配合されています。
市販薬では、ライオンの通常の「スクラート胃腸薬」に、スクラルファートやL-グルタミンなどとともに配合されています。
なお、「スクラート胃腸薬S」には配合されていません。
スクラルファートが患部を保護する働きを持つのに対し、アズレンスルホン酸ナトリウムは炎症を鎮める働きを担っています。
このように、複数の成分を組み合わせることで、それぞれ異なる方向から胃粘膜を保護・修復するように設計された製品があります。
4.L-グルタミン
L-グルタミンは、アミノ酸の一種です。
胃薬では、胃粘膜の修復を促す目的で配合されることがあります。
通常の「スクラート胃腸薬」では、スクラルファートやアズレンスルホン酸ナトリウムと組み合わせて配合されています。
なお、「スクラート胃腸薬S」には配合されていません。
胃粘膜を保護する成分や炎症を鎮める成分と組み合わせることで、胃粘膜の修復をサポートする構成になっています。
胃粘膜保護成分を配合した市販薬
ここでは、代表的な胃粘膜保護成分を配合した市販薬を紹介します。
スクラート胃腸薬S(錠剤・散剤)
スクラート胃腸薬Sは、スクラルファートを中心に、7種の健胃生薬や制酸成分、消化酵素などを配合した胃腸薬です。
主な特徴は次のとおりです。
- スクラルファートが胃粘膜の荒れた患部に付着して保護する
- 7種の健胃生薬を配合
- 制酸成分を配合
- 消化酵素を配合
胃粘膜を保護する働きだけでなく、健胃生薬や制酸成分、消化酵素なども組み合わされています。
錠剤と散剤があり、飲みやすさや好みに合わせて選べます。
スクラート胃腸薬S(錠剤)102錠
錠剤タイプを選びたい方はこちらです。
Amazonで購入したい場合はこちら
スクラート胃腸薬S(散剤)34包
粉薬タイプを選びたい方はこちらです。
Amazonで購入したい場合はこちら
新セルベール整胃プレミアム(錠・細粒)
新セルベール整胃プレミアムは、テプレノンを中心に、胃の運動を活発にする生薬や消化酵素を配合した胃薬です。
主な特徴は次のとおりです。
- テプレノンが胃粘液を増やして胃を守る
- ソウジュツやコウボクなどの生薬を配合
- 消化酵素を配合
胃粘膜を守るだけでなく、胃の運動や消化をサポートする成分も配合されています。
錠剤と細粒があり、好みや飲みやすさに合わせて選べます。
新セルベール整胃プレミアム(錠)72錠
Amazonで購入したい場合はこちら
新セルベール整胃プレミアム(細粒)24包
Amazonで購入したい場合はこちら
スクラートと新セルベールの違い
スクラート胃腸薬Sと新セルベール整胃プレミアムは、どちらも胃を守る成分を配合していますが、中心となる成分や製品の構成が異なります。
| 比較項目 | スクラート胃腸薬S | 新セルベール整胃プレミアム |
|---|---|---|
| 中心となる胃粘膜保護成分 | スクラルファート | テプレノン |
| 主な働き | 荒れた胃粘膜の患部に付着して保護する | 胃粘液を増やして胃を保護する |
| その他の成分 | 7種の健胃生薬、制酸成分、消化酵素など | 健胃生薬、消化酵素など |
| 剤形 | 錠剤・散剤 | 錠剤・細粒 |
スクラート胃腸薬Sは、スクラルファートによる患部の保護を中心に、7種の健胃生薬や制酸成分、消化酵素などを組み合わせています。
一方、新セルベール整胃プレミアムは、テプレノンによって胃粘液を増やし、胃を守ることを中心に設計されています。
どちらが優れているということではなく、配合成分や効能・効果、使用上の注意を確認して選ぶことが大切です。
胃粘膜保護成分を含む胃薬の選び方
胃粘膜保護成分を含む胃薬を選ぶときは、成分の働きだけでなく、現在の症状や商品の効能・効果も確認しましょう。
胃痛が気になる場合
胃痛が気になる場合には、スクラルファートなど、胃粘膜の患部を保護する成分を配合した胃薬が選択肢になることがあります。
ただし、胃痛の原因はさまざまです。胃粘膜の荒れだけでなく、胃酸や胃の運動、ほかの病気が関係している場合もあります。
痛みが強い場合や繰り返す場合は、市販薬だけで対応し続けず、医療機関に相談してください。
胃痛に使われる市販薬については、こちらの記事も参考にしてください。
胃もたれが気になる場合
胃もたれが気になる場合には、胃粘膜保護成分だけでなく、胃の運動をサポートする生薬や消化酵素などを配合した胃薬もあります。
新セルベール整胃プレミアムは、テプレノンに加えて、生薬や消化酵素を配合した製品です。
胃もたれの原因は胃粘膜の状態だけとは限らないため、商品の効能・効果を確認して選びましょう。
胃もたれに使われる市販薬については、こちらの記事でも紹介しています。
胸やけが気になる場合
胸やけは、胃酸が食道側へ逆流することなどによって起こる場合があります。
胃粘膜保護成分だけで対応できるとは限らず、制酸成分や胃酸分泌抑制成分などが選択肢になる場合もあります。
症状が頻繁に起こる場合や、長く続く場合は医療機関に相談してください。
胃粘膜保護成分を含む胃薬を使用するときの注意点
胃粘膜保護成分を含む胃薬を使用する際には、次の点に注意してください。
1.用法・用量を守る
市販薬は、商品ごとに成分や用法・用量が異なります。
同じ胃粘膜保護成分を含んでいても、服用回数や服用するタイミングが異なる場合があります。
添付文書に記載された用法・用量を守って使用してください。
2.ほかの胃薬と自己判断で併用しない
胃薬には、胃粘膜保護成分のほか、制酸成分や胃酸分泌抑制成分などが配合されています。
複数の胃薬を同時に使用すると、成分が重複したり、薬の飲み合わせに問題が生じたりする可能性があります。
ほかの胃薬や処方薬を使用している場合は、購入前に薬剤師または登録販売者に相談してください。
3.持病がある場合や治療中の場合は相談する
持病がある方や、医師の治療を受けている方は、使用前に医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。
特に、腎臓や肝臓などに関する病気がある方、ほかの薬を服用している方は注意が必要です。
4.症状が改善しない場合は受診する
胃薬を使用しても症状が改善しない場合や、何度も症状を繰り返す場合は、医療機関に相談してください。
強い腹痛、吐血、黒い便などがある場合は、市販薬で様子を見ず、速やかに医療機関を受診してください。
胃粘膜保護成分についてよくある質問
胃粘膜保護成分は胃酸を抑える成分ですか?
胃粘膜保護成分は、胃酸の分泌そのものを抑える成分ではありません。
胃粘膜を保護したり、胃粘液を増やしたりすることで、胃を守る働きを持つ成分です。
胃酸の分泌を抑える成分とは作用の仕組みが異なります。
スクラルファートとテプレノンは同じ働きですか?
同じではありません。
スクラルファートは、胃粘膜の荒れた患部に付着して保護する働きを持ちます。
一方、テプレノンは胃粘液を増やして胃を守る働きを持っています。
どちらも胃を保護する目的で使用されますが、働き方が異なります。
胃粘膜保護成分が入っていれば胃痛に効きますか?
胃痛の原因や、使用する商品の効能・効果によって異なります。
胃粘膜保護成分を含む市販薬には胃痛を効能・効果に含む製品もありますが、すべての胃痛に適しているわけではありません。
症状が強い場合や長く続く場合は、医療機関で原因を確認することが大切です。
胃粘膜保護成分と制酸成分は一緒に配合されることがありますか?
あります。
市販の胃腸薬には、胃粘膜保護成分と制酸成分、健胃生薬、消化酵素などを組み合わせた製品があります。
スクラート胃腸薬Sも、スクラルファートに加えて制酸成分や健胃生薬、消化酵素などを配合しています。
スクラート胃腸薬Sにアズレンスルホン酸ナトリウムやL-グルタミンは入っていますか?
スクラート胃腸薬Sには、アズレンスルホン酸ナトリウムとL-グルタミンは配合されていません。
この2成分が配合されているのは、通常の「スクラート胃腸薬」です。
同じシリーズでも製品によって配合成分が異なるため、購入時には商品名と成分表示を確認してください。
まとめ|胃粘膜保護成分は働きの違いを確認して選ぼう
胃粘膜保護成分は、胃粘膜を保護したり、胃粘液を増やしたりすることで胃を守る働きを持つ成分です。
代表的な成分には、次のものがあります。
- スクラルファート:胃粘膜の荒れた患部に付着して保護する
- テプレノン:胃粘液を増やして胃を守る
- アズレンスルホン酸ナトリウム:炎症を鎮め、胃粘膜の修復を促す
- L-グルタミン:胃粘膜の修復を促す目的で配合される
市販薬では、スクラート胃腸薬Sや新セルベール整胃プレミアムなどに、胃粘膜を保護する成分が配合されています。
ただし、スクラート胃腸薬Sと通常のスクラート胃腸薬では配合成分が異なります。アズレンスルホン酸ナトリウムとL-グルタミンは通常のスクラート胃腸薬に配合されており、Sには配合されていません。
同じ胃粘膜保護成分でも働き方は異なり、商品によってほかの配合成分や効能・効果も違います。
成分の特徴と商品の表示を確認し、症状に合った胃薬を選びましょう。
症状が改善しない場合や繰り返す場合は、市販薬だけで対応し続けず、医療機関に相談してください。

